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中東・北朝鮮の紛争リスクが為替と株価に与える影響
http://diamond.jp/articles/-/125022
2017.4.18 週刊ダイヤモンド編集部
トランプ相場は頓挫した。大型景気対策への期待感から、株高そしてドル高円安が続いていた。しかし、北朝鮮や中東での衝突リスクの高まりがその期待を抑え始めた。
昨年のトランプ米大統領の当選確定後から、大型減税、巨額のインフラ整備による景気浮揚を期待して、世界の株式市場は上向いた。ニューヨークダウは2万ドルを突破、日経平均株価も3月13日に1万9633円の高値を付ける。
米国景気拡大、FRB(米連邦準備制度理事会)の複数回の利上げ見通しを材料に、円の対ドルレートも選挙前の1ドル=100円台から、ステージを円安方向に上げ、110円台で推移していた。
しかし、オバマケア撤廃法案撤回でトランプ政権の政策実現能力に疑いの目が向けられ、相場の潮目が変わり始めていたときに、シリアへの攻撃、核開発を進める北朝鮮と米国の衝突リスクが高まり、株価は下落基調に転じる。
米中首脳会談がほとんど成果なしだったことで、北朝鮮との衝突リスクはさらに拡大した。加えて、新聞でのインタビューでトランプ大統領が「ドルは強過ぎる」と発言したのが伝わったこともあり、4月12日のニューヨーク市場で円の対ドルレートは108円台に突入。円高や北朝鮮リスクの高まりを受けて、13日の日経平均株価は1万8500円を割り込んだ。
ただ、100円を割り込む円高、株価のさらなる大幅下落を予想する声は少ない。
それは、世界経済の拡大が続きそうだからだ。3月の米国の製造業総合景況指数は前月比マイナス0.5の57.2と7カ月ぶりに低下したものの、拡大と縮小の分かれ目である50を大きく超えている。中国の財新製造業購買担当者景気指数も3月まで9カ月連続で50を上回っている。
FRBのイエレン議長も「米国経済は非常に健全」と先行きに自信を見せているほど。トランプ相場もこうした世界景気浮揚に支えられていた。
つまり、足元の株価下落やリスクオフへの転換は、紛争リスクが景気浮揚による効果を抑え込んだからで、今後も、世界景気浮揚と紛争リスクとの綱引きは続く。
北朝鮮で故金日成国家主席生誕105周年といった、核実験やミサイル発射の契機となるイベントが続くことや、フランスや韓国の大統領選挙などの波乱要因が今後はめじろ押しである。
まとめるとこうだ。中東や北朝鮮での軍事衝突、欧州での右翼政権誕生といった混乱が起きなければ当面、世界経済拡大は続くだろう。一方でリスクが顕在化すれば、100円割れ、日経平均株価の急落もある。そして現実にならずとも、当面は紛争リスクが上回り、円高株安基調が続きそうだ。
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