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債券上昇、地政学リスクで金利低下圧力−超長期オペ減額困難との見方
山中英典、野沢茂樹
2017年4月14日 08:05 JST 更新日時 2017年4月14日 15:35 JST
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先物は18銭高の151円09銭で終了、長期金利0.015%に低下
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iYWj.jBL2HAs/v2/-1x-1.png
債券相場は上昇。中東や北朝鮮の軍事的な緊張を巡る地政学的リスクの高まりを背景に、安全資産の国債が買われる流れが続いた。日本銀行がこの日実施した長期国債買い入れオペの金額を前回から据え置いたことも買い安心感につながった。
14日の長期国債先物市場で中心限月6月物は、前日比12銭高の151円03銭で開始。その後150円86銭まで軟化したが、午前10時10分の日銀オペ通知後に持ち直した。取引終盤には一段高となり、結局18銭高の151円09銭と、この日の高値で引けた。
JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長は、「地政学的リスクの高まりを背景とした世界的なリスクオフの一環として、日本国債にも利回り低下圧力がかかっている」と説明した。国債買いオペについては、「減額を今どんどん進めると相当な円高圧力がかかる恐れがある。日銀としてはイールドカーブは緩やかなスティープ化が望ましいだろうが、現段階での超長期ゾーン減額は、とてもではないが無理」だと述べた。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値と横ばいの0.02%で開始。いったんは1ベーシスポイント(bp)高い0.03%まで売られたが、次第に買いが入り、午後は0.015%に下げた。
超長期債は堅調。新発20年物の160回債利回りは2bp低い0.56%、新発30年物の54回債利回りは3bp低い0.76%と1月以来の水準まで買われた。40年物の9回債利回りは0.97%と、新発債として2月以来の水準まで下げた。
損害保険ジャパン日本興亜の石崎竜也グループリーダーは、キャリーが取れないものには手を出しにくく、超長期についてはリスクオフが強まらない限り、金利の低下余地は限定的としながらも、「米経済政策が進まない中で地政学的リスクも重なり、複合要因で足元はやや債券に強気の見方が増えている」と述べた。
日銀買いオペ
日銀はこの日、今月5回目の長期国債買い入れオペを実施。残存期間1年超3年以下、3年超5年以下、10年超25年以下、25年超が対象で、いずれも前回と同額だった。オペ結果では1年超3年以下の応札倍率が4.6倍に上昇し、売り圧力が示されたことから、新発2年物375回債利回りはマイナス0.22%に小幅上昇した。
日銀国債買い入れ結果はこちらをご覧下さい。
13日の米国株式相場は3日続落。S&P500種株価指数は前日比0.7%安の2328.95で終了した。米国が強力な爆弾をアフガニスタンで使用したと伝わり、地政学的リスクが警戒された。一方、米債相場はもみ合い。米10年国債利回りはほぼ変わらずの2.24%程度。売りが先行していたが、次第に買い戻された。
北朝鮮の韓成烈(ハン・ソンリョル)外務次官は最高指導者が適切と判断すれば同国がいつでも核実験を実施するだろうと述べたとAP通信が伝えた。同次官とのインタビューを引用している。
これに対して、トランプ米政権は北朝鮮が弾道ミサイル試射ないし核実験に踏み切った場合に備え、経済制裁と軍事的選択肢を検討している、と複数の米当局者が13日、明らかにした。ペンス米副大統領は今週末からの10日間のアジア歴訪の一環として、韓国と日本を訪れた際、北朝鮮の挑発への米国の対応を協議する。
JPモルガン・アセットの塚谷氏は、「来週も地政学的リスクの動向が引き続き、目先の大きな注目点だ。資金の逃避先として円が買われやすい。加えて5年債と20年債の入札をにらみながらの展開になる。日本国債の利回りはこれまで結構下がってきたので、さらに大幅な低下は見込んでいないが、若干の金利低下バイアスはかかるだろう」と言う。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-13/OODD846K50XU01
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長谷川敏郎
2017年4月14日 07:58 JST 更新日時 2017年4月14日 15:43 JST
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通信や電力など内需セクター安い、今月堅調な業種に売り圧力
寄り付きはSQ絡む売買も、決算評価のFリテイリ堅調も影響
14日の東京株式相場は、TOPIXがことし最長の4日続落。米国がアフガニスタンの過激派組織に爆弾を投下、北朝鮮情勢の一層の緊張につながると警戒された。海外市場の祝日休場を前にリスク資産を圧縮する動きが優勢、情報・通信や電力、医薬品、小売株など内需セクター中心に安い。
TOPIXの終値は前日比9.24ポイント(0.6%)安の1459.07、日経平均株価は91円21銭(0.5%)安の1万8335円63銭。TOPIXは昨年11月22日以来、日経平均は同12月5日以来の安値水準。
りそな銀行の戸田浩司チーフ・ファンド・マネジャーは、「投資家はトランプ米大統領に景気浮揚策を早く実現して欲しいが、大統領の目は外に向かっている。日本ではそれを地政学リスクと呼ぶが、オバマ政権時のように先が読める大統領ならここまでリスクを心配しなくとも良かった」と指摘。場合によっては、取り返しのつかないことになるという不安は、トランプ氏が「大統領に決まったときからのリスクの1つ」と話した。
米軍は13日、通常兵器では史上最強の爆弾をアフガニスタンにある過激派組織「イスラム国(IS)」の拠点に投下した。米政権はISの動きを封じることが目的だ、と説明。トランプ大統領は北朝鮮への警告かどうかの記者団の質問に、「それがどうであるかはどうでもよい。北朝鮮が問題だ。この問題に対処することになる」と応じた。
銀行の決算が予想を上回り、13日の米国株は小高くなる場面もあったが、アフガンのISに対する空爆を材料に取引終了にかけ下落、3日続落のS&P500種株価指数は0.7%安と3月21日(1.2%)以来の下落率だった。グローバルでリスク資産回避の動きが出ている上、14日はグッドフライデーの祝日で米国の株式・債券、欧州株も休場、北朝鮮の重要イベントも控え、投資家の買い見送り姿勢は強かった。「グローバル投資家はリスクを落とす際に値動きが鈍かった日本株からまず売り始め、次に欧州、最後にもう少しリスクを落としたいとして米国株まで売り始めた」と、りそな銀の戸田氏はみている。
きょうの為替市場は、午前こそ小康状態だったが、午後に入り1ドル=108円台後半まで円が強含んだ。15日に金日成国家主席の生誕105周年を控える北朝鮮の韓成烈外務次官は、「最高指導者が適切と判断すれば、いつでも核実験を実施するだろう」、「彼らが選択するなら、われわれは戦争に突入するだろう」などと述べた、とAP通信は報じた。
ただ、日本の調整色が強まっていることで、株価の下げ過ぎを指摘する向きも出ている。東証1部の上昇・下落銘柄数の百分比を示す騰落レシオは75%まで低下。「騰落レシオや日経平均の25日移動平均線からの下方乖離率などは短期的に売られ過ぎを示している」と、大和証券投資戦略部の石黒英之シニアストラテジストはみている。先物ベースでは海外投資家がトランプラリーで買った平均コストの水準まで下落し、需給面からは下げ止まりやすいとの認識も示した。
先物買いコストに関してはこちら
きょうの取引開始時はオプション4月限の特別清算値(SQ)算出で、ブルームバーグの試算では日経平均型で1万8613円29銭、13日の終値を186円45銭上回った。SQの影響できょうの日経平均は105円高で寄り付き、安く始まったTOPIXと真逆の動きとなった。指数影響度の大きいファーストリテイリングが決算評価から上昇した影響もあった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の三浦誠一投資ストラテジストは、「3月のメジャーSQが終わった段階で4月の日経平均が1万8500円を割れてくると市場は想定していなかった。少しでも損失を減らそうとのポジション上の都合が一部にあった」としている。
東証1部33業種は電気・ガスやパルプ・紙、鉱業、繊維、石油・石炭製品、医薬品、情報・通信、小売など27業種が下落。鉄鋼や不動産、輸送用機器など6業種は上昇。4月月初から前日まで上昇していたのは小売、陸運、食料品など、電気・ガスやパルプ・紙、通信の下落率は小さかった。きょうの取引では、こうした業種群の下げが目立った。売買代金上位では、半導体事業売却を巡る協議を一時的に停止した東芝、みずほ証券が目標株価を下げたユニー・ファミリーマートホールディングスが安い。新型ゲーム機「スイッチ」が北米で発売月として史上最速販売数ほ記録した任天堂は高い。
東証1部の売買高は18億3885万株、売買代金は2兆248億円
値上がり銘柄数は359、値下がりは1559
https://assets.bwbx.io/images/users/iqjWHBFdfxIU/iWw7XGUvLPY8/v2/1200x-1.png
TOPIXは昨年12月以来の4日続落に
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-13/OODDUX6KLVR401
日本株連日の安値、米大統領のドル高けん制と極東有事−資源中心売り
東京株式相場は3日続落。トランプ米大統領のドル高けん制発言や朝鮮半島有事への警戒で為替が5カ月ぶりのドル安・円高水準に振れ、企業業績への懸念から電機など輸出株、鉄鋼など素材株、銀行など金融株中心に売られた。商品市況の下落を材料に、石油や商社など資源株は業種別下落率で上位。
TOPIXの終値は前日比11.23ポイント(0.8%)安の1468.31、日経平均株価は125円77銭(0.7%)安の1万8426円84銭。両指数とも連日で年初来安値を更新。
ちばぎんアセットマネジメントの加藤幸祐運用部長は、「地政学リスクで市場センチメントが悪く、日米経済対話も控える中でのトランプ米大統領発言というタイミングがさらなる円高を招いた」と指摘。為替が1ドル=105ー110円のレンジに移行すれば、「今期業績の最終的な着地に対する業績上方修正期待が完全に消えかねない」と懸念を示した。
東証1部の売買高は19億5868万株、売買代金は2兆2590億円
値上がり銘柄数は543、値下がりは1374
東証1部33業種は石油・石炭製品、鉄鋼、鉱業、卸売、保険、銀行、非鉄、機械、電機など30業種が下落。電気・ガス、水産・農林、パルプ・紙の3業種は上昇。売買代金上位では、東芝や三井物産が安く、今期も収益性は低位にとどまるとメリルリンチ日本証券が指摘したイオンも売られた。石川製作所など防衛関連銘柄は急反落。半面、ペプチドリームや関西電力、ニプロは高く、最新ゲーム「アナザーエデン」の出足好調のグリーは急伸した。
長期金利が一時5カ月ぶり低水準、米大統領発言と地政学リスクで
債券相場は続伸し、長期金利は一時5カ月ぶりの水準に沈んだ。トランプ米大統領の発言を受けた米債高の流れを引き継いだことに加えて、北朝鮮をめぐる地政学的リスクを背景に買い圧力が強まった。半面、午後の取引終盤にかけて高値警戒感などから売りが優勢となり、相場は伸び悩んだ。
現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物国債の346回債利回りは、日本相互証券が公表した前日午後3時時点の参照値から0.5ベーシスポイント(bp)低下の0.01%で取引を開始。一時は0.005%と、新発債として昨年11月17日以来の水準まで切り下げた。その後は0.025%に戻して推移している。
メリルリンチ日本証券の大崎秀一チーフ金利ストラテジストは、「北朝鮮をめぐる地政学的リスクはなかなか終息せず、長引きそうだ」と指摘。30年債入札については、「地政学的リスクを受けた金利急低下の中で、どれだけ需要が集まるか懸念があったが、テールも流れることなく、しっかりした結果だった」とし、「安心感が広がった」と言う。
長期国債先物市場で中心限月6月物は前日比10銭高の151円00銭で寄り付き、一時は151円15銭と、中心限月としては昨年11月以来の高値を付けた。引けにかけて伸び悩み、結局1銭高の150円91銭で取引を終えた。
財務省がこの日に実施した30年利付国債の入札結果は、最低落札価格が100円05銭と、市場予想99円90銭を上回った。投資家需要の強弱を反映する応札倍率は3.08倍と前回3.14倍からやや低下。小さければ好調を示すテール(最低と平均落札価格の差)は7銭と、前回の19銭から縮小した。
ドルは109円前半、米大統領発言で一時200日線割れる場面も
東京外国為替市場のドル・円相場は約5カ月ぶり安値から反発。トランプ米大統領の発言や北朝鮮情勢など地政学的リスクを受けて一時200日線を割り込んだが、午後には米長期金利の持ち直しなどを背景に1ドル=109円台を回復した。
午後4時40分現在のドル・円は前日比0.1%高の109円09銭。トランプ発言でドルが急落した前日の海外市場の流れを引き継ぎ、午前11時前には108円75銭を通る200日線を割り込み、一時108円73銭と昨年11月17日以来の安値を付けた。一方、午後はドル買い・円売りが優勢となり、一時109円24銭とこの日の日中高値を付けた。
トランプ米大統領は、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙との12日のインタビューで、「ドルは強くなり過ぎていると思う」と述べ、強いドルが米企業の競争力を損ねていると指摘。また、来年2月に任期切れを迎えるイエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長を「好感し尊敬している」と述べた上で、再指名について「極めて尚早だ」と付け加えた。「低金利政策が好ましいと、私は正直に言わねばならない」と語った。
ソシエテ・ジェネラル銀行の鈴木恭輔為替資金営業部長は、トランプ大統領の発言は「いきなり出てきたのでショッキング」だったが、日米経済対話など米国のスタンスを確認する機会を来週に控えて、「早晩ドル売りを進めるのは考えにくい」と指摘。ドル・円も「ぐいぐい下に向かっていくというよりは108円という大台くらいでちょっと踏みとどまるイメージはある」とし、北朝鮮情勢などについて「事実の見極めがしばらくは続いていく」と話した。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-04-13/OOC1C36JIJUS01
米国のシリア攻撃が原油価格に与えた影響とは
地政学的リスクの高まりで減産延長に暗雲
2017.4.14(金) 藤 和彦
ロシア、米国のシリア攻撃を非難 米ロ関係に「相当なダメージ」
米駆逐艦ポーターが地中海から行ったシリアへのミサイル攻撃。米海軍提供(2017年4月7日撮影・公開)。(c)AFP/US NAVY/Mass Communication Specialist 3rd Class Ford Williams〔AFPBB News〕
?4月10日の米WTI原油先物価格は1バレル=53ドル台に上昇した(その後、サウジアラビアの減産延長の意向が伝えられ、米国の原油在庫の減少が明らかになったが、シェールオイルの増産を嫌気して、原油価格は1バレル=52ドル台に下落した)。
?上昇の要因となった国はリビアだ。4月9日、リビア最大のシャララ油田が武装勢力に封鎖されたため生産が再び停止し、輸出港ザウィアからの原油輸出が不可能になったことを受けて、国営石油会社が「フォースマジュール」(不可抗力条項の適用)を宣言したことが価格を押し上げた。フォースマジュールは先月27日に続き今年2回目であり、リビアの原油生産量は再び日量約20万バレル減少したとされている。
?先週、米国がシリアの軍事施設を巡航ミサイルで攻撃したことから「地政学的リスク」が意識され始めたことに加え、ドライブシーズンを控えて米国の製油所の稼働率が上昇しているなど、原油価格が上昇しやすい地合いとなりつつある。3月のWTI原油の平均価格は昨年11月以来の1バレル=50ドル割れとなったが、4月に入り「再び元のボックス圏(同50〜55ドル)に戻った」との声も出始めている。
?とはいえ、リビアの供給減は世界の原油供給量(日量約9600万バレル)からすればわずかな量に過ぎない。米国で石油製品の需要が増加したとしても、シェールオイルの増産が続いていることから、原油在庫の減少が続くかどうかは不透明な状況だ。
サウジとロシアの溝が鮮明に
?現在、原油価格を下支えしているのはなんと言っても主要産油国の協調減産である。だが筆者は、米軍によるシリアへのミサイル攻撃が主要産油国間の協調関係に暗い影を投げかけたのではないかと危惧している。
?サウジアラビア政府は4月7日、米軍がシリアの軍事拠点を攻撃したことについて、「トランプ大統領による勇気ある決断である」と全面的な支持を表明した。一方、ロシアのプーチン大統領は「米国のシリア攻撃は侵略」だとして厳しく批判した。シリア情勢を巡って“反体制派を支援するサウジアラビア”と“アサド政権を支えるロシア”との間で溝が生じていたが、米軍の攻撃によりこの構図が一気に鮮明になってしまった感が強い。
?サウジアラビアの今年1月から3月にかけての減産遵守率は100%を超えている。それに対し、ロシアは約束した減産目標(日量30万バレル)の半分程度しか実施していない。ロシアのエネルギー相、アレクサンドル・ノヴァク氏は「現行の減産期間の終了までに減産目標を達成する」と繰り返しているが、その実現可能性には疑問符が付き始めている。
?元サウジアラビア・エネルギー産業鉱物資源相のアリ・ヌアイミ氏が自伝の中で「OPECが減産しても、ロシアがその分を増産してしまう」と過去の苦い経験を吐露しているように、サウジアラビアのロシアに対する警戒感は根強い。その疑心暗鬼が日に日に高まっていてもなんら不思議ではない。
?サウジアラビアのエネルギー産業鉱物資源相、ハリド・ファリハ氏は3月末の米国での講演で「サウジアラビアはただ乗りを許さない」と語った。その警告は、シェール企業とともにロシアにも向けられているとみて間違いないだろう。
欧州市場に注目し始めたサウジ
?欧州市場におけるサウジアラビアとロシアのつばぜり合いも激しくなりそうである。
?サウジアラビアは近年中国・インド・日本の市場でのロシアの原油売り込みに防戦一方だったが、このところ欧州への自国産原油の売り込みを強化し始めている(4月6日付OILPRICE)。2017年7月から欧州向け原油価格の体系を改めるなどして欧州の需要開拓に努める意向だ。
?これまで欧州市場はロシア産原油の独壇場であった。欧州の原油需要量は世界の約14%(日量約1350万バレル)を占めるが、ロシアは長年にわたり最大の原油供給者だった(2016年のシェアは約32%)。
?サウジアラビアは従来欧州市場への関心が低かった(2016年のサウジアラビアのシェアは8%)。しかし、成長著しいアジア市場での競争激化やシェール革命による米国での原油需要の減少により欧州市場に注目し始めており、既に欧州市場へダンピング価格で原油輸出を始めていると言われている。
?日本ではあまり知られていない欧州市場でのロシアとサウジアラビアの間のシェア争いに安全保障上の問題が加われば、ロシアとサウジアラビア間の歴史的な協調関係が瓦解する可能性がある(昨年4月のドーハ会合の失敗はサウジアラビアとイランの間の安全保障上の緊張の高まりが原因だった)。
OPECが抱える地政学的リスク
?OPEC内でも、米軍のシリア攻撃で協調減産に関する不協和音が高まっている。
?まず、イラク政府は「年内に原油生産能力を現在の日量440万バレルから同500万バレルにまで引き上げるプロジェクトを進めている」ことを明らかにした。イラク政府はIS(イスラム国)との戦闘で軍事費が増大し財政危機に陥っているが、米軍のシリア攻撃後ISが反転攻勢に出ていることから、軍事費がますます嵩む状況になっている。財政危機を忌避するため、イラク政府は年後半増産することはあっても減産を延長することは考えにくい。
?また、減産実施後の期間で原油生産量が日量約380万バレルにまで増加したイランも、米軍の攻撃後のシリアにおけるアサド政権支援のため、年後半に減産を受け入れる余地はなくなりつつある。
?OPEC内にはもう1つの「地政学的リスク」がある。ベネズエラの政情不安だ。
?ベネズエラは減産合意に基づき原油生産量を日量207万バレルから同197万バレルに減少することになっているが、原油収入に依存する財政構造が破綻しかかっている状況では減産を実施できるわけがない。
?国営石油会社「PDVSA」の4月の債務返済額は25億ドルである(国全体の返済額は約30億ドルと言われている)。ベネズエラは「融資を受けてその返済を原油で行う」契約を中国などとの間で結んでいるため、生産される原油量の4分の1以上が融資の返済分に回り、原油売却代金が徴収できなくなっている。外貨準備高は10億ドルにまで落ち込んでおり、デフォルトを防ぐためには原油を増産することがあっても減産することはありえないだろう。
?このように地政学的リスクの高まりは、主要産油国の減産体制の維持・延長にとって大きなマイナスである。
?地政学的リスクなどで原油価格が復帰したことにより、米国における石油掘削装置(リグ)の稼働数は毎週2桁のペースで増加している。「フラックログ」(掘削したものの生産を開始していない油井)からも日量30万バレル分の原油が供給される見通しが高まっている(3月29日付OILPRICE)。
台頭する「第3勢力」
?2014年後半以降、世界の原油市場は“OPECを始めとする主要産油国”対“シェール企業”という構図となっているが、ここに来て「第3勢力」がさらに加わるという事態が現実味を帯び始めている。
?国際エネルギー機関(IEA)のビロル事務局長は3月末、「協調減産により原油価格が上昇すれば、米国産にとどまらずブラジル産やカナダ産の原油が市場に流入するだろう」と述べた。ブラジル産の今年の増産分は日量23万バレル(海底油田開発)、カナダ産は日量15万バレル(オイルサンド)とされている。
?前回のコラム(「いよいよ切れた『減産ゲーム』の神通力」)でブラジル沖の「プレソルト」(原油を含むことができる炭酸塩から成る多孔質の岩石)の海底油田開発の状況を紹介したが、ブラジルの2月の原油生産量は前年比15%増の日量268万バレルとなり、輸出量は前年比94%増となった。
?ブラジル政府は近年プレソルトの鉱区を海外大手企業に開放しており、英蘭シェルなどが既に活動を開始している。4月に入ってからは、エクソンモービルが当該地区に本格的に参入する意向を示した。これにより、ブラジル政府が「2020年の原油生産量を日量400万バレルとする」目標の実現性が高まっている。
?海底油田の開発が活発化しているのはブラジル沖だけではない。メキシコ湾沖でも油田開発が活発化している。
?その理由は生産コストの大幅な低下である。技術革新により海底油田の1バレル当たりの生産コストが50ドル以下、場合によって40ドルと低下しており、生産コストがシェールオイル並みになっているとの評価も出始めている(4月3日付OILPRICE)。
?こうした海底油田の開発が活発化により、米国への原油の流れは拡大するばかりである。
世界の原油市場は構造的に供給過剰
?OPECやロシアが減産を続けたとしても、世界、特に米国市場を巡る原油の状況は以上のように構造的に供給過剰である。そのため、原油在庫が大幅に減少するとは思えない。原油市場には今後長期間にわたってデフレ圧力が続くとすれば、原油価格は長期にわたって大幅上昇することはないだろう。
?原油価格に関してはいまだ強気な見通しが主流であるが、「4月に55ドルを明確に超えるような状況にならなければ、今年末に向けて35ドルまで下落するシナリオが有力になる」との見方も出始めている(エモリキャピタルマネジメントの江守哲氏、4月4日付東洋経済オンライン)。
?主要産油国の協調減産監視委員会は4月中に開催される予定だが、減産の延長とともに減産幅の拡大に関する合意が成立するだろうか。
?この微妙な時期に米国が中東地域に落とした「一滴」が、世界の原油市場に「売り」圧力の洪水をもたらさないことを祈るばかりである。
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/49711
公共の場での全面禁煙、年代が上がるほど「賛成派」が多くなることが判明
2017年4月14日 (金) 16:29 配信 マイナビニュース
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http://cdn.top.tsite.jp/static/top/sys/contents_image/media_image/035/160/399/35160399_0.jpeg
リサーチ・アンド・ディベロプメントはこのほど、20〜79歳の首都圏在住の一般生活者における禁煙意識についての分析結果を明らかにした。これは同社の独自調査「生活者総合ライフスタイル調査システム CORE」を用いて実施したもの。
今回は、2016年10月に、住宅地図を用いたエリアサンプリングで抽出した3,000人を対象として行った「CORE2017 マスター調査」(訪問・郵送併用の自記入式留置調査)と、2017年2月にマスター調査協力者1,800人を対象として実施した「CORE2017 春オムニバス調査」(郵送調査法による自記入式留置調査)をもとに分析している。
「飲食店など公共の屋内では、ふつうにタバコは全面禁煙にすべきだと思うか」と尋ねたところ、20〜79歳全体の約6割が「賛成」と回答した。「賛成」と答えた人は、20代では48%だが70代では74%と、年代が上がるほど上昇している。過去と比較すると、20代は上の年代に比べ、「全面禁煙にすべき」という意識は高くないことがわかった。
喫煙者と非喫煙者別に、「飲食店など公共の屋内では、ふつうにタバコは全面禁煙にすべきだと思うか」と尋ねたところ、喫煙者では17%、非喫煙者では70%が全面禁煙に賛成と回答した。非喫煙者も、20代の「全面禁煙にすべき」という意識は他年代よりも低かった。
世の中の常識に対する意識について聞くと、若年層ほど「常識にとらわれず色々な考え方が認められるべき」を支持する割合が高かった。20代では49%が、30代では39%が、40代では32%がそのように回答している。40代以下の層では、「常識にとらわれず色々な考え方が認められるべき」が、2000年と比較すると10ポイント以上増加している。
同社は、年代による「全面禁煙」に対する意識差の要因の一つとして「健康に対する意識」を挙げている。一般的には、年代が上がるほど健康に対する意識が強くなることから、年代とともに全面禁煙を賛成とする人が増えていると考えられるという。
もう一つの要因としては、世代による「多様な考え方への許容性」の違いが考えられるとのこと。全面禁煙に対する賛成率が低い若年層は、「色々な考え方が認められるようになるべき」という考え方を強く持っており、20代では5割にものぼっている。
全面禁煙は「喫煙者を公の場から完全に排除する」という意味合いが強い施策であるため、多様な考え方への許容性が高い20代には、「喫煙者・非喫煙者のどちらの考え方もきちんと汲み取った施策」を求める声が根強いのではないかと、同社では分析している。
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