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マンション売買で損しないために、知っておきたい「業界のウラ事情」 仲介業者はこんなことを考えている
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/53101
2017.10.06 榊 淳司 住宅ジャーナリスト 現代ビジネス
不動産価格の高止まりを背景に、中古マンション市場が活況を呈している。マンションを保有している方々のなかには、「もしかして、売り時?」なんてことを思っておられる方もいるのではないか。しかし、焦りは禁物。よくわからないまま売り買いに手を出すと、あとで後悔することになる。住宅ジャーナリストの榊淳司氏が警鐘を鳴らす。 |
国土交通省の資料によると、分譲マンションの総戸数は平成28年末で約633万戸あるという。このうち、毎年30〜40万戸程度が流通市場で売り出され、実際に売買が成立するのは10万戸程度だと筆者は推定している。
残念ながら、中古マンション市場に関する正確な統計データは存在しない。しかし、年間に売買される中古マンションの総数は、ここ2年ほどで新築マンションの販売戸数を上回ったと見られる。日本もいよいよ欧米先進国のように、住宅売買の主流が中古になりつつあるのだ。
今後、中古マンションの取引戸数は年々増加していく。というのも、新築マンションの市場への供給戸数分が自動的に加算され、分譲マンションのストックは現在の633万戸から増えることはあっても減ることはないからだ。端的に言えば、分譲マンションを所有している人は、すべて「売り手予備軍」だと考えていい。
そう考えると、現代の日本社会において「マンションを売る」という行為はかなり身近なものと言える。家族や親族、友人や職場の同僚から、マンションを売った話を聞いたことがある人も多いだろう。ただ、その「売り方」ということになると、個々のケースによって、かなり違った情景になっているはずだ。インターネットの普及が、「売り方」をさらに多様化させた面もある。
マンション価格査定サイトは使える?
中古マンションを売却する場合、売り手にとって最も大切なことは、やはり「いくらで売れるか」ということだろう。
目ざとい人は、自宅マンションのメールボックスに投函されたチラシを保存しておいて、「○号室は○年前に○○万円で売り出された」という情報をしっかりと蓄えている。さらにアグレッシブな人はご近所の不動産屋さんと仲良くなって、その物件が実際はいくらで成約したか、というコアなところまでつかんでいる。
そういう人は、地元の不動産屋さん並みに相場観を養っている。きっと自分が売るときになっても、相場以上の価格でうまく売却できる可能性が高い。
しかし、ある日突然売却しなければならない事情ができた人はどうなるのか。あわてて近所の不動産屋さんに駆け込んで、売却の仲介を依頼するのがこれまでのパターンだった。ところが、インターネットの普及によって、最近ではちょっと情景が変わってきた。
売ろうとしている自宅のマンション名と、「売却」というワードをセットで「ググる」と、実に多くのサイトがヒットする。とてもではないが、すべてチェックするのは容易でない。そのほとんどが大手をはじめとした仲介業者と、分譲マンション専門の資産価値情報提供サイトだ。
また、「○社同時一括査定」とか「プロが正確に査定」「最新の価格情報提供」と謳っているサイトもある。そして、そういった資産価値に関する情報提供、あるいは価格査定を行うことについて、課金(有料)であることを表示しているサイトはほとんどない。たいていが無料である。
そこで多くの人は「こういう専門家に査定してもらえば、正確な資産価値がわかる。しかも無料だ」と素直に考える。そして、いずれかのサイトに自宅マンションの情報を打ちこむ。
まあ、それも悪くない。本当に売却する気があるなら、試しにでもやってみるべきだろう。情報提供を中心に行うサイトなら、そこから得られる自宅の査定価格は大いに参考になるはずだ。
仲介業者のサイトの場合は、電話番号などの個人情報を求められる場合が多い。あるいは「正確な査定は実際に物件を確認しないと出せません」的な注釈付きで査定額を提示する仲介業者サイトもある。
仲介業者はなぜ無料で価格査定するのか
さて、そういった仲介業者が個別住戸の査定サービスを提供する裏側の仕組みはいったいどうなっているのか。そこには、一般の方々にはあまり知られていない、業界特有の事情や法的な規制、いびつな商習慣が存在している。
順番に説明していこう。まず、最初に3項目の事実を指摘しておく。
@世の中にタダでサービスを提供している営利企業はほとんど存在しない
A仲介業者は最終的に、顧客よりも自社(もしくは担当者個人)の利益を優先する
B不動産仲介業者のビジネスモラルはけっして高くない
基本的な事実として、中古マンションも含めて世の中の不動産の資産価値を査定して「○○万円ですよ」という鑑定を有料で行うのは、法律上、不動産鑑定士だけに許された行為である。
したがって、仲介業者が「この住戸は○○万円です」という査定を有料で行うのは、違法行為に当たる。場合によっては業務停止などの厳しい処分を受けることもある。だから、不動産鑑定士でないかぎり、「査定」は無料でしか行えない。
では、仲介業者はなぜそういう専門的な知見の提供を無料で行っているのか?
それは、彼らが「専任」をほしいから、ということに尽きる。専任は「専任媒介契約」の略称だ。この契約を結んだ場合、契約を結んだ業者を通してしか住戸を売却できなくなる。仲介業者からすると、専任の契約を取れれば、少なくとも売り手(住戸の持ち主)から手数料が稼げるわけだ。
実は、この専任媒介のほかに、「一般媒介」と「専属専任媒介」という二つの媒介契約がある。一般媒介は、どの業者に依頼してもいいもの。A社だけでなく、B社やC社にも「私の住戸を売ってくださいね」と依頼できる。
売買が成立したら、売り手は、買い手を見つけてきた仲介業者にのみ手数料を支払うことになる。だから、一般媒介で売却を依頼された業者は、買い手を見つけないかぎり手数料をもらえない。買い手を見つけたとしても、そのときにはすでに他社が見つけた買い手と話が進んでいる可能性もある。そうなれば、100%無駄骨だ。
そんなわけで、ご想像の通り、多くの業者は一般媒介で売却を依頼された物件は熱心に売ろうとしない。
仲介業者が「専任」をほしがるワケ
仲介業者は、売り手からの手数料だけでも確実に稼げる専任媒介契約をほしがる。その機会をつかむための手段として、無料の査定サービスを提供するのである。
ところが、「一括○社査定」のようなサイトを通した場合、あるいは売り手が自らたくさんの仲介業者に依頼した場合、査定が競合状態になることも多い。そうなると、せっかく無料で査定を出しても、自社に専任契約が転がりこんでくる可能性は低くなる。
さて、そんなときに仲介業者はどう動くのだろうか。
あまり大声では言えないことだが、悪質な業者は「とてもそんな額では売れっこない」レベルの高額査定を出してくる。そして、売り手には「当社は営業力があるので、この価格で売ってみせる自信があります」などと、胸を張って言うのである。「そんな価格で売れてほしい」という売り手の欲目につけこんで、無理にでも専任契約を取ってしまうのだ。
仮に、その高値査定を信じて、その仲介業者と専任契約を交わしたらどうなるのか。
当然、売れない。業者は「最近は市場が急激に弱くなっていまして」といった言い訳をしてくることだろう。何カ月か経って、「では○○万円に下げませんか」と、市場価格並みの提案をしてくるなら、まだその業者は良心的だ。
悪質な業者だと、市場価格から2割ほど安い価格を示して、「この額ならすぐに買い取る業者がいます」という提案をしてくることもある。最初の査定額から3割以上減額、ということもざらにある。
売り手が焦って「その額でもいいや」と売却に応じてくれれば、専任契約を取った業者にとっては大成功だ。まず、売り手と買い手の両方から仲介手数料が得られる。これを業界用語で「両手」という。住戸を買い取った業者は、今度は本当の市場価格で売り出す。しかも、すでに両手を得た先の仲介業者が、住戸を買い取った業者から専任を取りつけて売り出すのだ。
実は、それは二つの業者があらかじめ「握っていた」道筋である。同じ物件で2度目の専任を取った仲介業者は、今度こそ本気で買い手を探す。首尾よく見つかって売買が成立すると、また双方から手数料が入る。同じ物件で「両手」を2回。ふつうに買い手を見つける場合の約4倍の手数料を稼げる仕組みだ。
「不動産テック」が業界を変える
こんなウラ事情を知ってしまうと、最初に売れもしない高値査定を出した仲介業者が、ものすごい悪徳のように思えてくるかもしれない。
しかし、それは間違っている。仲介業者というものはその大小にかかわらず、ここまで述べたような取引を日常茶飯事にこなしていて、この業者だけが特別悪徳とは言えない。強い言い方になってしまうが、現実問題として、彼らのビジネスモラルは他の業界と比べるとかなり低レベルだ。
そういう業界の空気はどうしても外部に漏れ伝わるので、「不動産屋はウソつきだ」「不動産屋はすぐに人をダマす」という負のイメージがいつまでも払拭されない。
とはいえ、誠実に顧客のために動いてくれる仲介業者もいる。中古マンションを売却する場合は、そういう誠実な業者を探し出すこと、さらには、自ら相場観を養って無謀な高値査定を見抜く必要がある。「この客はダマせない」と思わせることで、仲介業者はそれなりの仕事をしてくれるはずだ。
さらに、最近では「不動産テック」と呼ばれる、不動産とテクノロジーを融合した新たなサービスの進化が著しい。売買取引などの客観的かつ大量のデータや、人工知能(AI)のような最新のテクノロジーを活用し、物件の住戸ごとの推定価格を即座に無料でオンライン提供するなど、画期的なサービスが出てきている。
最新のサービスをうまく活用することで、売りたい住戸の評価についてあらかじめ「情報武装」できる。それは、仲介業者に「おいそれとはダマされない」知識を備えることにつながる。不動産テックの進化は、中古マンション市場の風景を徐々に変えていくかもしれない。
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