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ユニオン「反日左翼カルト集団」説に反論する!
職場を生き抜け!
東京管理職ユニオンの鈴木剛さん、設楽清嗣さんに聞く
2017年3月30日(木)
吉田 典史
今回は、労働組合・東京管理職ユニオン委員長の鈴木剛さんと、アドバイザーの設楽清嗣さんに取材を試みたやりとりを紹介します。
テーマは、「東京管理職ユニオンこそ、カルトではないのか?」
2月16日に、鈴木さんを取材した記事「超キモイ会社には、ゲシュタポがいっぱい」を掲載しました。読者からの投稿の中には、鈴木さんや東京管理職ユニオンに批判的なものがありました。ネット上を検索しても、それに近いものがあります。
そこで今回は、鈴木さんと、1993年に東京管理職ユニオンが結成されたときから書記長を長く務めてきた設楽清嗣さんに話をうかがいました。
東京管理職ユニオンは、全国に多数あるユニオンのパイオニア的な存在であり、今や労働運動の一翼を担っています。
なぜ、その一翼にすぎない彼らは批判を受けるのか。なぜ、東京管理職ユニオンは「反日左翼カルト集団」と非難を受けるのか。そこに焦点を絞り、聞いてみました。
労働組合・東京管理職ユニオン委員長の鈴木剛さん(左)と、アドバイザーの設楽清嗣さん(右)
前回の記事以降も、「反日左翼カルト集団」と批判を受けていますね。
鈴木:あの記事に私が取り上げられた頃、出版社・青林堂での、パワーハラスメント事件(※)の記者会見をしたのです。ネットではもともと、我々に対し、「反日左翼カルト集団」などと誹謗・中傷があります。
ところが、この一件では我々の組合員であり、パワハラ事件の被害者である男性を擁護する書き込みが多かったのです。事実にもとづいてきちんと抗議をしていると、伝わるものなのだなと思いました。
パワーハラスメント事件(※)
出版社「青林堂」の社員が、労働組合を作ったところ、解雇された。その後、和解して復職。しかし、さらにパワハラを受けたとして、会社に対して2000万円余の損害賠償を求める訴えを東京地方裁判所に起こした。
「自分たちの会社の問題に声を上げないのは、なぜだ!」
AV監督だった村西とおるさんも、ご自身のツイッターでユニオンへの厳しいつぶやきをしています。2017年2月14日に、こうあります。
「青林堂を告発するユニオン。取り上げるメディアは一方的に青林堂を悪者に。問題の社員が解雇されたのは本人の能力不足と怠慢な勤務態度。企業は慈善事業をしているわけではない。使用パソコンをネットにつながなかったのはデータ流出の疑念から。青林堂を叩いて溜飲を下げている左巻きのチンカス集団」
鈴木:左巻きのチンカス集団…(笑)。私も、それを見ました。私は、あの方と仕事をしたことがあるのですが、もう、忘れているのでしょうね。事実ではないことを書いておられるから、残念でした。
これは会社側、つまり、青林堂の言い分を鵜呑みにしているつぶやきです。パワハラ事件の被害者である我々の組合員は能力不足ではないし、勤務態度が怠慢でもない。東京地方裁判所で、会社側のこの言い分は全部否定されています。そのソース(情報の出所)をきちんと読まないで、あんなことを書く。もはや、デマですよ。
村西さんの真意はわかりかねますが、一般的には、ユニオンのあの強烈な抗議活動に疑問を感じている人はいるかもしれません。例えば、会社の前でデモをしたり、ビラをまいたり、拡声器で社長や役員をなじりますね。
設楽:組合員が不当解雇にされたり、パワハラなどの不利益になったことを防衛するためには、状況いかんでは抗議をせざるを得ない。ほかに方法がない。会社側が、我々との話し合いに応じるなら、そのようなことはしません。しかし、応じない場合がある。我々のような外部の組合であろうとも、会社には団交に応じる義務があります。
鈴木:会社側が我々と合理的な話し合いをしているときは、抗議活動をしたことはありません。何でもかんでも押し掛けて、お金を脅し取るなんてない。ありえない。それは、断じてない。
ユニオンは通常、その社員が自分たちの労組に入ったことを知らせる「組合加入通知書」を会社に送る。そのうえで「団体交渉申し入れ書」を送ることがある。その意味では、正当な手続きをとっているのでしょうね。そのプロセスを、多くの人は正しくは知らないのかもしれません。
鈴木:我々は基本的には、まず、団体交渉で話し合いをしようとしているのであり、それをしようとしない側にこそ、問題があるのです。
設楽:もっと言っておきたいのは、例えば、東芝や三菱自動車、電通などの大企業が不祥事を起こしています。ところが、そこの社員の声を聞いたことがない。実に、だらしない。そんなサラリーマンが、我々に違和感を持っているならならば、私のほうが大いに違和感を持ちますよ。「自分たちの会社の問題に声を上げないのは、なぜだ!何をやっているんだって!」と。
「おとなしい波平さんも決起するんじゃないか」
ユニオンが、会社に対して「市民感覚」を持ち出してくる発想そのものがおかしい、と批判する会社員もいますね。
設楽:それは、会社を不可侵なものだと思っている人の考えでしょう。会社が外に向けて開かれていない。だから、会社がどんどんと問題を起こしている。それこそ、カルト会社だと私は思います。そこにいながら、声を上げないことが普通だと考えているならば、まさしく、カルト社員です。
鈴木:カルト社員は、「異議あり!」と我々のように声を上げること自体が、カルトだと思っているのかもしれない。しかし、カルト社員は結果として、会社の不祥事や不当な行為に加担しています。例えば、電通事件などは、その一例でしょう。
設楽:彼女は、職場で孤立していたのだろうね…。
鈴木:周囲の社員たちは、結果としてそれを見殺しにしたわけでしょう。私は言いたい。「あなたたちこそ、いなくなれ!」と。彼女をさんざんに苦しめておいて。
設楽:これは強く言っておきたいのですが、会社に「市民感覚」を持ち込まないと、会社はよくならない。労働者は救われない。ところが、会社の利益を守るために、会社員は会社共同体の網を引くことで、組織を守ろうとする。
鈴木:市民感覚を受け入れようとしなかった東芝は、もう、“死に体”じゃないですか! かつては、テレビ番組のスポンサーとしてCMを大量に流していました。東芝日曜劇場では、「明日をつくる技術の東芝がお送りします!」…って。同じくメーンスポンサーだった「サザエさん」は国民的番組ですよ。今の東芝のだらしない姿を見て、おとなしい波平さんも決起するんじゃないか。
設楽:愚かだよね。会社が破綻して初めて気が付くサラリーマン…。90年代後半の金融不況の頃も、銀行や証券会社が次々と破たんした。4大証券の一角を占める、山一証券がつぶれるなんて、ほとんどの社員は想像すらしていなかったはずです。信じ込んでいるのですね。いつまでも会社を…。
当時、山一証券の企業内労組の役員がテレビの報道番組で、「我々は前々から、会社がおかしくなることは分かっていた」と言っていました。
鈴木:そんな言い分は通らない。その発言を認めたら、ダメ! 日本のような企業別組合は、世界でもまれな存在です。市民感覚からかけ離れた存在であり、不祥事を起こしても、不当な行為をしても常に会社と一体になっている。
設楽:企業内労組は会社の一員として、会社をかたくなに守ろうとします。だから、我々、ユニオンに相談に来た人が「異端者」になるのです。揚げ句に、企業内労組や会社員の中には、ユニオンのことを「反社会的集団」とレッテルをはる人もいます。
鈴木:最近ではネット上で、「東京管理職ユニオンにこそ、共謀罪を適用せよ!」と書かれます。実際、政府・与党が推し進める共謀罪の議論を見聞きしていると、我々のこともその処罰の対象として想定しながら国会で答弁をしている、と思えます。光栄ですよ、ホントに…(笑)
ユニオンが守る労働者の中には、「ひどい奴」もいませんか?
1990年代後半から、東京管理職ユニオンを取材者のまなざしで見てきました。当時、ユニオンが労働組合・連合に加盟するか否かを東京管理職ユニオンの機関誌上で組合員たちが激しく議論をしていました。賛成・反対にわかれ、誌面に論文などを載せて、意見を闘わせる。
あの「ボトム・アップ」の試みができるのは、強い組織です。多くの会社や労組ではできない。構成員の意識を高めるために不可欠でありながら、できない。あの試みがきちんとできると、構成員の意識が爆発的に高くなる。大衆運動などに発展していくエネルギーが、あそこでつくられる。
実は、会社に市民感覚が浸透せず、カルト化する大きな一因は、このあたりにあるように私は思っています。つまり、現場レベルで会社のあり方などを激しく議論することができない。常に、上からの指示・命令に従わせる。それに従わないと、排除される。
設楽:そのようになってしまうのは、会社が利益追求集団としての一致点を強靱に上から、つまり、社長や役員からつくるからです。だからこそ、電通のようになる。
現場で深刻な問題が起きているのに、誰も声を出さない。あれほどに世間から叩かれても、現場は立ち上がれない。下から組織をつくっていなかったから、いざとなったときに皆がどうするべきか、わからない。
しかし、ユニオンが守る労働者の中には、「ひどい奴」もいませんか?「こんな人をなぜ、守るの?」と聞きたくなる人がいるように思います。
設楽:たしかに、ダメな社員はいます。だから、団体交渉の場で会社にお願いをすることがあるのです。「この人の駄目さ加減を確認したうえで、今後、再生して生きていけるように何とかしてあげてください」と。
鈴木:そのような場には、私が行くときもあります。もう、土下座団交ですよ。ユニオンは会社に押し寄せて怒鳴るだけではない。実は、団体交渉の半分以上は、落ち着いたトーンで双方が話しているものなのです。
ダメな人であろうとも、守らないといけない。民主社会では、どんな悪事をした人であっても、ディフェンサーとしてその主張や経過を聞いて、弁護する人がいないといけない。そうでないと、江戸時代のように果し合いや殺し合いになりますよ。
設楽:少数かもしれないが、ただ1人なのかもしれないが、民主主義社会には、社会全体に合わない人は必ず発生する。会社の中にも、絶対にいる。その人を防衛することも民主主義の基本原則であり、我々がするべきことなのです。
「異質を認めない組織の行き着き先が、カルトです」
なぜ、そこまでして少数派の側に立つのでしょうか?
設楽:「反日」や「左翼」である人も必要ではないですか! 戦前は、反日や左翼は声を出せなかった。だから、侵略を繰り返し、最後は負けた。
いつの時代にも、「戦争反対」を唱える人や、「反日」的なことを言う人、「反戦」を唱える人は必要です。その人たちを防衛することは、絶対に必要なのです。
鈴木:社会観の違いでしょうね。つまりは、民主主義社会をどうとらええるか。集団は、同質的なものだけ構成したほうがいいのか、それとも異質なものもいたほうがいいのか…。私は、後者の立場です。そこに確信を持っている。
設楽:異質の者が、いっぱいいる組織は強い。東京管理職ユニオンには、国粋主義的な考えの人や、民族派右翼もいます。彼らは抗議行動に行くと、行動の最先頭に立ちます。「ふざけてやがる、この会社は!」と。
鈴木:右翼の組合員も、ばっちりいますよ…!
設楽:右翼がいて、反日がいて、左翼がいる。そのような組織は強靱です。軟らかくて、しなやかに強い。
鈴木: 社会全体の窒息状況や会社のカルト化の大きな理由は、そこにあるのでしょうね。異質を認めない組織は必ず、弱くなります。その行き着く先が、カルトなのです。
二人は、「村西とおるさんと会いたい」と話しています。ツイッターのつぶやきへの抗議でありません。理不尽な社会と共闘できる同志として、村西さんと一緒に問題提起をしていく機会を求めています。
実は、二人は村西さんのファンなのです。だからこそ、ツイッターのつぶやきに思うものがあったようです。
次回も、このお二人に「東京管理職ユニオンこそ、カルト!」をテーマに話をうかがいます。
このコラムについて
職場を生き抜け!
「夜逃げした社長」から「総理大臣経験者」まで――。これまで計1200人を取材してきたジャーナリストが、読者から寄せられた「職場の悩み」に答えるべく、専門家、企業の人事担当者への取材を敢行する。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/16/011600039/032800007
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