http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/768.html
Tweet |
所得格差3倍のトップとビリが激突!港区と足立区、住むならどっち? それぞれの幸せと懊悩がある
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51799
2017.05.25 週刊現代 :現代ビジネス
一番ポピュラーな乗り物はかたや高級外車、かたやママチャリ。ミシュランガイド掲載店は129店に3店。「対極」にある2つの区を比べれば比べるほどに悩ましくなる、「人生、何が大切か」。
セレブのスーパー「福島屋」
「やっぱり港区という土地は、それ自体が『ブランド』だから。他のところに住むのとはステイタスが違うよね」
こう語るのは、港区六本木一丁目在住の経営コンサルタントA氏だ。
大阪出身のA氏が港区に住み始めたのは今から10年ほど前のこと。
スペインやスウェーデンなど、各国の大使館がずらりと立ち並ぶ六本木一丁目の街角にそびえる、タワーマンションの25階。受付にはコンシェルジュが24時間体制で待機し、駐車場の賃料は月々なんと7万円だ。
「なんといっても、この辺は『食』が充実している。麻布にも六本木にもウマい店が山ほどあるし、いざとなれば銀座にも車で15分あれば出られる。こんな立地は、港区しかないでしょう」(A氏)
A氏の言うとおり、港区内には『ミシュランガイド東京2017』に掲載された店が129店。これは、銀座を擁する中央区(100店)を押さえて、23区で断トツだ。
「食事を作るにしたって、スーパーで売っているモノの質が違いますから。世間では『成城石井』が高級スーパーの代名詞みたいになってるけど、あそこは高いけど質はまあまあ。一番素材が良いのは『福島屋』かな」(A氏)
「福島屋」とは、六本木一丁目駅に直結の「安心・安全な素材へのこだわり」を前面に打ち出したスーパーマーケット。
自家製の醤油は1Lでなんと1000円。宮城県でこだわり抜いて作ったという「ひとめぼれ」は5kgで4780円という強気の価格だ。
「スーパーって『コミュニティ』なんだよね。地域に住む人が何を望んでいるかが、如実に商品に出る。
港区の住民は、美味しくて、身体に良いものにはお金を惜しまない。せっかく良いところに住んでるんだから、健康を万全にして毎日をエンジョイしたいからね」
A氏の言葉を借りるまでもなく、麻布に青山、赤坂と、港区には都民ならずとも誰もが知っている「ハイパーセレブタウン」が密集している。
総務省の調べによると、港区民の年間平均所得は都内トップの1111万円。23区唯一の1000万円超えで、文字通り、東京の勝ち組の「頂点」に位置している。
トップがいれば、最下位がいる。東京の平均所得の最下位だったのが足立区。335万円と、港区の3分の1だ。
金額だけ見れば、どちらが恵まれているかは一目瞭然。とはいえ、おカネで幸せが買えないことぐらいは、もはや周知のこと。今回、本誌記者は2つの区をひたすら歩き、住民たちの「本当の幸福度」を比べてみた。
物価も3倍違う
朝9時、「古き良き足立区」の風景がもっとも色濃く残っていると言われる足立区・竹ノ塚。
東武伊勢崎線の竹ノ塚駅前にある喫煙スペースで一服していた、ややヤンキー臭の漂う20代の男性Bさんに話しかけると、人懐っこい笑顔で語りだした。
「え、この辺について調べてるんスか?足立区って、メッチャ等身大っていうか、メッチャ暮らしやすいっていうか、メッチャ楽だし、メッチャ友達いるし、親の家も近いし、メチャメチャいいトコなんスよ!」
Bさんは、大学を中退し地元でフラフラしていたときに、コンビニで偶然再会した中学の先輩の紹介で、先輩の親族が経営する不動産会社に就職したという。
「スーパーはいっぱいあるし、大抵の用事は北千住に行けば済むから、正直、仕事以外で区外に出る理由がない」(Bさん)
ちなみに、足立区民に最も馴染みのあるスーパーはイトーヨーカドーだ。北千住で第一号店を開業したヨーカドーは今でも足立区内に大小5店舗を展開。竹ノ塚にも、駅から徒歩10分程のところに「イトーヨーカドー竹の塚店」がある。
'00年代には、年5%を越える驚異的な売上率アップを達成し、日本中から注目された「伝説の店舗」だ。
5歳になる娘をママチャリの後ろに乗せ、買い物に来ていた30代女性Cさんが言う。
「ヨーカドーは安いし、なんでもあるからホントに便利ですよ。旦那と娘の服も、ぜんぶここで揃えます。1000円カットも入ってるので、今日は娘の髪を切ってもらいにきたんです。美容院?まだ早い早い(笑)」
食品コーナーを覗くと、この日はコシヒカリ5kgが1680円、醤油1Lが250円。一概には比べられないが、六本木一丁目の福島屋との「物価」の差は歴然。
同じ都内でこれだけ違うと、港区民は「損した」気にならないのか。前出のタワマン住民・A氏に問うと、鼻で笑われた。
「世の中、『安かろう、悪かろう』って相場が決まってるじゃないですか。ウチも娘がいますけど、この辺では小さい頃の服は『サエグサ』や『ファミリア』で買うのが当たり前。
ブラウス一枚で1万円はするけど、何回クリーニングに出してもまったくヘタらない。さすがに、スーパーで買った服を幼稚園に着ていかせられないですよ(笑)」
金持ちランキングの「トップ」と「最下位」。金銭的な価値観には、もはや埋められない溝があるようだ。
幼稚園の前に高級外車の列
続いて、竹ノ塚に並ぶ足立区の「ディープタウン」綾瀬に移動しよう。電車の便が悪い足立区において、バス路線網の拠点として栄えている町だ。
JR常磐線の綾瀬駅西口を降りてすぐ。まだ日も高いというのに、客で賑わっているもつ焼き屋ののれんを潜った。
この日はちょうど競馬の「天皇賞」の日。作業服姿でホッピー片手にラジオを聞きながら一喜一憂していた60代の男性のDさんは、すでにろれつが怪しい。
「俺はこの辺で、カミさんは西新井。一族郎党ずっと足立区だよね。不便?全然ないよ。『治安悪いんでしょ』ってよく聞かれるけど、これでも随分良くなったんだから。
今はデカい警察署が4つ(千住、綾瀬、竹の塚、西新井)もあるから、かえって取り締まりが厳しいよ。ベンチで寝たりしたら、すぐ声をかけられる(笑)。
え、港区?あんまり行かないけど、駐車場代だけで7万円って、そりゃ、ビックリだね。そのカネ俺に貸してくれりゃ、100倍有効に使ってやるってのに」
足立区は「犯罪多発地域」というステレオタイプなイメージがあるが、Dさんの言う通り、近年の犯罪件数は減少傾向にある。
むしろ、人口あたりの件数で考えると、23区の中でも真ん中より下。「極端に治安が悪い」というレッテルは、もはやあたらないことがわかる。
「そうは言っても、やっぱり、『昔の事件』の記憶もありますから、怖い場所っていう印象はぬぐえませんよね。もし子供が何かに巻きこまれたら嫌ですもの……」
表情を曇らせるのは、俗に言う「シロガネーゼ」の30代女性・Eさん。
Eさんの娘が通う幼稚園は、港区・西麻布の瀟洒な門構えの家屋がズラリと並ぶ場所にある。セレブたちがこぞって子供を入れたがる「名門中の名門」だ。
9時頃になると、園の入り口に次々と車が止まり、子供たちが降りてくる。ベンツの高級モデルSクラスやマセラティなど高級外車ばかりがズラリと行列をなす。
この日、足立区で見られたように自転車の後ろに子供を乗せた父母は、ひとりもいなかった。
「あそこに限らず、港区の幼稚園は基本的に車での送り迎えが基本です。大使館が多く、警察の警備も抜かりないので安心。送り迎えのあとは、ママ友たちとの『ママ会』があります。場所は、ホテルのラウンジが多いかしら」(Eさん)
悩みと言えば、子供を遊ばせる場所が区内には少ないことくらい。
「人工的な緑はあるんですけど、思いっきり駆け回れるような広い場所は少ない。ママ友の中には『東京ディズニーランド』の年間パスポートを購入して、子供たちを公園代わりに毎日のように連れて行っている人もいます」(Eさん)
ディズニーランドの年間パスポートは、大人が6万3000円、子供が4万1000円。2人合わせると10万円を越えるが、毎日公園代わりに使うことを考えたら、「おトク」ということか。
一見、贅沢気ままな「ママ友ライフ」を謳歌しているように見える港区ママたち。
だが、口にこそださないものの、港区の親の間には歴然とした「階層意識」があるのだという。
「やっぱり、幼稚舎(小学校)からエスカレーターで慶應というのが、ベストなんです。別にステイタスを求めているのではなく、それが一番安心できる環境。
あそこの保護者は、互いにどの辺に住んでいて、どんな仕事をしているかを知っていますから。『変な方』が混じりにくい」(Eさん)
子供の身を守る一番の選択肢が「幼稚舎から慶應」というわけだ。
カネはないけどダチはいる
「このあたりだと、大企業の創業家であるとか、政治家一族の奥さんも当たり前にいるので、ママ会でも、経済とか政治の話をすることはご法度。
先祖代々の家と財産を守り、どれだけ同じ生活レベルを維持するかが、本当の港区民が求める『価値』なんです。
金融とかITとかで一代で財を成して引っ越してきた人たちは『ヨソから来た人』という雰囲気が、どこかにあります」(Eさん)
一方の足立区は、こうした「見えざる選民意識」とは無縁だ。足立区の西新井で10年ほど焼き鳥屋を営む60代の店主が言う。
「もともと私は20年くらい六本木の焼き鳥屋で修業しましてね、独立した時に、妻の実家から近いここに店を持ちました。最初に来た時は、正直、寂れたところだなって思いましたよ(笑)」
焼き方や素材は六本木時代と極力変えないようにしていると胸を張るが、一串の値段は2分の1程度に抑えているという。
「この辺りにはね、人情がまだ生きてる。確かに、六本木には羽振りのいい人がいっぱいいた。みんな愛想は良いんだけど、なかなか心は開いてくれなかった。
店を辞めるとき、皆さん『独立するの?おめでとう。食べに行くよ』って言ってくれたけど、本当に来てくれた人は一人もいませんよ。
でも、この辺の人は、『オッチャンの顔がみたいから』って、私に会いに来てくれる。『ああ、ヨソ者の私なんかのことも気にかけてくれてんだな』って、ジーンときちゃうね」(焼き鳥屋店主)
この話を、港区のタワマン住民・A氏に伝えると「確かに、そういうぬくもりは、この辺にはないものかもしれませんね……」と少し寂しそうな表情を見せた。
「いいところに住んで、仕事のやりがいもあって、カネも十分にある。でも、たまに虚しさを感じることはあります。子供も地域と関係のない私立の一貫校に行かせたから、『地元にフラっと帰ってきたら、昔の友だちが温かく迎えてくれて』みたいなこともない。
子供のことを考えると、足立区の人たちみたいな生き方もちょっとうらやましいかな、と思いますね。でも、やっぱりヨーカドーの服は着たくないけどね(笑)」
後日、竹ノ塚で出会った「マイルドヤンキー」Bさんが、自宅に招いてくれた。竹ノ塚駅から自転車で2分、保木間にある2DKのアパートに家族4人。すぐ近くにはBさんの実家もある。
「さすがに医者になった友達はいねえけど、看護師もいるし、居酒屋やってるヤツも、実家のスーパー継いでるヤツもいる。みんな足立区に住んでるんスよ。
仲間の親とも知り合いなんで、何があってもすぐに助け合えるっていうか、メッチャ頼りになる。カネがないから、宅飲みばっかだけど、お兄さんもまた遊びに来てよ、友達紹介するから」
足立区と港区。そこにはそれぞれ、数字では表せない「悩み」と「幸せ」があった。
「週刊現代」2017年5月27日号より
投稿コメント全ログ コメント即時配信 スレ建て依頼 削除コメント確認方法
▲上へ ★阿修羅♪ > 経世済民121掲示板 次へ 前へ
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。