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金融庁の「銀行カードローン対策」はあまりにご都合主義すぎる 修正と規制を行ったり来たり…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52936
2017.09.21 伊藤 博敏 ジャーナリスト 現代ビジネス
究極の「客殺し」商法
金融庁が、急増する銀行カードローン問題に本腰を入れることになった。金融行政の課題などをまとめた「金融レポート」で、銀行カードローンの審査体制など問題点を指摘、銀行側に自重を促す。
それを察知した銀行側は、来年1月をメドに審査が十分でない「即日融資」を取りやめる方針を打ち出しており、「最短30分」などと融資のスピードを競ったテレビCMは、既に、そうした表現を削除している。
背景に、消費者金融業界の貸付残高の急減を銀行カードローンが肩代わりしてきた歴史があり、銀行に認められた数々の優遇策にハマった利用者が、年収の2倍、3倍と貸し込まれて自己破産が急増するなど、最近、社会問題化していた実情がある。筆者も本コラムで『メルカリで現金出品という「究極の貧困ビジネス」が生まれた背景』(17年5月11日配信)と題し、その歪みを伝えたことがある。
貸金業法改正から10年が経過、消費者金融業者は業者数も貸付残高も急減したが、多重債務者を減らすという目的とは裏腹に、その穴を埋めた銀行カードローンが急増、自己破産予備軍が増え、かれらを顧客とする貧困ビジネス業者が、フリーマーケット(フリマ)アプリの代表であるメルカリに、5万円の現金を5万9500円で出品していた。
既に銀行カードローンの枠も使い果たし、無担保で急ぎのカネを必要とする顧客が、クレジットカードで決済、郵送で現金を受け取り、カード決済との時間差を利用する。それほど追い詰められた債務者が増えており、同じような形態の「カードで現金化業者」が増え、主要ターミナル駅にはそうした業者が軒を連ねる。クレジットカードのショッピング枠を使ってブランド品などを買い、それを安く引き取ってもらって現金化するのだ。
本来、貸金業法改正は高金利の消費者金融業者が、安易に貸し付けて厳しく取り立て、多重債務者を発生させる状況を変えるものだった。その穴を埋め、状況を変えなかった銀行カードローンは、どんな優遇策を受けて貸付残高を増やしたのか。
最たるものは、消費者金融業者には「年収の3分の1まで」という総量規制があるのに、銀行が除外されたことだった。総量規制は、10年6月の貸金業法改正の完全施行以降の措置だったが、「すべての業態を規制すると、金融収縮が発生する」という金融庁の方針で銀行は除外された。
銀行は、この制度的な優遇策を使い、「総量規制の対象外です」「年収証明書は不要です」と、広告を打って消費者金融から顧客を奪った。また、「おまとめローン」を使って、規制の消費者金融から規制外の銀行に移すような荒技も厭わなかった。
消費者金融から銀行に移して、「年収の3分1」の枠を消せば、新たな借金が可能になる。それを傘下や提携先の消費者金融業者と組んで囲い込めば、年収の2倍、3倍とか貸し込むことが可能になる。究極の「客殺し商法」だった。
そうなるように仕向けたのは金融庁である。
緩和と強化を気分で繰り返している…?
「金融庁は12月以降、地域密着型金融の先進的な事例を表彰する顕彰制度で、多重債務相談や消費者向けローンなどの取り組みを積極的に選定する方針。6月に改正貸金業法が完全施行された影響で、消費者金融会社などの融資規制が厳しくなっており、地域金融機関に借り手救済の役割を促していく狙いがある」(『ニッキン』10年12月3日付)
消費者金融の役割を積極的に地方の金融機関に担わせようとした。その結果、金融庁は11年4月22日、消費者ローン推進に積極的な6信金と2信組を「大臣顕彰」した。自見庄三郎・郵政改革担当相から顕彰状を受け、受賞者を代表して多摩信金の佐藤浩二理事長が答礼の挨拶をしている。
総量規制から金融機関を除外したのは金融庁だが、その理由が明確に述べられたわけではない。消費者金融問題に詳しい東京情報大学の堂下浩教授が当時を振り返る。
「政府が金融機関の債権を総量規制から除外した理由は、国会上程時、金融庁参考人の誰からも述べられていません。金融庁内で貸金業法の立法を進めてきた幹部が上梓した貸金業法の解説本で唯一、金融機関が除外された理由として、『社会的責任説明の大きい銀行はきちんと返済能力を審査し、貸金業者のような過剰融資はしない』といった主旨を示唆する程度で、不得要領です。結局、彼らは予見可能な新たな問題発生を先送りしただけでした」
メガバンクを中心とする銀行が、カードローンを収益源にしようと、大きく舵を切ったのは、ここ4〜5年のこと。低金利、マイナス金利が続き、なりふり構っていられなかった。CMを打ちまくり、行員にノルマを課して取引先にカードローンを押し込み販売、カードローンの急増は3%〜15%という金利幅なので収益に大きく貢献した。
貸金業法改正が教えるのは、金利や規制はもちろん、銀行や消費者金融といった業態も多重債務者問題の発生に、何の関係もないことだ。その相関は、役人が机上の論理で考えたことに過ぎない。であれば、小口無担保の消費者金融業界のあり方を、もう一度、見直すべきではないだろうか。
「年収の3分の1といった規制をかけるから銀行が荒稼ぎする。自由度を奪っている貸金市場に活力を持たせ、競争原理を取り戻すために、総量規制も金利規制も見直すような貸金業法の再改正が必要です」(堂下教授)
監督権限を武器に、規制の緩和と強化を“気分”で繰り返す金融庁に、無担保小口という国民に最も身近で微妙な問題が絡む金融の世界を委ねることはできない。
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