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博報堂、国勢調査告知で「間引き」疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か( Business Journal)
http://www.asyura2.com/17/hasan121/msg/164.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 4 月 17 日 00:52:50: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


博報堂、国勢調査告知で「間引き」疑惑…国から受注の契約回数満たさぬまま満額請求か
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18727.html
2017.04.17 文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者 Business Journal


 国勢調査は、国のもっとも大がかりな統計作成のための全数調査で、原則として5年に1度行われる。調査対象は国内の人口、世帯、産業構造などである。

 この国勢調査に絶対に欠くことができないのが全戸に向けた告知なのだが、これを担当していた大手広告代理店の博報堂が、新聞広告(政府広報)による告知を大幅に「間引き」していた疑惑が浮上している。

 2015年4月1日、総務省統計局長(当時)・井波哲尚氏は、博報堂の戸田裕一社長との間で「平成27年国勢調査の広報に関する総合企画」というタイトルの契約を交わした。それによると、一式(延べ回数にして25本)の新聞広告を制作・配信する取り決めになっていたが、博報堂が制作・配信したのは、12本だけだった。にもかかわらず、博報堂は25本分に当たる全額を請求していた。

 筆者がこの事実に気づいたのは、情報公開請求によって入手した国勢調査の契約書・見積書・請求書の3点と、国勢調査が行われた時期の政府広告を丹念に精査した結果だった。このような調査を始めた動機は、別件取材のなかで博報堂の業務に強い不信感を持ったからである。

 たとえば15年12月8日付産経新聞(電子版)は、岩手県の大槌町が、東北博報堂(仙台市青葉区)に依頼した大震災の記録誌編集事業の契約を解除したことを伝えている。その原因は、「納期の7月に内容を確認したところ、被害状況などのデータの羅列にとどまり、震災の悲惨さを伝える記録誌としての完成度は低く、いったん期限を11月末に延長。9月には一部の文章で、県が発行した別の記録誌からの無断コピーも発覚した」(同紙より)からである。

 また、16年3月23日付朝日新聞(電子)によると、岩手県の施設、いわて県民情報交流センターを管理している東北博報堂など4社が、アルバイトを使って入館者数を水増していたことを報じている。

■契約回数に未達

 博報堂と総務省の契約書によると、国勢調査は、次のような時系列のステージで実施されることになった。

(1)国勢調査実施の告知期間(平成27年7月1日から8月31日まで)

(2)調査関係書類配布の告知期間(同年9月1日から30日まで)

(3)インターネット回答実施の告知期間(同年9月1日から16日まで)

(4)インターネット未回答者の回答促進期間(同年9月17日から20日まで)

(5)回答促進期間(同年10月1日から7日まで)

(6)未回答者の回答推進期間(同年10月8日から20日まで)

 これを前提として、政府広告の新聞掲載は、次のような契約になっている。該当部分を引用する。

「上記『7(2)〜(6)』の各期間に全国紙5紙【筆者注:朝日、読売、毎日、産経、日経】の朝刊に掲載すること。内容については、訴求内容に応じて各社提案によるものとする」

 掲載時期は、契約により上記(2)〜(6)の各期間に設定されていたのである。それに連動して国勢調査を段階的に進めるからだ。いわば告知と調査は車の両輪の関係にあったのだ。

 ところが、筆者がこの期間に政府広告が本当に掲載されているかを、新聞の縮刷版を使って調べたところ、次々と未掲載が確認された。そこで博報堂に問い合わせたところ、延べ回数で12本しか掲載していないことが判明したのだ。

 筆者は16年12月27日にメールで博報堂の広報部へ、「国勢調査のスケジュールに連動して、5回(筆者註:5ステージの意味)の記事下広告を掲載する」契約だが、「掲載紙(中央紙5紙)に版下を搬入」したかどうかを質問した。これに対する博報堂の回答全文は以下のとおり。

「ご指摘の『5回の記事下広告の掲載』というのは、『全国紙5紙の朝刊に掲載すること』という記載のことを、おっしゃっていらっしゃいますでしょうか。 実際の出稿は以下のとおりです。既に新聞に掲載された、言わば公開情報ですので、当社からご回答申し上げます。

(1)8月24日 朝日新聞(全国朝刊)、毎日新聞(全国朝刊)、読売新聞(全国朝刊)、日本経済新聞(全国朝刊)、産経新聞(全国朝刊)5紙に全2段の新聞広告を掲載。

(2)9月17日 読売新聞(全国朝刊)に連載漫画下に広告を掲載。

(3)10月1日 朝日新聞(全国朝刊)、毎日新聞(全国朝刊)、読売新聞(全国朝刊)、日本経済新聞(全国朝刊)、産経新聞(全国朝刊)5紙に半5段の新聞広告を掲載。

(4)10月8日 読売新聞(全国朝刊)に連載漫画下に広告を掲載。

以上、延べ12紙に広告は掲載されています。
(1)〜(4)は広告原稿の内容も異なります。ご確認いただければと思います。よろしくお願いいたします」

 引用文でも明らかなように「延べ12紙」と明記している。本来であれば掲載回数は25回だが、実際は12回しか掲載していない。

■総務省の見解

 そこで今年2月15日、総務省会計課に博報堂の回答趣旨を説明し、延べ12回しか掲載されなかった理由を質問した。これに対して同省は、契約書にある次の条項を根拠として提示してきた。

「第18条 甲および乙は、この契約の締結後、天災地変、法令の制定又は改廃、その他の著しい事情の変更により、この契約に定めるところが不当となったと認められる場合は、この契約に定めるところを変更するため、協議することができる。

2 前条第2項の規定は、前項の規定により契約金額の変更に関して、協議を行う場合に準備する」

「前条第2項の規定」とは、「協議が行われる場合は、乙は、見積書等甲が必要とする書類を作成し、速やかに甲に提出するものとする」という規定を指す。

 契約書の有効期間における社会状況などを検証すると、国勢調査の政府広告の掲載予定を変更しなければならないような、「天災地変、法令の制定又は改廃、その他の著しい事情の変更」は見当たらない。少なくとも筆者が総務省に情報公開請求した見積書に、変更に伴う見積書は含まれていなかった。

 そこで当サイトが改めて総務省に問い合わせたところ、同省は次のような回答を寄せた。

「調査が近づくにつれ『かたり調査』等の発生事案が増加してきたことから、円滑な調査を実施する上で、全国の調査対象世帯に向け、注意・喚起を行う必要が急遽発生した。したがって、契約書第18条第1項の「その他の著しい事情の変更により・・・」に基づき協議し、契約金額に変動がない範囲で当初予定していた新聞広告の出稿回数等の見直しを行い、より広報効果の高いテレビCM等に振替を行ったものであり、契約不履行ではないことから、契約書で定めた金額を支払った」

 だが、「かたり調査」は日常的な問題になっており、総務省のウエブサイトでも注意を呼び掛けている。予測できたはずだ。

■不自然な公文書

 さらに、筆者が総務省に確認したところ、新聞広告からテレビCMへの変更の際に提出が義務づけられている見積書が存在しないことがわかった。そして同省は、以下文書を筆者に提出した。



 これによると、テレビCMの間引きにより生じた予算残のうち、「広報用ポスター(4種)作成経費」として1500万円を、「TVCM(かたり調査への注意編)作成経費」として、1044万円を支払うことにした旨が記されている。

 ところが筆者がこの文書(PDF)のプロパティを調べたところ、作成日が17年3月29日になっていたので事情を尋ねたところ、元の書面をPDFにしたのが同日だと説明した。つまり「かたり調査」が発生した時期に作成したものだというのだ。しかし、作成部署も作成年月日も記されておらず、公文書にしては極めて不自然である。

 さらに筆者がテレビCMを放送した証明書である放送確認書の提示を求めたところ、「放送確認書については、履行確認が終了し、処分しております」との回答であった。これを受けて、筆者はメールで次のように総務省へ問い合わせた。

「ご連絡ありがとうございます。添付されたものは、いつ誰が作成されたものでしょうか?PDFのプロパティによると昨日になっていますが、昨日作成したものを、平成27年度の文書として提示すれば、公文書偽造で刑事告発の対象になります。また、放送確認書を処分したとありますが、保存期間を過ぎていないのではありませんか」

 繰り返し総務省に回答を要求したが、期限を過ぎても回答はない。

 国勢調査は国家の重要な事業である。そのような事業において、もし政府広告の間引きが行われていたとすれば、重大な問題といえよう。

(文=黒薮哲哉/「メディア黒書」主宰者)


 

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