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オンワード、売上減地獄突入の兆候…大量閉店と資産切り売り、リストラで多額損失
http://biz-journal.jp/2017/04/post_18729.html
2017.04.17 文=編集部 Business Journal
アパレルメーカーは生き残りをかけて、さまざまな取り組みを行っている。百貨店を主な販路とするオンワードホールディングスは化粧品に参入した。
1月、自然派化粧品を扱うベンチャー企業のKOKOBUY(ココバイ)、製造を担当する米国法人、この2社の株式をそれぞれ80%取得した。
ココバイは2009年の設立。天然由来の成分を使う自然派化粧品や整髪料などを米国で製造し、productのブランドで、国内約1万店の美容室に販売している。
オンワードは、はじめは会員組織「オンワードメンバーズ」や自社の電子商取引(EC)サイト「オンワード・クローゼット」で販売。その後、百貨店や専門店などへと販路を拡大し、アジアを中心としたグローバル展開を計画している。5年以内に小売ベースで100億円の売り上げを目指す。
敏感肌の女性の増加や安全・安心志向の高まりから、自然派・オーガニック化粧品の需要は着実に拡大している。
矢野経済研究所の「自然派・オーガニック化粧品市場に関する調査」によると、15年度の市場規模(メーカー出荷金額ベース)は前年度比6%増の1175億円で、16年度は同4.6%増の1229億円、17年度は同4.2%増の1281億円になると予測している。
自然派・オーガニック化粧品は通販主体の化粧品メーカーの目玉商品となっている感がある。ディーエイチシー(DHC)、ファンケル、ポーラ・オルビスホールディングス傘下のオルビス、シーズ・ホールディングス(旧ドクターシーラボ)、ハーバー研究所などが主なメーカーだ。
アパレル業界からは、レディスアパレル大手のTSIホールディングスが昨年5月、イスラエルの化粧品ブランド「ラリン」の日本事業を買収した。ラリンは、イスラエルの死海のミネラルやシードオイルを使用したオーガニック・自然派化粧品ブランドとして1999年に誕生。ボディーケア、フェィスケア、バス&ソープなどを扱う。日本には11年に上陸し、表参道の路面店、ルミネエスト新宿など全国で20店舗を持ち、15年6月期の売上高は10億円。TSIは5年で50店舗、30億円の年商を目指す。
TSIはラリン買収を機に、化粧品事業に本腰を入れる。ほかの海外ブランドも買収して、5年後には化粧品事業の売上高を100億円にする計画だ。
新規参入が相継ぐ化粧品の主戦場はネット通販だ。資生堂や仏ロレアルなどの有力メーカーの商品がインターネットで買えるようになり、競争は一段と激しくなった。オンワードは、どうやって知名度を上げるのか。化粧品事業の前途は厳しいものがある。
■路面店を計画していた銀座の一等地を売却
オンワードの17年2月期の連結決算は、売上高が前期比7.1%減の2449億円、営業利益が11.3%増の42億円、純利益は10.9%増の47億円だった。
中核事業会社のオンワード樫山の百貨店販売は、婦人服ブランドの「23区」など冬物は好調だったが、夏場から秋口にかけて苦戦したことが響き、減収となった。仕入れを抑えるなどして在庫管理を強化したほか、値引き販売も減らして営業利益は増益となった。
オンワードは構造改革費用として、不採算ブランドの整理、退職金、固定資産の減損損失など45億円の特別損失を計上したが、固定資産や有価証券の売却益など特別利益99億円が寄与し、増益になった。
オンワードは、採算の改善を最優先に、資産を売却している。東京・銀座の並木通りにある面積308.88平方メートルの土地は、16年8月30日に135億円で阪急電鉄に売った。14年7月に取得して自社ブランドの路面店を計画してきたが、業績の悪化でこれを断念。譲渡価格と帳簿価格の差額20億円を特別利益に計上した。
また、同年10月31日、大阪市中央区の事務所兼賃貸用不動産を85億円で譲渡し、固定資産売却益50億円を計上。さらに、今年1月から2月にかけて上場有価証券6銘柄を手放し、17億2500万円の売却益を捻出した。
オンワードの17年2月期の純利益が当初見込みより増えたのは、資産を切り売りして特別利益を出したからにほかならない。赤字転落を避けるための苦肉の策である。
当然、資産を売るだけでは活路は開けないため、販売面でも攻勢をかける。3月15日、EC専用の婦人服ブランド「Two Faces(トゥー フェイシーズ)」を立ち上げた。LINE前社長の森川享氏が運営する動画配信サービス「Cチャンネル」と組む。
18年2月期の売上高は前期比2.3%減の2393億円、営業利益は35.6%増の57億円、純利益は11.7%増の53億円と予想している。オンワード樫山が56店舗閉鎖するため減収になるが、それを補うためにネット通販を強化するとしている。
ネット通販の拡大で、アパレル企業の経営環境はどこも厳しくなっている。ネットを制するものが、アパレルを制するとまでいわれている。オンワードにとっても、17年は試練の年となる。
(文=編集部)
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