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今年最大の大型上場!「佐川急便株」は買うべきか、見送るべきか 「株価2倍」のボロ儲けも夢ではない?
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52160
2017.07.06 週刊現代 :現代ビジネス
創業者の佐川清氏が京都で飛脚業を始めてから、今年でちょうど60年。節目の年に満を持しての上場だ。株価はどうなるのか、配当は、経営は大丈夫なのか、注意点は……プロがすべての疑問に答える。
■上場は合併への布石?
アベノミクスもすっかり萎れ、特段目ぼしい材料もなく、日経平均株価は2万円前後でうろうろして突き抜ける気配もない……。そんな梅雨の空模様のようにパッとしない株式市場に、突然「ビッグニュース」が飛び込んできた。
佐川急便が上場へ――。
大手証券会社幹部が言う。
「佐川急便の親会社であるSGホールディングス(HD)がこの6月、東京証券取引所に上場申請をしたことが明らかになりました。時価総額は3000億〜4000億円規模になる予定で、今年最大の上場案件になる見込みです。個人投資家からは、さっそく『いつから買えるのか』などと問い合わせが来ています」
しかも、今年は相場全体こそ盛り上がりに欠けるが、実は「IPO市場」と呼ばれている新規上場マーケットは大活況。すでに「バブル」と言えるほどのお祭り状態に沸いている中、SGHDは上場することになる。
「今年のIPOマーケットは絶好調。年初から30社以上が新規上場していますが、上場前に証券会社が売り出す公募価格に対して、上場後に最初に付ける初値が上回ったケースが8割以上です。
しかも、上場後の株価も堅調に推移している会社が多い。SGHDがこうした状況下で上場するのは、絶好のタイミング。
上場審査の承認には2〜3ヵ月かかり、早ければ9月にも上場となる見通し。買いたい人はいまから資金を準備しておいたほうがいい」(IPOマーケットに詳しいマーケット・ウォーク代表の鮎川良氏)
とはいえ、'15年に「今世紀最大の上場」と盛り上がった日本郵政グループの株価は、当初こそ跳ね上がったものの、いまや初値割れ状態。痛手を負った個人投資家の悲劇を目の当たりにしてきただけに、「悪夢再び」と警戒する向きもある。
果たして佐川株は「買い」なのか、あるいは「見送るべき」なのか――。
「まず押さえておかなければいけないのは、SGHDは財務体質が良く、上場による資金調達を必ずしも必要としていなかったという点です」
と指摘するのは、DZHフィナンシャルリサーチでアナリストを務める田中一実氏である。
「ではなぜ、SGHDは上場を決断したのか。いま物流業界で語られているのは、日立物流との合併が目的ではないかという見方です。
SGHDと日立物流はすでに昨年3月に資本業務提携契約を締結し、SGHDが日立物流の株を約29%、日立物流が佐川急便の株を約20%持ち合っている。将来的には経営統合すると見られていたが、SGHDはオーナー系の非上場企業であることがネックだった。
かつて飲料業界でキリンとサントリーの統合がご破算になったのと同様の事態が懸念されていた中、上場はそうしたリスクを払拭する狙いがあると見られている」
■ヤマトとの大きな違い
実際、SGHDの大株主には、創業者・佐川清氏(故人)の実子である栗和田榮一・SGHD会長や、その関連法人が名を連ねる。
「栗和田氏が今年71歳を迎える中、今後は相続の問題ものしかかってくる。将来的に多額の相続税支払いが発生することを考えると、このタイミングで株式を上場しておけば、市場で株を一部売却してキャッシュも用意できます。
上場で『攻め』の経営資金を得られるうえ、相続対策にもなり、一石二鳥の効果が期待できる」(IPO Japan編集長の西堀敬氏)
目下、物流業界は日本通運、ヤマトHDなどとしのぎを削る「物流大戦争」が勃発しているが、上場を機に「不安要素」を一気に解消して、過当競争から頭一つ抜け出す――。SGHDの経営陣はそんな勝利のシナリオを描いているわけだ。
物流ジャーナリストの森田富士夫氏も言う。
「経営陣には、『企業イメージ』を上げる狙いもあるでしょう。物流業界が抱える問題は、ドライバーなどの人材確保。3Kな業種という評判が立ったことで人手不足が余計に深刻化する悪循環に陥っている。SGHDもその影響で中期経営計画を見直したほどです。
特にSGHDの場合は非上場企業なのでその内情が見えにくく、人材確保で不利になっていた面もあった。それが上場によって経営の透明性を担保できれば、人材確保もしやすくなる。上場で『新生・佐川』のブランドを確立し、その信用力を武器に一気に企業価値を高めていく狙いでしょう」
しかし、物流戦争はすでに価格競争に突入し、わずかな利益しか得られない「薄利ビジネス」。おまけに人口減少で市場のパイは縮んでいく中で、いくらライバルに打ち勝っても、大きな儲けは得られない。
上場したとしても、「企業の成長性」の指標である株価に、大きな値上がりは期待できないとの不安の声もある。
前出の西堀氏は、「その懸念は半分正しくて、半分間違っている」と指摘する。
「SGHDがこれからヤマトHDなどとガチンコの宅配便競争に突入すれば、消耗戦になる。それは正しいが、実はSGHDはすでにヤマトとは違った『生きる道』を進んでいるのが実態。
というのも、ヤマトHDが個人の宅配事業中心なのに対して、SGHDが得意とするのは企業相手の物流です。日本企業が国内で作った部品を海外の工場に運ぶといった物流を担っていて、労働集約的な個人宅配事業よりも収益率が高い。SGHDはいち早く、消耗戦の宅配に見切りをつけている」
■配当利回りも2〜3%
実際、佐川急便は昨年12月に三菱重工業の造船部門に資材搬入などの管理システムを導入したり、今年4月、東京・銀座に開業した大規模施設『GINZA SIX』の物流を一元管理する業務を請け負ったばかり。
イー・ロジット代表取締役の角井亮一氏も言う。
「工業団地などに行くとわかるのですが、佐川急便のトラックの多さは目を見張るものがある。物量が多いと一個当たりの単価も安くでき、利益率もとりやすい。
そこへきて、上場資金で海外進出を加速し、物流センター業務を得意とする日立物流との連携を深化させれば、佐川の弱みだった倉庫や物流センター部門も強化できる」
つまり、SGHDにはまだまだ「成長余地」があるということ。上場した暁には「初値が公募価格を上回る可能性が高い」と、前出・西堀氏は言う。
「SGHDは、今後の物流の要となる不動産事業も押さえ、将来的にアジアでの企業物流を制するための布石も着実に打っている。
しかも、SGHDの最大株主は従業員持ち株会なので上場した途端に売るような人は少なく、初値が公募価格を下回るケースは想定しにくい。3000億〜4000億円規模の時価総額での上場となれば、株価は割安。そこから時間をかけて3〜4割上昇する可能性もある」
配当利回りも2〜3%が期待できるというから、マイナス金利の時代に打ってつけの「高金利商品」にもなり得る。
「公募価格は2000〜3000円くらいになるでしょう。初値はそこから2割ほど高い価格をつけ、半年後の株価は公募価格の1.5倍ほど、1〜2年後には公募価格の2倍くらいまでの値上がりが期待できます。
というのも、SGHDは東証一部に上場する予定で、株価指数のひとつであるTOPIXに組み入れられる可能性が高い。指数に組み入れられると、機関投資家はおのずと買わねばならない。巨大ファンドのマネーが一気に入ってくるわけで、値上がりは堅い。だから、『買い』です」(前出・鮎川氏)
もちろん、投資に「絶対」はない。SGHDの株にも思わぬところにリスクが隠れている。
「意外でしょうが、最大のリスクは日本郵政グループの株の売り出しです。政府は郵政グループの株を今夏に売り出しますが、そのタイミングがSGHDの上場と重なりかねない。
日本郵便という物流企業を抱える同業者の株の売り出しに投資家が殺到すれば、SGHD株への需要が急減するリスクが出てくる。
また、8月頃から大手物流企業の決算が出てくる。そこで市況が悪いことがわかれば、SGHDの株価を下振れさせる悪材料になる」(前出・大手証券幹部)
郵政株の動向と、同業他社の決算動向を注視しながら、「その日」に備えるのが得策。うまくいけば、「株価2倍」の大儲けも夢ではない。
「週刊現代」2017年7月8日号より
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