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日本郵政、大型買収で迷走の元凶は「高株価維持」の重圧
http://diamond.jp/articles/-/134044
2017.7.4 ダイヤモンド・オンライン編集部
「打ち上げ花火」は、またも不発に終わった。
日本郵政による野村不動産ホールディングスの買収交渉は、6月19日、両社がそれぞれ「交渉の白紙化」を発表した。買収額が数千億円規模になるといわれた大型案件。だが、最終的な買収価格で折り合えなかったと見られている。
日本郵政は、全国の一等地にある郵便局を高層ビルなどに衣替えし、収益源に育てる構想を持つ。「プラウド」ブランドのマンションで知られる野村不動産のビル開発ノウハウを得るのが、買収の狙いだったとされる。だが、不動産業界では「わざわざ買収しなくても事業提携すれば済む話。別の狙いがあったように感じる」(大手幹部)との声も少なくなかった。
大型買収ありきの成長戦略
財務省からのプレッシャー
初めから「買収ありき」だったのではないか――。そんな見方は、郵政をよく知る関係者の間でくすぶっている。
日本郵政の大型M&A(企業合併・買収)好きは、今に始まったことではない。2008年から10年にかけて、「ペリカン便」で知られる日本通運の宅配便事業を吸収した。15年には6000億円超を投じて、オーストラリアの大手物流会社トール・ホールディングスも買収した。
ただ、いずれも買収後は思うような成果が出ず、経営の重荷にもなっている。宅配便は、準備不足がたたって遅配を繰り返すトラブルが発生。トールは、豪経済の低迷もあって収益が思うように上がらず、日本郵政は17年3月期決算で約4000億円もの減損損失計上を余儀なくされた。
手痛い失敗を重ねてきたはずなのに、再び、野村不動産の買収をめざしたのは、なぜなのか。M&Aへの執着は、どこから来るのか。
背景にあるのは、株式の8割を握る財務省からのプレッシャーだ。
「日本郵政が最重視すべきは企業価値の向上だ」と財務省幹部は明言する。要は「株価を上げろ」ということだ。
財務省は日本郵政株の売却で得られる資金で、東日本大震災の復興費用の一部をまかなう計画を表明済みだ。低い株価でしか売れなければ、復興事業に支障が出かねない。すでに一部の政府保有株は、15年11月の株式上場時に売った。今夏にも2回目の売り出しを予定しているところだった。
郵政株上場は
アベノミクスの目玉
また、財務省は1回目の郵政株売り出し時に、証券会社と組んで個人投資家に優先的に配分した。預金に偏る個人金融資産をもっと株式市場に流し込み、日本経済の活性化につなげようと、「貯蓄から投資へ」と国民に呼びかけてきた。
身近な存在で事業もわかりやすい日本郵政の株は、個人投資家の入門用としてうってつけだった。
日本郵政の株主数は3月末で50万人を超え、国内屈指の規模だ。大半が個人投資家と見られる。
そんな日本郵政の株価が下がっていけば、ようやく芽生え始めた個人投資家の株式投資熱を一気に冷ましかねない。経済最優先を掲げ、タカ派色を消すことで支持率を維持してきた安倍政権にとっても、自らの政権下で上場させた郵政株の下落はダメージになり得る。 「アベノミクス」にとっても、高株価は是非ものだ。
07年10月、民営化で発足した日本郵政グループは、持ち株会社の日本郵政の傘下に、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の三つの事業子会社が展開する。ただ、利益の9割は、ゆうちょとかんぽの2社だけで稼いでいる。
この2社とも15年秋に「親子上場」しており、今後も日本郵政は出資比率を下げていくことが、法令で義務づけられている。
じり貧の郵便事業
買収は手っ取り早い株価対策
つまり、将来も郵政グループに残るのは、電子メールの普及などで、手紙・はがきの利用減に直面する日本郵便だけなのだ。日本郵政の株価とは、そんな日本郵便の成長性をどう見るか、ということでもある。
日本郵便は郵政民営化法で「ユニバーサルサービス」も義務づけられており、人口の減る地方の郵便局も赤字覚悟で維持しなければならない。おまけに人手不足で配達員の人件費は今後もふくらむ見通しだ。
一方で、日本郵政の純資産額は昨年末で15兆円を超え、トヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループに次ぐ国内3位の規模を誇る。成長性を投資家にアピールするには、その資本力を生かし、投資家に受けやすい大型のM&A構想をぶち上げるのがよい。それが手っ取り早い株価向上策になる。
振り返れば、過去の大型M&Aはいずれも投資家向けのアピールが迫られていた時期に表面化している。
「ペリカン便」の統合構想が明らかになったのは07年で、民営化の初年度だった。民間会社としてスタートする景気づけとともに、政争の末に展望のないまま民営化されたというイメージを打ち消す話題が求められていた。民間から大物バンカーの西川善文・元三井住友銀行頭取を経営トップに招いており、その成果を早めに示す必要もあった。「グローバル戦略」と銘打ってトールの買収を発表した15年2月は、その年の秋に株式上場を控えていた。
当時、第二次安倍政権の要請を受けて社長に就任した西室泰三・元東芝社長は、就任早々、グループ会社の幹部らに、できるだけ早く大型のM&A実現をと発破をかけたという。
そして今、財務省による2回目の株式売り出しが迫りつつある。ただ、現状の株価は1回目の売り出し価格(1400円)を下回る水準で推移し、これを上回ってこないと売り出しは厳しいとも見られている。
日本郵政でM&A戦略を練るのは、取締役で日本郵便社長も兼ねる横山邦男氏だといわれる。三井住友銀行出身で西川氏の懐刀として知られ、06年に郵政グループに移り、「ペリカン便」統合などを指揮した。09年から三井住友に戻っていたが、昨年になって電撃復帰した。
改めて問われる
民営化の必要性と意味
日本郵政の次の買収先は、どこか。関係者の間では、大手物流会社の名前なども取りざたされている。
だが、05年の郵政選挙で民営化を支持した多数の国民は、そもそも次々と「花火」を放つような経営を望んでいたのだろうか。
郵政は、国鉄(現JR)のように年1兆円超の赤字を出し続けたり、電電公社(現NTT)のように割高な利用料を取っていたりしたわけでもない。「郵政民営化が必要だったのか、いまだに疑問がぬぐえない」と総務省OBは語る。
なぜ、だれのためにやるのか。そうした議論が不足したまま、「政治決着」で突き進んだ民営化路線のもとで、「打ち上げ花火」を放ち続ける経営を宿命づけられた日本郵政は、その犠牲者といえるのかもしれない。
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