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住宅ローン「金利の低さ」で選んだら、人生失敗する可能性 低金利には恐ろしいリスクが潜んでいる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52885
2017.09.19 山下 和之 現代ビジネス
住宅ローンには、3つの金利タイプがある。市中の金利変化によって適用金利が変わる「固定期間選択型」、一定期間は固定型だが、その後は変化する「固定期間選択型」、そして完済まで金利が変わらない「全期間固定金利型」だ。
金利は、変動金利型や固定期間選択型の固定期間の短いタイプの金利が一番低く、固定期間選択型の固定期間の長いタイプはやや高くなり、全期間固定金利型が最も高い。
金利は毎月頭に見直されるが、2017年9月のメガバンクの金利をみると、変動金利型は金利引下げ制度によって0.625%から利用できるし、固定期間選択型のなかには、それ以下で利用できるローンもある。それに対して、全期間固定金利型の金利は1.00%を超えるのが一般的だ。
この金利の低さから変動金利型や固定期間選択型を利用する人が多いのだが、しかし、その金利の低さの裏側には恐ろしいリスクが潜んでいる。
超低金利ということは、借り入れてから金利が下がる確率は低く、上がる可能性のほうがはるかに高い。そうなったときなにが起きるのか。それを理解しておかないと後悔することになりかねない。
金利が低いのはなぜ…?
住宅ローンにとっては金利が値段のようなものだが、どんな分野であれ、安いには安い理由がある。つまり、金利が低いには低いなりの理由がある。わけありだからこそ安くできると言ってもいい。
たとえば、スーパーで売られている安い野菜には、形や色が悪い、味がいまひとつといった理由がある。そんな欠点をカバーするために、あえて価格を安くしているわけだ。買う側も、安いのだからと、見栄えの悪さや味が落ちるのをある程度承知で買っているだろう。
住宅ローンの場合の「わけ」とはなにか。
変動金利型や固定期間選択型の当初の金利は低いのだが、その金利が将来にわたって保証されるものではなく、借入後に市中の金利が上がれば、適用金利も上がって、返済額が増えるといったリスクが潜んでいるのだ。
銀行からすれば、市中の金利が上がれば、住宅ローンの適用金利も引き上げることができるので、常に一定の利ざやを確保できる。銀行にとってはリスクがないからこそ、低い金利で貸し出すことができる。
では、誰がリスクを取るのかといえば、利用者である消費者ということになる。少し表現は悪いかもしれないが、利用者にリスクを押しつけることで、金利を低くしているわけだ。だから、利用するなら、先に紹介した値段の安い野菜と同様に、欠点があることを承知で利用しなければならない。
リスクを承知しておきなさい
3000万円を35年元利均等・ボーナス返済なしで利用した場合の返済額を比較してみよう。2017年9月現在、変動金利型の金利はメガバンクで0.625%だが、その場合の毎月返済額は7万9544円になる。
それに対して、完済までの金利が確定している全期間固定金利型の代表格であるフラット35は1.08%。毎月返済額をみると、変動金利型は8万円を切るに対して、フラット35は8万5808円。毎月にして6264円、年間では7万5168円もの差があるのだから、変動金利型を使いたくなるのも当然のことだろう。
だが、それだけを見ていてはダメ。借入後に適用金利が上がったときには、返済額も増加することを頭に入れておかねばならないのだ。
6年目からの返済額は最大25%増加する
では、実際どれくらい返済額が増えるリスクがあるのか。
2017年9月現在、メガバンクの変動金利型の店頭表示金利は2.475%だが、そんな高い金利で借りる人はまずいない。金利引下げ制度によって、最大1.850%引下げられて、0.625%から利用できるようになっている。
これで3000万円、返済期間35年で借りると、先にみたように毎月返済額は7万9544円になる。しかし、この返済額が確定しているのは、当初の5年間だけで、借入額は店頭表示金利の動きに応じて、適用金利が半年に1回見直されることになる。
ただ、こんなに頻繁に返済額が変わると返済の計画を立てにくいだろうということで、返済額の見直しは5年に1回とし、その間の金利変化については、返済額は変えずに、元金と利息分の配分を見直すことで対応することになっている。
同時に、5年後に金利の上昇によって、返済額が増加する場合には、増額率を25%までに抑える、いわゆる“25%ルール”というものがある。5年あれば収入も増えるだろうから、25%増なら問題ないというわけだろうということで作られた制度だ。
しかし、5年で25%の収入増は、最近ではかなり難しくなっているし、家庭によっては、教育費の増大などで、むしろ、家計が厳しくなる可能性もある。
「未払い利息」発生リスクも!
それ以上に恐ろしいのが、“未払い利息”である。
5年の間に急激に金利が上がった場合、利息分だけで毎月返済額を上回ってしまい、未払い利息が残り、約定通りに返済しているのに、実質的に元金が増えてしまうという恐ろしい事態のことだ。
たとえば、借入額3000万円、金利0.625%、35年元利均等・ボーナス返済なしの場合、毎月の返済額は7万9544円で、2年経過後のローン残高は約2846万円。その時点で適用金利が3.00%上がって、3.625%になると、次の月の利息は、
2864万円×0.03625(3.625%)÷12(月)
で8万6516円に達する。
つまり利息返済分だけで毎月返済額7万9544円を上回り、6972円不足する。これが、未払い利息と呼ばれるもので、毎月キチンと返済しているのに、元金が減ることはなく、反対に6972円ずつ未払い利息が積み重なって、実質的に残高が増えてしまうわけだ。
6年目からが恐ろしい
2年後にそこまで金利が上がることはないだろう――そう考える人が多いかもしれないが、そんな恐ろしい事態は回避できたとしても、5年経過後の返済額増額はまず避けられない。6年目からの返済額がどうなるのか、金利変化に応じて試算してみよう。
6年目以降も店頭表示金利から1.85%引き下げた金利が適用されるので、図表1にあるように、現在と変わらない2.475%の店頭表示金利なら、適用金利も0.625%で変わらず、返済額も7万9544円のままだ。仮に、5年後の金利が0.50%下がったときには、適用金利は0.125%と限りなくゼロに近づき、返済額は7.6%減って7万3886円になるが、まずこれは考えにくい。
反対に、店頭表示金利が2.975%と現在より0.50%上がったときには、毎月返済額は8万5472円で、7.6%の増額。1.00%のアップで、適用金利が1.625%になると、返済額は9万1668円と当初5年に比べて15.2%の増加になる。
さらに、1.50%のアップでは9万1668円で、15.2%の増加、そして2.00%のアップだと、計算上は10万4852円になるが、これだと31.8%の増加で、“25%ルール”に反してしまう。このため実際には、25%増の9万9430円に抑えられるが、その分、元金の減り方が遅くなってしまうので、25%までに抑えられると喜んでいる場合ではない。
3割、4割の増加もある!
変動金利の恐ろしさがわかったと思うが、実はさらにやっかいなのが、固定期間選択型だ。なぜなら、固定期間選択型の場合には変動金利型の“25%ルール”は適用されない。借入後に金利が大幅にアップしたときには、25%以上、3割、4割と上がる可能性もある。上限は青天井という恐ろしい仕組みなのだ。
図表2は2017年9月段階のあるメガバンクの固定期間選択型の固定期間3年の例で3年後の返済額の変化を試算したもの。現在の店頭表示金利は3.00%で、当初の3年間はそこから2.45%引き下げられて、0.55%で利用できるようになっている。期間限定のキャンペーン商品として、思い切った引下げが実施されている。
しかし、3年の固定期間が終了すると、金利引下げ幅は当初3年間の2.45%から1.85%になる。つまり、3年後の店頭表示金利が3.00%で変わらなかったとしても、適用金利はそこから1.85%引いた1.15%になる。
金利は変わらないのに適用金利はそれまでの0.55%から0.60%も上がってしまう計算で、4年目からの返済額は8万6095円と9.6%も増えてしまう。当初の返済額は7万8540円と変動金利型より少なくてすむ半面、返済額の増額リスクがより大きくなってしまうわけだ。
金利2.00%の上昇で返済額は45.6%増加
仮に、4年目の店頭表示金利が2.50%と、現在より0.50%下がったとしても、適用金利は0.65%と若干高くなって、返済額も増える。
反対に、金利が1.00%上がると適用金利は2.15%になって、返済額は9万9650円。増加率は26.9%と、変動金利型の上限である25%をあっさりと超えてしまう。さらに、2.00%上がっていた場合には、11万4373円になり、増額率は何と45.6%。5割近くも返済額が増えるわけで、当初から相当なゆとりを持った返済計画にしておかないと、とても耐えられないだろう。
では、住宅ローンを利用している人が、こうしたリスクをどれだけ理解しているのだろうか。
現実には図表3にあるように、変動金利型や固定期間選択型を利用した人たちの住宅ローンの商品特性や金利リスクの理解は必ずしも十分とはいえない。
これは変動金利型を利用している人の場合だが、「適用金利や返済額の見直しルール」について、「十分理解している」「ほぼ理解している」の合計は6割弱で、残りの4割強は「理解しているか不安」「よく理解していない」「全く理解していない」ということになる。
なかでも、「将来の金利上昇にともなう返済額増加への対応策」に至っては、半数以上の人が理解していないという結果だった。これは、もう住宅ローン破たん予備軍といわざるを得ない。
その上、返済額の増額によって1回でも延滞が発生すると、優遇金利の適用ルール上は翌月から金利優遇がなくなり、店頭表示金利が適用されてしまう。固定期間選択型3年で、3年後の店頭表示が2.00%上がって5.00%になっていれば、それが適用されると返済額は12万7760円と、当初3年に比べて62.7%の増額になる。
そんな優遇金利の適用ルールまで含めて、住宅ローンの商品特性や金利リスクを十分に理解して利用しないと、たいへんな事態に陥ってしまう。だからこそ、金利が1.00%台になるのを我慢して全期間固定金利型の金利リスクのない住宅ローンにしておくのが一番無難だ。
安全策を講じておくべき
とはいえ、せっかくの超低金利なのだから、やはり変動金利型や固定期間選択型の金利は捨て難いという人もいるかもしれない。ここまで金利が上がったら、という仮定の話をしてきたが、それがいつ訪れるかは誰にもわからない。だったら、目先の低金利のルリットを享受したいと考えるのも合理的だ。
その場合には、何より返済計画に十分に余裕をもたせて、金利上昇が発生してもあわてなくてすむ返済計画を立ててことが大切になってくる。
同時に、変動金利型などの利用で返済額が少なくなる分、貯蓄を増やして、一定額に達したら繰上げ返済して、できるだけ早く残高を減らしていく手もある。残高を減らして、返済期間を短くしていけば、それだけリスクは小さくなる。
また、変動金利型と全期間固定金利型を組み合わせたミックスプランの利用も考えられる。たとえば借入額3000万円なら、変動金利型と全期間固定金利型を1500万円ずつにする、あるいは2000万円と1000万円にすることも可能だ。変動金利型などの金利の低さと、全期間固定金利型の安心感をそれなりに享受することができる。
いずれにしても、目先の金利だけではなく、シッカリと将来を見据えて、確実な資金計画、返済計画を考えておくことが重要だ。
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