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地銀もメガも軒並み減益で迫られる「儲け方」の転換
http://diamond.jp/articles/-/140012
2017.8.29 週刊ダイヤモンド編集部
全国の銀行の第1四半期(4〜6月期)決算が出そろった。日本銀行のマイナス金利政策などで利ざやが低迷する中、有価証券の運用で大損を被り、経常赤字に陥る地方銀行も現れた。今回の決算をひもとくと、メガバンクと同じく銀行本体以外のグループ企業の強化という構造転換に迫られる地銀の姿が浮かび上がる。(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久、田上貴大)
「有価証券の運用でリスクを取り、目先の利益を黒字にしている銀行が存在する」──。今年7月、銀行の監督官庁である金融庁の森信親長官が、地方銀行の頭取たちが集まる会合で、こう言ってのけた。
その翌月、地銀105行の2017年度の第1四半期決算が出そろった。結果は惨憺たるもので、半数を超える地銀55行の経常利益が前年同期比で減少した。主因は、集めた預金を融資し、その金利差である利ざやでもうける銀行の本業が、日本銀行のマイナス金利政策などで低迷したためだ。
そこに追い打ちをかけたのが、森長官が問題視する、不慣れな有価証券の運用だ。昨年から地銀は収益の減少を穴埋めするため、国債や株式、投資信託などの有価証券の運用に力を入れてきた。だが、海外金利の上昇で外国債が損失を抱えるなど、かえって収益を圧迫する事例が頻出。静岡銀行に至っては、17年3月期に約370億円の巨額損失を計上した。
ここで、今決算を基に作成した経常利益の減少率が大きい地銀のランキングを見ていただきたい(下表参照)。
ひときわ目を引くのが、10年度の第1四半期以降、7年ぶりに経常赤字に陥った福島銀行で、投資信託などで4億円以上の損失を出したのが赤字の理由だ。収益力強化策の一つとして、「資産運用セミナーを倍増して手数料収益を伸ばす」(同行関係者)とするが、本業不振を打破できるかは不透明だ。
他にも、複数の地銀が有価証券の売却損に苦しめられている。
池田泉州銀行(大阪府)は米国債の含み損を一掃するため、約131億円の損失を計上した。それでも経常黒字にとどまったのは、株式の売却益の恩恵が大きい。佐賀銀行も、投資信託などで約10億円の売却損を出したが、融資の貸し倒れに備えて積み立てていた引当金の戻り益によって、辛うじて赤字を回避した格好だ。
前出の会合で森長官は、「目先の利益をつくろうと安易に有価証券運用に手を出すのではなく、持続的な成長のために注力事業を見直すべきだ」と地銀に訴え掛けた。それ故か否かは不明だが、「保有資産のうち、リスクが高いものの配分は見直した」(地銀関係者)というふうに、運用方針を変更した地銀もあるもようだ。
無論、福島銀行も含めて、四半期の経常赤字によって、すぐさま経営危機に陥るわけではない。だが今回の決算は、本業が傷み、安定的に収益を生み出せない地銀の脆さを、色濃く反映しているといえるだろう。
三菱は50%超増益
地銀にも差し迫る連単差経営への転換
次に、メガバンクはどうか。地銀とは規模が桁違いだが、メガバンク3行も地銀同様に苦しんでいる。一般事業会社の営業利益に当たる業務純益は3行共に減益。三菱東京UFJ銀行は15%、三井住友銀行は8%、みずほ銀行(みずほ信託銀行との合算)に至っては、66%もの減益に見舞われている。
ところが、銀行単体ではなく、親会社であるフィナンシャルグループ(FG)の連結ベースで決算を眺めると様相は異なる。
顕著なのが三菱UFJFGで、連結純利益は2890億円、前年同期比で53%もの増益となっている。減益したみずほFGはもちろんのこと、31%増益した三井住友FGにも大差をつけている。
増益の要因を分解すると、株式売却益や不良債権の減少による銀行単体での純利益への寄与度は2割程度にすぎない。それよりも、米国、タイの現地銀行や信託銀行、証券会社、持ち分法適用関連会社である米投資銀行のモルガン・スタンレーといったグループ関連会社の貢献が大きい。三菱UFJFGの純利益のうち、実に55%を銀行以外で稼ぎ出しているのだ。
このFG連結と銀行単体の差である「連単差」は、メガバンクグループの趨勢を決める要因といわれてきた。そして、超低金利環境の継続によって銀行のビジネスモデルが崩壊しつつある今、さらにその重要性が高まってきている。
そして、この「連単差経営」は、いよいよ地銀にも差し迫った課題となりつつある。ある大手地銀幹部は、「これからは地銀も連単差経営の時代だ」と言い切る。
実際、大手地銀の中には、苦境にあえぐ銀行事業の穴埋めを狙って証券会社や資産運用会社を傘下に持つところも増えてきた。ある大手地銀の関連会社幹部も「今後は、グループ内でのわれわれの存在感が高まっていくはず」と、野心を燃やす。
地銀全体の収益構造を見れば、今も本業の利ざやが大半を占めており、メガバンクグループでも苦戦する連単差経営の推進は一筋縄ではいかないだろう。だが今や、銀行による“銀行離れ”にあらがいようはなさそうだ。
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