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日立を東芝のようにしようとする日本政府(経産省)
http://blog.livedoor.jp/columnistseiji/archives/51728061.html
2017年09月02日 小笠原誠治の経済ニュースゼミ
本日の日経の1面の記事です。
「英原発融資に全額補償」 |
「政府は日立製作所が英国に輸出する原子力発電所について、日本のメガバンクなどが融資する建設資金を日本貿易保険(NEXI)を通じて全額補償する。先進国向けの案件を全額カバーするのは異例の措置だ。貸し倒れリスクを減らして原発事業に慎重なメガ銀などの融資を引き出す狙い。英政府には新原発が採算のとれる電力価格の設定などを求め、資金支援を要請する。」 |
「NEXIは通常、民間融資が焦げついた場合に備えた保険を提供し、融資額の90〜95%を補償している。今回の英国案件については特例で全額を補償する方向で邦銀と協議に入る。原発事業は福島原発事故以降に安全対策費が膨らみやすく、三菱東京UFJ銀行やみずほ銀行も貸し倒れリスクが大きいと判断しNEXIの全額補償を条件にしていた。途上国向けで全額補償の例はあるが先進国では珍しく、政府は数十年程度の長期融資などを要請する見込みだ。」 |
さあ、如何でしょうか? この記事をお読みになって何かお感じになりませんか?
私は、日立も東芝のようにしてしまうのだろうか、と思ってしまいました。
何故そのように私が考えるのか?
その前に、先ず皆様の意見を知りたいのですが…
貴方は、貿易保険、つまり日本政府が万が一の損失を100%補償するということについてどのようにお考えになりますか?
そうなれば、日立も、のプロジェクトの建設資金を出す邦銀も大助かりで大変結構なことだと考えますか?
でも、損失の100%を補償することが望ましいのであれば、何故最初から100%の補償にしていないのか?
この記事でも、通常は融資額の90%〜95%しか補償しないと言っているでしょう?
それは、幾ら貿易保険であるとは言え、邦銀に対してもある程度のリスクを背負ってもらわないと融資の審査がおろそかになってしまうからに他なりません。
だって、万が一のときでも国が全額リスクを負ってくれるのであれば、お金を出す銀行としては少しも怖くない、と。
では、万が一のことが起きたとき、国はどうするのか?
そのために政府(貿易保険)は、保険加入者から保険料を集めている訳ですよね。
で、その保険料は保険金との関係で決まる、と。
損失の90%がカバーされる場合と損失の100%がカバーされる場合では、当然のことながら後者の方の保険料が高くなる、と。
しかし、今回特例で100%の補償にするとあるので、保険料率に変更はないと思われます。
おかしいでしょう?
もう、これは国丸抱えのプロジェクトと言っていいでしょう。
確かにお金の出所は民間の銀行であるものの、万が一のことが起きたときのリスクは全て国が負うと言っている訳ですから国家プロジェクトというべきです。
しかし、儲けがでても、そのときには日立やお金の出し手である邦銀が儲かるだけ。
そして、仮にプロジェクトが失敗すると、損失は国が負うことになり、結局、国民の負担になってしまうだけ。
そして、ここまで政府が前のめりになってしまうと、日立や邦銀も嫌とは言えない。
万が一のときには国が面倒を見ると言っているのだから、民間企業は余計なことを考えるなと言われているようなものなのです。
でも、それは東芝の歩んできた道と同じようなものではないですか。
東芝も、経済産業省や安倍総理の強い後押しがあったから、米国の原発会社の買収に踏み切ったのです。
でも、それがあったために今や存亡の危機に立たされている、と。
民間が全くリスクを負わないプロジェクトなんて碌なものではありません。
問題を先送りにして日本経済を脆弱なものにしてしまうだけなのです。
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