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米経済に、リーマンショックを思い出させるイヤな数字が出現中 楽観視している人は多いけど…
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51657
2017.05.08 真壁 昭夫 信州大学経済学部教授 現代ビジネス
米国の経済指標などを見ると、緩やかな景気回復の先行きに黄色信号が灯りつつある。
今年1−3月期は、天候などの要因で一時的に景気が落ち込んだとの説明は多いものの、4月以降の経済指標も予想を下回るものが多い。
マインド系の指標だけでなく、消費などの実体経済に関するデータも不安定だ。米国の景気回復は頭打ちの状況を迎えつつあるといえるだろう。
その一方、米国の株式市場には楽観的な投資家が多い。
“恐怖指数”とも呼ばれるS&P500株価指数全体の価格変動率の水準を示すVIXインデックスは、5月1日に終値ベースで史上最低の水準をつけた。カネ余りなどにも支えられ、株式市場の参加者は米国経済の先行きに差し迫ったリスクを感じてはいないと考えられる。
リスク資産に対する投資家の心理が一方向に偏った時、一旦、相場が変調をきたすと、偏った楽観が急速に悲観に変わる恐れがある。
投資家の中には、「米国株式市場はバブルの域に入った」との指摘も目立ち始めている。今後の株式市場の展開には、相応の注意が必要だろう。
先行きに不透明感が出てきた米国経済
昨年11月の米国大統領選挙から現在までの米国経済は、トランプ大統領の税制改革やインフラ投資に対する期待に支えられてきた。
特に影響が大きかったのが米国の株式市場だ。米国の株価は史上最高値を更新するまでに上昇し、それが企業、家計など経済に関する“マインド=心理”を好転させた。この期待が消費にどの程度の影響を与えたかについては様々な見方がある。
GDPや個人消費支出(PCE)の推移をもとに考えると、トランプ大統領の当選が実体経済に影響を与えたとは考えづらい。
トランプ氏が重視してきたインフラ投資などは実行できておらず、潜在的な需要に変化はないと考えられる。あくまでも、経済は景気循環の中での回復に支えられている。回復が続く間にトランプ政権が経済対策を具体化し、実行できるかが焦点だ。
足許のデータを見ると、先行きの不透明感は高まっている。
年初来の新車販売台数の減少に加え、3月の個人消費支出(PCE)物価指数は、前月比でマイナスだった。個人の支出も増えておらず、消費は盛り上がりに欠ける。需給懸念から原油価格が下落すると、リグの稼働数が減少し、設備投資に影響が出る懸念もある。
こうした状況の中、トランプ政権が公約通りの取り組みを実行に移すことができないと、先行きへの期待はこれまで以上のマグニチュードで剥落する恐れがある。
その場合、景況感の悪化が消費、企業の設備投資の意欲を下押しすることが懸念される。今すぐではないにせよ、米国経済の減速リスクが高まるシナリオは排除すべきではない。
リスクテイクは慎重に
景気が頭打ちになりつつあると考えられる中でも、米国の株式市場には楽観的な見方が多い。2017年1〜3月期の米企業決算は、前年同期比で12%程度の増益が見込まれるなど、株価を支える材料もある。
ただ、景気動向の不確実性が増していることに加え、北朝鮮問題という未知のリスクがあることも勘案すると、この水準を正当化するのは難しい。
実際、株価に対して慎重な見方を示す専門家は多い。
米イェール大学のロバート・シラー教授が考案したCAPEレシオ(物価変動の影響を除いた実質ベースの株価が、過去10年間の平均的な企業利益の何倍かを示す指標)は29倍を超えた。この指標が25倍を超えた後にITバブルの崩壊やリーマンショックが発生したことから、現在の株価水準には警戒が必要との見方もある。
もしトランプ政権が、増加傾向にある賃金コストを吸収できるだけの需要を生み出すことができれば、米国の株式市場に広がる楽観論は正当化されるだろう。
問題はトランプ政権の経済対策が、設備投資の増加と生産性の改善につながるか否かだ。少なくとも、「米国の製品を買え、米国人を雇え」と命じる政策が出ているうちは、企業の収益性が改善するとは考えづらい。
株価が高値圏にある一方、米国の長期金利の水準は切り下がっている。どちらかといえば米国の金利は、景気などのリスクを冷静に評価しているといえるのではないか。それがドル/円の戻りを抑えている一因だろう。
楽観に浸る投資家がいる一方、先行きに慎重な市場参加者も多い。先行きのリスクテイクは慎重に考えるべきだろう。
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