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メディアを支配している、陰謀の渦巻く会社といったイメージがネット上にはある?(撮影:尾形文繁)
電通と博報堂はいったい何をしているのか 超エリート集団の実態とは
http://toyokeizai.net/articles/-/167865
2017年04月23日 塚田 紀史 :東洋経済 記者
五輪エンブレム騒動、若手女子社員過労自殺、さらに……。今、広告代理店に逆風が吹いている。ネット上には、虚実入り交じった悪評が連日書き込まれる。なぜか。『電通と博報堂は何をしているのか』を書いたネットニュース編集者で、PRプランナーの中川淳一郎氏に聞いた。
とかく正体がわかりにくい
――広告代理店は「ぬえ」的存在なのですか。
一般企業でもなければメディアでもない。基本的にはコミュニケーションにまつわることをすべてやる。クライアントとの「情報の非対称」を利用して、特に電通、博報堂は高収益を上げ、社員は高い給料を得ている。にもかかわらず、仕事内容をはっきり開示せず業務を進めてきた。だから正体がわかりにくい。
──とかく陰謀の主役説があります。
実態としては「何でも屋」だ。得体の知れない存在ではなくて、客の申し出に対し「はい、喜んで」と何でも受ける。社員は単なる「モーレツサラリーマンの社畜」であり、それだけの存在でしかない。
──名は体を表さずの組織ですか。
組織名はよくわからないカタカナやナンバー表示だったりする。たとえば今のように話題の動画を作りたいというニーズが膨らめば、部署は増えていく。電通はテレビや新聞に強い。博報堂は伝統的に出版広告が得意。出版社の宣伝部と仕事をする出版営業局、これはわかりやすい。ところがある時期に公共ニーズが増え、ある県の役所を担当する部署が第13局として分化した。そのセクションも時代とともに名前は「テーマ何とか局」に変わる。こうして日々姿を変えながら、客の要望に応えていく。このやり方を続けている。
──人脈も単純でなく……。
どこかの雑誌がA社に取材したいと言ってきたとしよう。A社の広報から博報堂に問い合わせがくる。この出版社はブラックジャーナリズムかどうか。すると、契約しているその分野に詳しい人物に問い合わせる。その人物の氏素性はわからない。会社にいた頃、月に何回かその人物に連絡を取った。
広告代理店から内閣府に、広報担当として出向
中川 淳一郎(なかがわ じゅんいちろう)/ケロジャパン代表取締役。1973年生まれ。一橋大学卒業後、博報堂コーポレートコミュニケーション局で企業のPR業務を担当し、2001年に退社。CM・広告関連記事の雑誌ライターとして活動後、『TVブロス』編集部などを経る。著書に『ネットのバカ』『謝罪大国ニッポン』など(撮影:今井康一)
──選挙の手伝いもしますね。
選挙を手伝った広告代理店から内閣府に、広報担当として出向したりしている。自民党は電通、旧民主党は博報堂だった。ネット選挙が解禁になって、動くおカネがより大きくなった。政見放送、対談記事、一工夫した各種メディア向けの動画も代理店の仕事だ。特に解散・総選挙は緊急事態だから、いずれも特急料金でおいしい。衆議院選挙のほうが人数も多いだけ大きな額が動く。
──実際にも手掛けられた。
代理店経由でネット選挙の手伝いの指名がきた。わが党がどう見られているか、ネット上の論調を分析せよとのリポートから、候補者はツイッターで何を発信すればいいか、その反応への対策を考えよといった発注まできた。
──各種の企業広告となれば、「自家薬籠中の物」ですか。
謝罪会見も商機になる。そのリハーサルを1回100万円や200万円で請け負う。記者役を仕立て、想定シナリオも作る。そのVTRを提供して、発言内容や振り付けの指導をして、それもビジネスにしてしまう。振り返れば日本マクドナルドの社長は、1回目の会見とそれ以降では清楚に見せ深々とおじきをして、ずいぶん変わった印象だった。おそらく電通が助言をしたのだろう。
──企業からの収入は大きい。
在籍していた1996年当時、博報堂は日産自動車とマツダの「アカウント・エグゼクティブ」になり、それで扱い高は年1300億円近く一気に上乗せされた。この奪い合いは厳しい。負けたほうは左遷人事が発生し営業力の真価が問われる。
──営業の電通といわれます。
客に対して忠義を徹底的に尽くす。営業がいちばん偉いという考え方が強い。博報堂はクリエーターが偉そうにする。博報堂の給料は電通の7掛けだが、それでも世間的にはまずまずの水準にある。代理店に共通するのは、自社ないし自分だけでは何もできない「横流し体質」と、とかく大人数で打ち合わせに立ち会う点。クライアントには怒られないため、はやりを作るはずが、流行に踊らされがちになる。
──ご自身はアマゾンの日本上陸時に博報堂を退職しましたね。
入社して3年半のときにアマゾンの日本上陸の仕事が始まって、アマゾン・ドット・コムの業務を手掛け、その間半年、「自分が好きでもないクライアントのおっさんを出世させることが広告代理店のサラリーマンの本質」とわかって辞めた。今のヤマト運輸みたいなものだ。アマゾンは餌をちらつかせながら人を酷使する。
「客は神様だ」の発想にとらわれすぎている
──広告業界の残業時間は特に長い?
日本社会全体の問題だ。「客は神様だ」の発想にとらわれすぎている。電通や博報堂はその客のために90点以上をつねに取ろうとする。そこをやめれば過重労働は終わるかもしれない。過労状況を変化させる突破口は、目立つ業界が変わることだ。
──楽しい仕事がいっぱいできるイメージがありますが。
デジタルでは電通もそこまで強くない。まだ勉強しながらやっているから、勤務時間も長くなるし、ワールドカップやオリンピックあるいはテレビでは尊敬されても、デジタルではなめられている。確かに専門代理店のほうがデジタル広告には強い。新興の専門業者がのしてきて、既存の代理店も人材を育てようとしている。デジタルの特徴はいつでも直せることだから、仕事に追われ続け、なかなか終わりがない。
──五輪エンブレムでは博報堂が話題になりました。
あの問題はエリートと非エリートの闘いだった。渦中の人物は最高峰クラスの美術大学出身。それらの大学から毎年、数名しか行かない広告代理店に入った。この時点で相当の勝ち組。さらにその社内で優秀な師匠について、自分も大きい仕事をたくさん手掛け、フリーになって大金を稼いだ。このサクセスモデルをネット民が潰したかったのだ。博報堂を大方の接点にしてストーリーを紡いだ。ネット雑談の醍醐味を使ってどうやって引きずり下ろすか。ウェブ上の炎上がすごかった。
──電通、博報堂は特権階級?
実際には生活者の発想、一般の目線などない。広告を出せる会社はみな浮き世離れしている。それこそ、広告代理店が付き合うのは世間の上位何%かの金持ち。そういうところばかり相手にし、自分たちは全員が大卒。一般の目線とは、世の中の大多数を占める年収300万円以下の人たちを意味する。ただ、どうしようもない「人物」も多いものの、案外と汚職や談合的なものもなく、ビジネススタイルはそこまで汚れていない。
『電通と博報堂は何をしているのか』 (星海社新書)(講談社)。書影をクリックするとアマゾンにジャンプします
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