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相次ぐ企業の不正 行動経済学者が指摘する原因とは?
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171226-00000074-sasahi-bus_all
AERA dot. 12/28(木) 7:00配信
見られてるという環境が不正を止めることも(※イメージ写真)
日本を代表する大きな会社が検査データを都合いいように書き直すなどという不正をしていたことが相次いでわかった。どうすれば不正を止められるだろうか? 毎月話題になったニュースを子ども向けにやさしく解説してくれている、小中学生向けの月刊ニュースマガジン『ジュニアエラ』に掲載された、朝日新聞編集委員・多賀谷克彦さんの解説を紹介しよう。
* * *
神戸製鋼所(神鋼)は鉄鋼や銅などの製品をつくって、多くの会社に納めている。それらは自動車や電車、発電所などの部品として使われている。
どの製品にも安全性が求められる。電車の安全も部品が支える。その強度の基準は、神鋼と電車をつくる会社が決めていた。なのに、神鋼はその強度に満たない部品のデータを満たしたように書き換えていた。不正は複数の工場で、多くの人が関わっていた。
自動車も出荷前には検査が必要だ。なのに、日産自動車やスバルは検査する資格を持っていない人に検査をやらせていた。
いろんな原因が言われている。基準に満たない製品をつくり直していては期限に間に合わない。人手不足で検査員が足りなかった。みんな、不正とわかっているのにやってしまっていた。組織的な不正の疑いが強い。
不正があると、会社は原因を調べ、二度と起きないように対策をとる。
ただ、実際に不正をしたのは会社という組織ではなく個人だ。だから、個人の行動、心理を分析しないと解決できないという考え方がある。
アメリカの行動経済学者のダン・アリエリーさんは人間の不正には八つの原因があると言う。一つが「自分が不正をしても、得をするのは自分ではなく他人」という場合だ。
神鋼の場合、データを書き直して得をするのは会社で、書き直した人ではない。その人は「不正はしたけど、私は得したわけじゃない」と心の中で言い訳しやすい。
イギリスの実験では、コーヒー代金を入れる箱の前に、人の目の写真を貼ると、花の写真を貼っていたときより、正直にお金を入れる人が多かった。見られているという環境がそうさせたわけだ。
できればラクをしたい。人はその誘惑に弱い。それが不正を生む。だから、不正の防止には誘惑に負けないような工夫が必要というわけだ。(朝日新聞編集委員・多賀谷克彦)
■神戸製鋼所の主な納品先(約500社)
<自動車・自動車部品>
トヨタ自動車、日産自動車、ホンダ、スズキ、マツダ、三菱自動車、スバル、ゼネラル・モーターズ(米国)、ヤマハ発動機、デンソー
<航空機・重機>
ボーイング(米国)、三菱航空機(MRJ)、三菱重工業、川崎重工業、IHI、島津製作所
<鉄道、造船>
JR東日本、JR東海、JR西日本、三井造船
<電機>
ダイキン工業、三菱電機、日立製作所、パナソニック
※月刊ジュニアエラ 2018年1月号より
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