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[エコノフォーカス]タンス預金が止まらない
3年で3割増、43兆円 富裕層、現金志向強める
タンス預金の増加が止まらない。第一生命経済研究所によると、直近の2月末時点で43兆円と前年同月比8%増えた。増加額は3兆円で国内総生産(GDP)の0.6%に達する。日銀はマイナス金利政策による預金金利の低下が一因と分析するが、金利はすでにないようなもの。現場を探ると、金利では説明できない問題が見えてきた。(高見浩輔、川瀬智浄)
現金の保管コストは決して安くない
紙幣の発行残高は2月末で4%増の99兆円。このうち決済などに使われる分を差し引いてタンス預金の残高を試算した。増加率は3年間で3割強に達する。日銀の2016年12月末時点の統計でみても、国内の現金保有のうち全体の8割が家計に集中しており、タンス預金も家計に偏っているとみられる。
金利と言うが…
日銀は「家計の現金保有は預金金利と相関関係にある」と分析する。ただメガバンクの定期預金の金利は年0.01%。100万円預けた場合の金利は、マイナス金利導入の前後で、年300円から年100円になった程度。急に動くとは考えにくい。
現金の保管コストは決して安くない。記者が実際に現金を詰めてみたところ、売れ筋の金庫を再現した50リットルのケースに最大で約4億円入ることが分かった。
金庫の実勢価格は約20万円。自宅のセキュリティーにかかる費用まで含めると、さらに膨らむ。未曽有の低金利という環境があるとはいえ、タンス預金を増やしているのは一体誰なのか。
「実は現金を自宅に置き始めているんですよね」。都内の税理士事務所では昨夏以降、こう打ち明ける顧客が相次ぎ3人現れた。いずれも会社経営の富裕層。10億円の相続を受けた都内に住む50代男性は、現金収入があった時には、一部をそのまま自宅で保管することにしているという。
気にしているのは徴税当局による包囲網だ。大きなきっかけが、昨年からの「財産債務調書」の提出の義務付けだ。15年1月の相続増税を踏まえ、16年の確定申告から3億円以上の財産を持つ人などは、資産の内訳を明記した調書の提出が必要になった。
調書は相続税をかける際の参考資料となる。「脱税の意図までなくても富裕層は当局に詮索されることを嫌がる」(税理士)。資金の動きをとらえられやすい銀行預金を避ける人が増えているという。
奥底に財政不安
「1億〜2億円の金額が入る金庫の大きさはどれくらい?」。金庫メーカーにこんな問い合わせが増えている。「マイナンバー制度の開始も、資産を把握されることへの警戒感から、金庫の需要増につながっている」(大手メーカーの日本アイ・エス・ケイ)
現金の大量保有が不透明な面を持つのは否定できない。海外はキャッシュレス化に向かう傾向が鮮明だ。インドは16年11月に高額紙幣の流通を止め、欧州でも500ユーロ紙幣が廃止になる。
日本も何か対策を打つべきなのか。第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストは「富裕層の動向がタンス預金が増える一因」と指摘。「将来の増税や思わぬ監視強化など、警戒心の根っこにあるのは日本の財政への不安だ」と解説する。そこが解消されない限り、対策を講じても海外流出も含め富裕層の資産防衛は防げないという。増え続けるタンス預金が抱える根深い問題はすぐには解決しそうにない。
[日経新聞4月3日朝刊P.3]
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