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EV普及で「自動車メーカーは10年後に消滅する」の現実味
http://diamond.jp/articles/-/139781
2017.8.25 佃 義夫:佃モビリティ総研代表 ダイヤモンド・オンライン
大転換と加速化が進む
自動車のEVシフト
「EVへの大転換と加速化」――。現在の自動車メーカーは、この現実から免れることはできないだろう。
英仏政府が2040年までにガソリン車・ディーゼル車の国内販売を禁じる方針を決めた。中国やインドは環境規制を盾に電動車優遇の国策を打ち出してきている。
地球温暖化や大気汚染問題への環境対応は、独フォルクスワーゲン(VW)のディーゼル車排ガス不正に端を発した欧州メーカーのディーゼル車疑惑が一気に欧州車各社のEV転換機運を加速化させた。
日本でも日産自動車が9月6日に新型リーフを次世代EVとして発表する。トヨタも昨年12月に豊田章男社長肝いりでデンソーなどトヨタグループからの出向者を含めた「EV事業企画室」を立ち上げて急ピッチでEV開発を進めている。
米国では、EVベンチャーのテスラが7月末から量販EVモデルのセダン「モデル3」を発売し話題を集めている。テスラは、GM、フォードなど米国を代表する自動車メーカーの時価総額を抜くなど、今や世界のEVメーカーのリーダー的存在を示す。2月からは社名から「モーターズ」を外しており、テスラを率いるイーロン・マスク氏の目指すところは自動車メーカーの域にとどまらず、太陽光発電のエンルギーインフラ事業に挑戦している。
EV化によって
10年後には自動車メーカーが消える!?
一方で、世界で加速するこのEVシフトの動きに対して「10年後には自動車はEV化によって、自動車メーカーが消えることにもなる」と大胆な予測発言をする日本のEVベンチャーが現われた。
日本初の量産EVスーパーカー「GLM G4」を発表した小間社長 Photo by Akira Yamamoto
GLMの小間裕康社長である。GLMは知名度という点ではいま一つだが、京都大学発のEVベンチャーだ。最近、GLMは香港の投資会社「オーラックスHD」と資本提携して開発投資の資金を確保。新たに京都に本社ビルを構えたので、小間社長を京都に訪問取材したところ、「電機メーカーに見られた歩みが自動車メーカーにも押し寄せるだろう。いずれ、内燃機関からEV転換でアップルのような新しい発想のモノづくりに変わることになる」と強調した。
つまり、クルマの心臓部分であるプラットフォームはモジュール化され、米アップルのように生産設備を持たず、自らは商品の企画・設計に特化し、製造を委託するビジネスモデルがEV転換によって自動車産業にも波及していくということである。
そうなると、将来的には、自動車メーカーは消えて、組み立て・製造工場になるという見方だ。
GLMは、ガソリンエンジンを搭載したスポーツカーで京都発のかつての名車「トミーカイラZZ(ジージー)」のコンセプト、車名、ロゴマークを継承して、EVとして開発し市販化したことで話題を投げかけた。現在、2019年に発売予定のEVスーパーカー「GLM G4」の開発を進めている。
そのGLMを率いる小間裕康社長は、1977年生まれ、40歳の若さだが甲南大学在学中に「コマエンタープライズ」を学生起業し、国内外の電機メーカー向けBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)事業を売上高20億円規模の会社に成長させたキャリアを持つ。その後、京都大学大学院に入学して京都大学VBL(ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー)のEV(電気自動車)開発プロジェクトに出合い、同プロジェクトを母体にグリーンロードモーターズを2010年に設立したことで現在に至る。
プラットフォームとボディを分離した水平分業で
従来の垂直型モノづくりと一線を画す
同社のEVの設計・製造の特徴は、プラットフォームとボディを分離した水平分業で、自動車メーカーの垂直型モノづくりと一線を画すものだ。そしてプラットフォームをモジュール化し「EVプラットフォーム事業」の確立を目指しているのだ。
モーターやバッテリーなど重要パーツは、各サプライヤーと共同開発している。安川電機(モーター・インバーター)、オムロン(車載部品)、リチウムエナジージャパン・GSユアサグループ(電池)、ニチコン(急速充電器)などと協力関係を築き、最近では帝人、旭化成との共同開発も進めている。さらに独ボッシュと電子制御ユニットの共同開発と新たな協力関係も形成している。
8月中に香港の財閥系ファンドである「オーラックスHD」との資本提携、資本参加でGLMは子会社となるが「事業価値を高め、開発資金調達とリスク管理、さらに海外マーケットへの事業展開が有利になる」(小間社長)と中国を中心とするEVアジアマーケットへのビジネス展開を視野に入れている。
小間社長は「今後の自動車産業は、よりサービス化されていく。自動車メーカーがお客さんになれるようなEVプラットフォーマーへ」と事業目標を語る。そして先述したように、IT関連や電機メーカーの歩みが自動車メーカーにも来るとし、「早ければ10年後に自動車メーカーが消えることもあり得る」と指摘するのだ。
さらに「新しい発想で、クルマをモノづくりし、マーケットを作る時代が来たのだ」と指摘する。その背景には、EVと相性の良い自動運転やシェアリングビジネスの台頭により、そもそも自動車産業の構造転換が求められているという時代の流れがある。
コモディティ化すれば
個別の自動車メーカーはいらない?
一方で「未来のクルマを決してコモディティ(汎用品)にはしたくない」と言ったのが、トヨタ自動車の豊田章男社長だ。これは先のマツダとの資本提携会見での発言だが、そこには豊田章男社長なりの強い危機感が背景にあり、「私たちの前にはグーグル、アップル、アマゾンといった新しいプレイヤーが登場している」と続ける。
コモディティ――。自動車が電動化し、知能化し、コネクティッド(つながる)化しシェアリングされていくことで汎用品になっていくと、ブランドの個性は必要なくなるし、個別の自動車メーカーもいらないとの極論にも繋がる。
つまり、環境対策の電動化に安全対策の自動運転化は、今後のモビリティの大きなうねりである。、加えて、繰り返すが、モビリティ社会におけるシェアリングビジネスの台頭は「クルマを保有する」という固定観念さえも大きく覆していくことになる。
米シリコンバレー発のIT・AIベンチャーのモビリティ産業への参入は、半導体最大手の米インテルによるイスラエルのモービルアイ買収やエヌビディアの急速な台頭など、テスラに続き話題が尽きない。一方で独ボッシュやコンチネンタル、日本のデンソーなどメガサプライヤーの動きも目が離せない。
先述した小間社長の発言は「自動車産業の既成の固定観念を取り除く」という意味でなかなか面白いものがあった。
というのも、クルマの心臓部であったエンジンは、これまで自動車メーカーが最も力を入れて開発してきた部分だからだ。例えば、ホンダの歴代社長は、本田技術研究所出身であり、その多くが「エンジン屋」だった。
しかし、EVはGLMのようにプラットフォームビジネスを志向することになる。つまり、、自動車メーカーは重要な動力源でさえも、アウトソーシングで割り切ることにもなるということだ。
しかし、小間社長はこうも言った。「EVは、エキゾチックビークルなんですよ。ワクワク、面白いものでなくちゃ。持続可能な社会は心躍るものがあってこそ!ですからね」と……。
新たなサービス産業への道は、ワクワク感のある差別化された商品を開発するという、コモディティとのジレンマを打開してこそ開かれ、それが次世代のモビリティ産業・社会を形成するという考えのようだ。その点においては、既存のモビリティ産業と共通するものだろう。
いずれにしても、今後は、自動車メーカー間の競争からメガサプライヤーも含めて「新たなプレイヤーとの競争と協調」がモビリティ産業の焦点ということであろう。
(佃モビリティ総研代表 佃 義夫)
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