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なんと、地銀の「稼ぐ力」が5年で半分になっていた…! 地方銀行は「3つの過剰」を克服できるか(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/665.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 4 月 04 日 07:58:15: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


なんと、地銀の「稼ぐ力」が5年で半分になっていた…! 地方銀行は「3つの過剰」を克服できるか
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51342
2017.04.04 村岡 隆史 現代ビジネス


地域経済の低迷、歴史的な超低金利という逆風が続く中、地銀はビジネスモデルの抜本的な転換を迫られている。元金融庁専門調査官で、経営共創基盤(IGPI)代表の村岡隆史氏が、稼ぐ力が半分にまで低下したという地方銀行の「いま」を報告する。

■生き残りをかけた再編が進む

地方銀行の経営統合の動きが加速している。3月中旬には新潟県を地盤とする第四銀行と北越銀行が経営統合に向けて最終調整していることが判明した。それ以前にも、今年は三重県を地盤とする三重銀行と第三銀行が経営統合を発表、さらに関西に本店を置く近畿大阪銀行と関西アーバン銀行、みなと銀行もこれに続き、地銀は再編ラッシュの様相だ。

地域経済の低迷、歴史的な超低金利という逆風が続く中、少子高齢化の本格化に向けて、地銀は経営体制やビジネスモデルの抜本的な転換を迫られている。金融庁も経営統合の動きを後押ししており、生き残りをかけた再編の動きは、ますます本格化していくだろう。

筆者は金融や事業再生の専門家として多くの地銀の経営者に助言、金融庁参与として地域金融の再生をめぐる金融行政の在り方等についてアドバイスをしている。

そうした経験と知見から、地銀再編について「過剰債務」、「過剰設備」、「過剰雇用」という「3つの過剰」がポイントになることを指摘したい。筆者は、かつて政府系の再生ファンドである産業再生機構で三井鉱山、ミサワホーム、ダイエーといった日本を代表する企業の再生に関わったが、その当時、日本企業をめぐる「3つの過剰」が、同じように論点となった。

地銀の再編とビジネスモデルの再構築は地域経済の活性化にも大きな影響を及ぼす重要なテーマである。3つの過剰をキーワードに再編の行方と課題、地銀復活に向けた処方箋を示したい。

■稼げる力が半分になった

地銀の収益環境を直近決算でみると、貸出金利回りの低下幅(▲0.52%ポイント)は預金等原価の低下幅(▲0.28%ポイント)のほぼ2倍となり、この結果、この5年間で預貸金の利鞘がほぼ半減(0.58%ポイント⇒0.34%ポイント)していることがわかる。地銀の稼げる力は半分になってしまったのだ。



この傾向は今後も続くと想定され、預金貸出に基づく従来型の地銀のビジネスモデルは早晩成り立たなくなる。加えて、高度なデータ集積・分析産業的側面を持つ銀行業は、さらなるIT化やFintechへの対応が喫緊の課題となるなか、多額のシステム投資が必要であり、これを従前のとおり個別銀行で賄っていくには収益的に負担に耐えられないといった事情も、経営統合を決断する背景となっているものと思われる。

■過剰預金に過剰店舗…

さらに3つの過剰の視点から地銀の収益環境を考えてみたい。第一に過剰債務(=過剰預金)の問題だ。地域経済の低迷を背景に資金需要は停滞し、地銀各行には運用しきれないほどの預金が集まる状況にある(2016年3月の預貸率は1992年3月対比で12.1%の低下)。

これらの資金の多くが国債の購入に充てられ、経営体力以上のマーケットリスク(国債の価格変動リスク)を抱える地銀も多い。また、低利の国債だけでは収益が確保できず、リスク管理体制が不十分なまま為替やデリバティブのリスクが含まれた有価証券等の残高を積み上げている地銀も少なくない。



第二に過剰設備(=過剰店舗)の問題だ。銀行再編等では一歩先を行くメガバンク等では、再編を機に店舗網について重複エリア店舗の統合をはじめ、法人取引と個人取引といった観点から機能分化、無人ATM店舗の設置を積極化しているケースも多い。他方、地銀の多くではいまだに市街地の一等地にフルスペックの有人店舗を主体に業務を運営しているケースも多く、これがコスト高を招いている。

第三の過剰雇用については、一部のメガバンクでも同様の構図がみられるが、バブル期の大量採用の世代が50代を迎え、管理職層を中心に人件費が高留まりしている。他方で、バブル崩壊後の就職氷河期における採用抑制が、足元、業務の中核を担う中堅世代の層の薄さを招き、結果として人事ローテーションがうまく回っていないという声も聞かれる。

さらに忘れてはならないのがFintechの進展だ。これは、地銀のみならず、メガバンクひいては信託・証券・保険を含めた金融業界全体に抜本的なビジネスモデルの変革をもたらすほどの大きなインパクトを内包している。欧米、中国などの例でも分かる通り、通信、インターネット、流通といった顧客データ集積に勝る他業界の事業者が金融業(資金の調達・運用、資金決済)で競争上優位であることは間違いない。

地方であってもスマートフォンとともに育った若い世代は、給与振込・ネットショッピング・カード決済・住宅ローンまで、そもそも従来型のリアルな銀行に依存せずに生活が成り立つことに違和感を持たないだろう。

■経営統合に向けたポイントは?

戦前の一県一行主義にはじまる金融行政から見ても、また、歴史風土の面でも地銀の多くは県境ごとに区切られた商圏を軸に業務運営が行われてきた。これらの県境の縛りを超えて速やかに経営統合していくためには、隣接する複数県にまたがるエリアを念頭に持ち株会社=ホールディング(HD)制によって集約することが現実的であり、実際、これまでの経営統合の組み合わせもこうした文脈のなかでとらえることができる。

しかしながら、HD制の下で経営統合すること自体が目的化してしまっては、本末転倒であり、本当に統合効果を発揮していくためには「3つの過剰」への対応を戦略的に考えていくことが重要だ。

少子高齢化、労働人口減というマクロ環境への抜本的な解決策が見いだせないなか、地方においては集まった預金を振り向けるだけの資金需要(貸出増加)には今後も大きな期待はできない。だとすれば、地銀に必要なのは、国債一辺倒の購入や管理不能なリスク運用に手を出すのではなく、預金者から預かった預金を、有価証券や投資信託等の「預かり資産」に振り向けていくことである。

そのためには、数多くある金融商品に対する行員の知識や目利き力を高め、顧客満足度の高いサービスを提供できるかが重要だ。

また、顧客のニーズが変化・多様化する中での預貸金ビジネスモデルからの戦略的転換も必要だ。法人顧客は資金以上に経営改善に資する各種アドバイスを求めている。現在の事業性評価的支援に加えて、各種データ分析を踏まえた価値提供が鍵になるだろう。その上では他業種との提携も戦略的な選択肢だ。預金貸出金の残高増加を中心とした従来型の経営目標からの脱却が求められる。

顧客リレーションにおいて、face to face の関係がより求められる地方銀行においては、ドラスティックな店舗統廃合はなじまないかもしれない。ただ、店舗の戦略的意義を抜本的に見直すタイミングに来ていることは間違いない。不採算店舗については郵貯などとの協働もあり得るだろう。

また駅前の一等地や商店街の中心に、週末にシャッターを下ろす銀行店舗が今後もあり続けることは地域経済の活性化といった観点から再考の余地があろう。たとえば、いっそ旧態依然とした建物を建て替えて、路面階には公益施設や商業施設に入居してもらい、銀行業務は空中店舗化し、さらに上層階には分譲マンション(高齢者のケア付きマンションを含む)にするといった発想があってもよいのではないか。

また、建て替えとまではいかなくとも、地域住民の集まる場所となるような施設(カフェやクリニック等)とのコラボレーションにより、地方の一等地立地のロケーションを有効活用した店舗運営を考える必要もあるだろう。

Fintechの伸長に伴い地方銀行においても、近い将来大幅なビジネスモデルの変革に迫られる可能性があると筆者はみている。そうなると、「預金を集めて融資を実行する」という伝統的な業務に必要な人員は一段と減少していくだろう。

■銀行以外からの経営陣登用も必要

一方で地銀には、永年の業務を通じて地域企業や住民に関する膨大なデータが蓄積されていることを忘れてはならない。また、地方企業の多くはL(ローカル経済圏)型企業であり、当該地域で集積されたデータ分析こそが今後の経営資源にもなり得る。

その意味で当該地域のデータ集積をした地銀は、L型データ事業者として競争優位性を持ち得る立場にあり、新たに金融業への参入を企図している企業にとってはアライアンスを組む相手方として魅力的だ。

経常資金や家計資金の入出金をはじめ、保有資産、経済力、家族構成、スマートフォン上のGPSを使った行動パターンの把握…。もちろん情報の活用には対象者の同意が前提だが、これらの膨大な情報についてアライアンス先との連携によって、いかに顧客に価値を提供しかつマネタイズしていくか知恵の絞りどころだ。

こういった新たな事業構想を進める若い人材こそが今後の地銀に求められる。早期に人材採用・育成の軸を転換していくことが不可欠だろう。

経営統合はビジネスモデル転換に向けた第一歩である。今後の転換にはスピードが求められることから、まずは経営統合を決断した地銀にはスピードを担保する経営体制の構築を期待したい。また、他業種との協働等の環境下、経営体制・ガバナンス体制には一層の多様性が求められよう。従来型の地銀ビジネスモデルからの転換を踏まえて、銀行業界出身者以外からの経営陣登用も検討すべきだ。

最後にガバナンス面の課題についても述べたい。HD傘下に旧行がぶら下がるかたちで従来のブランドや顧客リレーションに配慮することも必要だが、人事については実力主義で公平・フェアに行うことがそれ以上に重要だ。一部のメガバンク等で指摘された経営統合後の「旧行たすきがけ人事」の悪弊を排除し、適材適所の人材配置によって最大限の統合効果の発揮を期待したい。
 

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