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浜矩子さん 蓄えは「普通預金と定期預金だけ」の深いワケ お金のプロが教える自分年金の貯め方
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/212384
2017年8月28日 日刊ゲンダイ
同志社大大学院の浜矩子教授(C)日刊ゲンダイ
どうやらサラリーマンは公的年金をアテにできなくなるようだ。年金の支給開始年齢は現在の65歳から75歳に改悪されるのは確実で、老後の資金は自分でなんとかするしかないだろう。そこで、お金のプロたちを直撃、どんな「自分年金」で備えているのかを聞いた。
今月3日に65歳になった同志社大大学院教授の浜矩子さんは、来年3月に定年を迎える。普通のサラリーマンであれば、老後生活に突入だ。支給される年金がいくらかを確認し、日々のやりくりにアタマを悩ませるところだが……。
「成り行き任せというか、手元にあるお金を普通預金の口座に放り込むだけで、それを何かで運用するようなこともしていません。気が向けば定期預金に組み替えるぐらい。銀行にとっては面倒な客ですよね。預金保険の保険料率が高いので、普通預金はどんどん減らしたいはず。実際に営業の電話も頂戴しますが、金融商品に興味がないので、丁重にお断りしています」
すでに60歳から、50歳まで勤めた三菱総研の厚生年金と企業年金、私学共済の年金を受け取っている。金額は合わせて月15万円ほどとか。そのほかに「三菱総研時代に会社で明治生命の人に勧誘されて入った」という個人年金がある。平均的なサラリーマンの老後の姿といえそうだが、ちょっと違うのは不動産の存在だろう。
母親と2人で暮らす築40年以上の世田谷の自宅は、敷地が100坪ほどと広い。これでも母親が祖父母から相続する際に半分になったそうだが、狭いマンションのローンの支払いに四苦八苦のサラリーマンからすれば、うらやましい限りである。
しかも、本人はまだまだ働く。同志社大では大学院の教授に限り、大学側が必要とする場合は1年契約で70歳まで働くことができるという。浜さんは来年も同大に残ることが決まっている。それもあって、「老後」という言葉にもピンと来ないそうだ。
「自分にとっていつからが老後なのか、そもそも“老いたあと”って何を指すのか。それに経済は原理原則で将来の見通しを出すことができますが、これから自分の人生がどうなるかなんて分からないでしょ? そんな不確かなことに備えようとして知恵を絞る時間があれば、締め切りの原稿をせっせと書かないと。その方が大事です」
■「貯蓄から投資へ」に踊らされるな
その結果、「自分年金」と呼べる資金は、銀行預金だけ。ただし、これには“成り行き任せ”という以外の理由もちゃんとある。
「アホノミクスは“貯蓄から投資へ”と旗を振り、国民の資産形成を安全性の高い預金から危険性が高い金融商品へとシフトさせようとしています。金利まで低くして“自分で投資しないとダメですよ”とあおっている。これは株式市場に流れるカネを増やすことで株高を演出するため。国民の資産形成を考えているからではありません。でも、将来に対する不安が高い人ほど“何とかしなければ”と悩み、一獲千金を想像させるような言葉に惑わされ、引っ掛かり、振り回される。それでいつか“こんなはずじゃなかった”と後悔するのです。バブルの頃も“財テク”という言葉に振り回され、ふらふらと株に手を出してひどい目に遭った人は大勢いました。銀行預金は法制度で守られている度合いが高い。これから子供の教育や住宅の購入などで資金が必要な若い人ほど、規制がもたらす安全性の内側にとどまることを考えるべきです」
素人は鉄火場に出入りしない方が賢明だ。
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