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大前研一氏が「人づくりを可能」にする条件について解説
30歳を越えた人間を鍛え直すには恐怖か金を与えるしかない
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20171023-00000002-moneypost-bus_all
週刊ポスト2017年10月27日号
安倍晋三首相が掲げる新たな目玉政策に「人づくり革命」がある。経営コンサルタントの大前研一氏が、人づくりを可能にする条件について解説する。
* * *
総選挙の投票日が迫っている。前号では、安倍内閣が検討している「公務員の定年延長」が、いかに日本の活力を奪う愚策かを論じた。また、グローバルな企業経営の現場を知らない政治家や官僚が進める「働き方改革」も論外だ。頭脳労働者にまで“上から目線”で縛りをかける暴挙でしかない。
さらに、安倍首相は新たな目玉政策として「人づくり革命」を打ち出した。そして、そのための保育所・幼稚園の無償化などに2兆円規模の予算を投入すると表明し、これに北朝鮮情勢を加えて「国難突破解散」(実際は“保身解散”)の争点にする、という乱行に出た。
これまで安倍内閣は「地方創生」「女性活躍」「1億総活躍」「働き方改革」と次々に目玉政策の看板を掛け替え、それぞれ担当相を置いてきたが、いずれも成果は全く上がっていない。にもかかわらず、また「人づくり革命」という新しい看板を掲げて担当相を新設した。安倍首相は「人づくり革命」を「1億総活躍社会を作り上げる上での本丸」と位置付けたが、これらの拡散した政策を、どのように辻褄を合わせて収拾するのか、甚だ疑問である。
私は「優れたトップは一つのことだけを言う」「ダメ経営者は次から次へと命令して結局何もできない」と指摘してきたが、まさに安倍首相はダメ経営者の典型だ。“仕事人内閣”と称した内閣改造からわずか2か月足らずで解散総選挙、という気の散り方である。解散の大義を問われ、消費増税の使途変更について国民の信を問う、とした欺瞞に至っては言葉を失う。
企業経営の場合、新規事業を立ち上げたら、その成否を総括しないまま同じような新規事業を始めることなどあり得ない。それは国家運営においても同じであり、そんな常識も持ち合わせていないような、人材なき政治家や官僚にそもそも「人づくり革命」などできるはずがないだろう。
しかも、政府は「人づくり革命」の具体策を話し合うために経団連会長や連合会長、IT企業を経営する大学生ら「有識者」による「人生100年時代構想会議」なるものを設置した。そのテーマは「教育の負担軽減や無償化と社会人の学び直し」「高等教育改革」「企業の人材採用の多元化と多様な形の高齢者雇用」「高齢者向け給付中心の社会保障から全世代型社会保障への改革」の四つだという。
あまりにお粗末でコメントする価値もないが、単なる税金の無駄遣いでしかない。
同会議では、議論の中核となる論者としてベストセラー『LIFE SHIFT』(東洋経済新報社)の著者でロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン教授を起用した。
グラットン教授は、2007年に日本で生まれた子供の50%が107歳まで生きると予想。その結果、従来の「教育→仕事→引退」という3ステージの単線型人生から、多くの人が転身を重ねて複数のキャリアを経験するマルチステージの複線型人生にシフトするとして、これからは年齢に関係なく知識や技能を身につけるべきだと主張している。
だが、それは当たり前のことであり、私も2004年に上梓した『50代からの選択』(集英社文庫)で、「平均年齢50歳時代」に突入した日本においては、50歳までにサラリーマン生活の棚卸しをして、転職・起業など何をしても食べていける準備をするよう提唱している。
ただし、それは個々人がしっかり自分の人生設計をして主体的に取り組めばよいだけの話で、今さら政府が「人生100年時代」という大仰なスローガンを掲げて企業の人材採用に口を出したり、中高年や高齢者の世話を焼いたりする必要は全くない。
そもそも、40年以上にわたって企業のコンサルティングをやってきた私の経験から言えば、30歳を越えた人間を鍛え直す方法は二つしかない。すなわち、厳しく成果を問うて恐怖のどん底に突き落とすか、金銭的にケタ違いのインセンティブを与えるか、である。それ以外に人は変えようがないのである。
また、高齢者や子育てを終えた世代の多くは、それなりに個人金融資産を持っているので、学び直したり、転身したりしたければ自力でやればよい。“有識者”なる者を集め、税金をかけて60歳以降の過ごし方を議論してみても始まらない。
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