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日銀が8年ぶりの国債売り現先オペ、期末需給逼迫で−応札2倍台 ドル日本株は米利上でこう動く 生活保護への誤解煽るTV報道
http://www.asyura2.com/17/hasan120/msg/438.html
投稿者 軽毛 日時 2017 年 3 月 24 日 14:05:14: pa/Xvdnb8K3Zc jHmW0Q
 

日銀が8年ぶりの国債売り現先オペ、期末需給逼迫で−応札2倍台
船曳三郎
2017年3月24日 12:16 JST 更新日時 2017年3月24日 12:24 JST

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今までの四半期と比べて一番モノが不足しそう−東短リサーチ
1兆円の予定額に対し2兆円を超える応札

日本銀行は24日午前の金融調節で国債売り現先オペを実施した。大規模な国債買い入れを背景に深刻化している民間金融機関の国債保有不足を受けたもので、レポ市場で国債の貸し手が特に少なくなる年度末に対応した。
  午前9時30分の金融調節で日銀は国債売り現先オペ1兆円を通知。国債を売却して一定期間後に買い戻す同オペには、2兆円を超える応札があった。応札する金融機関からの銘柄指定がないオペの実施は2008年11月28日以来。今回の対象期間は年度末をまたぐ3月27日から4月3日までの1週間だ。
  東短リサーチの寺田寿明研究員は、「以前から期末越えのモノ不足が指摘されていたが、今年は今までの四半期と比べても一番モノが不足しそうな状況で、日銀が前もって手を打った」と指摘。こうした国債の貸し借りは民間の金融機関同士でレポ市場を通じて行われているが、「日銀の国債買い入れで資金がじゃぶじゃぶになる一方、国債はどんどん流通量が減っており、どうしてもバランスが悪くなっている」と言う。
  日本証券業協会が公表している東京レポレートによると、3月末をまたぐ1週間物はマイナス0.788%と、07年10月のレート公表以来の最低水準を大幅に更新した。決算期末は金融機関の国債需要が現金よりも逼迫(ひっぱく)することで、金利のマイナス幅が拡大する傾向にある。東短リサーチの寺田氏は、「金融機関の保有国債がどんどん減って今年は特に厳しく、流動性が残っているレポや短期国債でもモノ確保の動きが出ている」と言う。
  日銀は23日に、異例とも言える3月末のレポ市場における国債需給タイト化への対応策を発表した。今回実施した国債売り現先オペは来週以降も必要に応じて通知する方針だ。また、特定銘柄の国債を金融機関に貸し出す国債補完供給オペでは、対象先ごとの1回あたりの応募銘柄数の上限を一時的に20銘柄から30銘柄に引き上げるほか、月内は国庫短期証券の買い入れを取りやめる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2017-03-24/ONAOT36K50ZE01


 

【第18回】 2017年3月24日 村上尚己
【予測】ドル円&日本株は「米利上げ回数」でこう動く!
ドル円為替相場や日本株の今後を左右する最もわかりやすい指標は「米FRBによる利上げ回数」である。「トランプ相場」の到来を的中させた外資系金融マーケット・ストラテジストの村上尚己氏は、それぞれの局面でどのような予想をしているのか? 最新刊『日本経済はなぜ最高の時代を迎えるのか?』から一部をご紹介しよう。
3回目の「大幅円安」は期待できるか?
ドル円相場と株価の動きが連動していること、そして為替はマネーの量を左右する日米両国の経済政策によって動くことはすでに以前の連載で解説したとおりだ。したがって、ドル円や株価の大きなトレンドは、日本と米国の経済政策、なかでもマネーの量に直結する金融政策を見ていれば、大きく見損なうことはまずない。
※参考
日本株マーケットは「異常」だからこそ儲けやすい
―ドル円相場と日経平均株価はなぜ連動しているのか?
http://diamond.jp/articles/-/116543
「トランプ円高論」はマネーの基本をわかっていない!!
―円の価値は「○○」が決めている
http://diamond.jp/articles/-/116538
過去の大きな値動きを見ながら、そのことをまずは確認してみよう。
ドル円相場と日米経済政策の推移
上の図を見ればわかるとおり、ここ5年間ほどで大幅な円安が起きたのは「2012年末〜2013年春(1ドル80円前後→100円台)」と「2014年末〜2015年半ば(1ドル100円前後から125円付近)」の2回である。そして、今回のトランプ相場が「3回目」になると私は考えている。
1回目の円安はとてもシンプルだ。民主党の野田首相が国会解散を突如宣言した2012年11月半ばから円安が始まり、12月半ばに経済政策のレジームチェンジを掲げた安倍首相が誕生するまでの過程で1ドル90円前後までの円安・ドル高が進んでいる。
さらに安倍首相は、従来から日銀の政策を強く批判してきた経済学者の浜田宏一氏(イェール大学名誉教授)を内閣官房参与に、黒田東彦、岩田規久男両氏を日銀の新たな総裁・副総裁に据える人事を断行。政府と日銀のあいだでは2%のインフレ目標協定が実現し、2013年4月からベースマネーを2倍に拡大させる大規模な量的・質的緩和(QQE1)がはじまると、ドル円相場は一挙に100円台の大台に乗せた。
「FRBテーパリング」と
「日銀QQE」との相乗効果
1回目の円安が「日本の経済政策の大転換」に支えられていたのに対し、2回目の円安は日米の政策が相乗効果を発揮した例だと言える。当時、2014年4月の消費増税による悪影響で、日本は経済成長率にもインフレ率にも鈍化の兆しが見えていた。そこで同年10月、日銀は量的・質的金融緩和第2弾(QQE2)を発表し、国債・ETFなどの買い入れを拡大させた。これをきっかけに、1ドル100円前後だったドル円相場はわずか1ヵ月半で120円前後まで動いた。
これを背後で支えていたのが、米FRBの金融引き締めである。2014年夏場あたりから米国経済の堅調ぶりが目立っており、そのあたりから私は「FRBが量的緩和のアクセルを緩め、テーパリング(緩和縮小)に踏み出す可能性がある」という見通しを公表していた。日銀がQQE2を打ち出した10月には、実際にFRBがテーパリング開始を発表。「円のマネー供給量が増え、ドルのマネー供給量が減る」という期待がドル円の方向性を決める典型的なパターンが見られた。
以上2回の大幅な円安ドル高が、日本銀行の金融緩和強化、そしてFRBの緩和縮小といった政策転換によってもたらされたことは明らかだ。そして2017年からは再び、日銀が緩和を強化し、FRBは利上げを再開する見通しがある。つまり、基本的な構図はこれまでと同じであり、1ドル120円台の円安・ドル高が進む可能性は高い。
米国利上げの「回数」が決め手に
もちろん、この数字はさまざまな要因に影響を受ける。では、ここから先、ドル高・円安が「どの程度まで進むか」については、どう考えればいいだろうか?
日米双方の経済政策に大きな変化がなければ、為替相場の動向を最も左右するのは、FRBがどれくらい金融を引き締めていくかであり、米国の政策金利(FF金利)を上げる回数である。つまり、経済に対するブレーキをどれくらい踏み込んでいくかということだ。
この意思決定は、FRBの理事7名と各地区の連邦準備銀行総裁5名から構成されるFOMC(連邦公開市場委員会)で下される。利上げについてはさまざまな見方があるが、「年2回ペース」なのか「年3回ペース」なのかで主要メンバーのあいだでも意見が割れているのが現状だ。
FRB利上げ回数とドル円・日本株のシナリオ
これまでFOMCでは、FF金利の誘導水準を2015年末に0.25〜0.5%に、さらに2016年末に0.5〜0.75%に引き上げている。つまり、「1年に1回、0.25%ポイントずつ」という具合いに、きわめて緩やかなペースでブレーキを踏んできたわけだ。
もしもチャイナショックやBrexitのような経済減速のリスク要因が見られれば、直ちにFRBは利上げに慎重な姿勢を見せるはずだ。一方、国内経済がこのまま堅調で、国外にも景気下振れリスク要因がなければ、年3回の利上げは十分にあり得る。
そうした外的なショック以外に利上げ回数を左右するのは、米国の経済成長率・インフレ率・失業率といった経済統計である。たとえば、米国の成長率がここ数年続いていた2%程度の水準から上振れ、インフレ率も2%の目標水準を超えてくるような状況になれば、FRBが利上げを先送りする理由はなくなる。
そして、米国経済が堅調な成長を見せるかどうかは、トランプ大統領の拡張的な財政政策がしっかり実現されるかどうかにかかっている。減税などが公約どおりに実施されて効果を発揮すれば、米国の成長率は4%近くになり、インフレ率も2%を超えてくるだろう。失業率も安定的な回復を見せるはずなので、年3回の利上げシナリオがかなり現実味を帯びてくることになるはずだ。
利上げ回数とドル円の関係はどうなるだろうか? イエレンFRB議長が現状で想定していると推察されるのが年2回の利上げだが、この場合、ドル高・円安は比較的緩やかに進むと予想される。2015年半ばにつけた1ドル125円が目安になるだろう。一方、私が想定しているように、トランポノミクスが積極的に推進され、FRBが3回以上の利上げを行うことになれば、一段のドル高・円安がもたらされる可能性が高く、1ドル130円台も射程内に入ってくる。
株価はどこまで上昇するか?
では、日本株についてはどうか? 繰り返しになるが、日本が完全にデフレから脱却し、2%のインフレを安定的に実現するまでは、ドル円相場と日本株市場の連動性が高い状況は続く。このため、2017年の日本株は円安の進み具合いに依存するというのが、まず大きな前提としてある。
さらに、米国経済の復調と中国経済の安定もあって、2016年央から企業業績は回復基調に転じている。ここに1ドル120円台の円安が加われば、2017年度の企業利益は2ケタ以上の増益に上振れるだろう。
アベノミクス発動後の日本株の推移
株式市場ではそれを織り込む格好で株高が続くため、早晩、日経平均株価は2万円の大台に乗せることになる。2015年のピークだった1ドル125円まで円安が進めば、株価も同様に当時のピークである2万1000円前後をつけると考えるのが自然だ。
もっと言えば、FRBの利上げが3回となり、1ドル130円台をつければ、2万1000円を大きく超える上振れ余地が出てきても不思議ではないし、この状況が一定のあいだ続けば、日経平均株価はやがて2万5000円以上、バブル期以来の高値水準を目指し上昇するだろう。
村上尚己(むらかみ・なおき)
アライアンス・バーンスタイン株式会社 マーケット・ストラテジスト。1971年生まれ、仙台市で育つ。1994年、東京大学経済学部を卒業後、第一生命保険に入社。その後、日本経済研究センターに出向し、エコノミストとしてのキャリアを歩みはじめる。第一生命経済研究所、BNPパリバ証券を経て、2003年よりゴールドマン・サックス証券シニア・エコノミスト。2008年よりマネックス証券チーフ・エコノミストとして活躍したのち、2014年より現職。独自の計量モデルを駆使した経済予測分析に基づき、投資家の視点で財政金融政策・金融市場の分析を行っている。
著書に『日本人はなぜ貧乏になったか?』(KADOKAWA)、『「円安大転換」後の日本経済』(光文社新書)などがあるほか、共著に『アベノミクスは進化する―金融岩石理論を問う』(中央経済社)がある。
http://diamond.jp/articles/-/116561

 


 

2017年3月24日 みわよしこ [フリーランス・ライター]
生活保護への誤解を煽り立てるテレビ報道続出の驚愕


年明けから生活保護に関する大変気がかりな報道が続く。背景には、本年予定されている生活保護法の再改正・生活保護基準見直しもあるように思われてならない(写真はイメージです)
新春の生活保護占いはいきなり「大凶」
外国人に生活保護の適用は必要ないのか?

 2017年1月5日木曜日夜、本連載の記事を手離れさせてホッと一息ついていた私は、友人・知人たちがSNSに書き込んだテレビ番組に対する感想を読み、びっくり仰天した。

 その番組とは、NHK・Eテレの「ハートネットTV」で放映された「シリーズ 暮らしと憲法」の第2回「外国人」だ。「ハートネットTV」は、障害者や福祉について、他のメディアが取り上げない題材を積極的に取り上げてきた番組だ。切り口は鋭く、必ずしも「お茶の間にウケる」とは限らないが、そこは視聴率が売上に響くわけではないNHKの「強み」をフル活用しているのだろう。

 しかし友人・知人たちの感想は、「そのハートネットが?」と私を驚愕させる内容だった。テレビを持たない生活が33年目に入っている私だが、その番組はなんとしても見ないわけにはいかない。というわけで、手段を講じて視聴した。そして、真っ青になった。

 番組は、日本で働き続け、年老いて生活保護に頼るしかなくなった外国人労働者たちの姿を、その人々の生活の基盤が日本にしかないことと共に示している。また、日本で生まれ育ち、日本語を第一言語としている外国人の少年少女たちの姿や声も紹介している。

 その人々に生活保護以外の選択肢がないのなら、福祉事務所と生活保護ケースワーカーの出番となる。番組の中では、外国人の多い豊橋市で、外国人生活保護世帯に親切・丁寧に対応するケースワーカーの姿も紹介されている。

 しかしながら、番組の内容を一言で要約すると、「外国人に生活保護は適用しなくてもよいのではありませんか?」だ。冒頭では、日本国憲法が定めた「基本的人権」や「法の下の平等」の主語が国民であること、憲法には外国人に関する記述はないことが紹介されている。

 また、当分の間「外国人に生活保護制度を準用する」とした1954年の厚生省通達を紹介し、豊橋市のケースワーカーの声として、「半世紀以上……当分の間というには長過ぎる気が」という意見を紹介している。

 また、2014年7月、日本の永住権を持つ外国人高齢女性が生活保護を申請したところ、認められなかった件に関する最高裁判決があった。番組は、最高裁判決の「生活保護は日本国民に限られる」「自治体の判断で外国人に支給している」という判断も紹介している。

 年明け、神社で引いたおみくじは「中吉」だった。しかし新春生活保護占いは、大凶だ……。

生存権は「基本的人権」で
「国が前提」なのか?

 番組は、識者の声として2人の大学教員の意見を紹介している。

 1人目の近藤敦氏(名城大学法学部教授)は、まず基本的人権が普遍的な人間の権利であることを述べ、さらに基本的人権のうち最も重要な生存権、すなわち生活保護を利用する権利は、国民に限定された権利ではないとしている。

 しかし、2人目の百地章氏(国士舘大学客員教授)は、法律の文言に「国民は」「何人も」と書いてあるかどうかを問題にする考え方は現在主流ではないこと、「国家以前の権利」として説明できる権利があることを述べた後に、「国家を前提にしないと説明できない権利がある」とし、例として参政権・社会権・入国の自由を挙げている。生活保護を利用する権利については、「財政が破綻しても保障しなくてはいけないのか、日本人を放っておいても外国人を優先するのか。国家としてあり得ないことです」としている。ということは、生存権は「国家以前の権利」ではない、ということだろう。

 番組はこの後、外国人の子どもに対する義務教育現場の混乱を紹介して終わる。どう解決されるべきかについては、両論併記、玉虫色だ。しかし少なくとも、「外国人に生活保護を認める必要はない」というメッセージが隠されていることは、構成から言って否定のしようがない。

 しかも、生活保護に関する重要な文書や規定、このような番組をつくる人々なら知っていて当然の事柄に、なぜか触れられていない。もしかすると、“なぜか”と問うことさえ野暮というものかもしれないが。

 それらの文書や規定の中から、最も重要と私が考えるものを2点紹介しておきたい。

 最初の1点は、1954年の「外国人にも生活保護を準用する」という厚生省通知だ(生活に困窮する外国人に対する生活保護の措置について/昭和29年5月8日 社発第382号)。この通知は、生活保護法新法が1950年に施行されてから4年後に発せられているのだが、生活保護法をつくった厚生官僚・小山進次郎氏は、1951年、自らの著書『生活保護法の解釈と運用』の中で、生活保護法旧法(1946)では「社会福祉の分野においては堅持せらるべき」態度として内外人平等の原則を採ったが、新法では外国人に対して明確に保護の請求権を認める一方で、法文上は「日本国民の権利」と一歩後退させた、という内容を述べている。

 とはいえ法文上、生活保護法は日本国民のための制度である。小山氏は外国人に関し、「まずはその国の外交機関、解決しない場合には生活保護制度で」とも述べている。これらを明文化したものが、1954年の局長通知である。しばしば喧伝されている「厚生省の局長が、暴動などの圧力に屈して勝手に通達を出した」という説は、全くの誤りだ。

 また、2014年の外国人と生活保護に関する最高裁判決に関しても、重要なことが1つ、番組内で全く紹介されていない。それは、もともと外国人の生活保護に関する権利は、日本人と同じ意味で認められてきたわけではないということだ。外国人には保護請求権があっても審査請求権がないため、生活保護申請が却下された場合、残る法的手段は行政訴訟しかない。

 しかし、この番組を見て、「ちょっと大変だけど、小山進次郎氏のその原典を読んでみるかな」「外国人の権利について、ちゃんと整理してみようかな」と思った人は、たぶん1人もいないだろう。番組が、そういう理解を促すつくりにはなっていなかったからだ。

気になる生活保護報道が相次ぐ
春のテレビ番組を徹底リサーチ

 その後も、生活保護に関しては大変気がかりなメディア報道が続いている。

・2017年3月6日/「好きか嫌いか言う時間」(TBS)

「正しい生活保護の在り方について話し合う60分」ということだが、「正直者は馬鹿をみる?」「あなたの税金が無駄使いされている? 受給者の生活に密着」という番組内容紹介から、「正しい」の意味するところは「死ぬ気で働け」「充分に悲惨でいろ」「自分の希望を持ったり実現したりするな」といったことだろうと予測され、見る前からウンザリする。

 番組には当事者も登場しており、最初の1人は生活保護で暮らしながら生活保護バッシング記事を書いているライター。合法的な範囲で生活保護を利用していることを番組内で強調して反感を買っていた。「そう主張して反感を買うように」という演出ありき、なのだろうか。登場した他の当事者は、傷病を持つ子だくさんのひとり親・傷病がありながら水際作戦を経験した女性であった。

 実際のところ、その人々が「生活保護世帯を代表している」と言えるだろうか。生活保護世帯の半数以上は、今や低年金・無年金の高齢者。「働けるのに働かない」、あるいは就労による生活保護脱却を期待できる人々は、もともと生活保護で暮らす人々の中では多数派ではなかったが、そういう人々は、さらに少数派になっている。

 むろん、番組制作側に「働けるのに働かない生活保護の人々」というイメージと反感を煽る意図があるのなら、「働けないから働いていない」「働いているが、自分や家族を養えるほどの収入を得るのは難しい」という生活保護の多数派にフォーカスするわけがないだろう。

・2017年3月12日/「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)

 この日取り上げられた6つのテーマのうち1つが、小田原市の「生活保護なめんな」ジャンパー問題であった。パネラー8名のうち4名(長谷川幸洋氏・猪瀬直樹氏・加藤清隆氏・竹田恒泰氏)が、ジャンパーをつくった小田原市職員を支持し、理由は「役人の仕事が大変」「やる気を出す意図」「ひどい受給者もいる」「むしろ表彰すべき」というもの。支持しなかったのは、「他にも方法があるはず」という桂ざこば氏、「モチベーションを高める方法なら他にも」という峯岸みなみ氏、「ジャンパーに効果があると思えない」という萩谷麻衣子氏の3名。田嶋陽子氏は「どちらでもない」。

 支持派が優勢なのだが、小田原市が開催した検討会(前回参照)は、放映1週間前の3月5日までにすでに2回、このジャンパー問題に関する検証を行っている。ジャンパーをつくり着用していたケースワーカーたちは、検討会に直接参加はしていないが、経緯や当時の思い、現在の所感などは検討会で紹介されている。

 表面的に「元受給者による傷害事件が起こったので士気を高めるため、問題のある文言を刷り込んだジャンパーを着用した」という事実だけに対して「賛成」「反対」と議論しても意味はない。発覚直後ならともかく、1ヵ月以上経過し、小田原市の検討会で詳細が明らかになっていたタイミングで、なぜこのような番組が放映されてしまうのだろうか。しかも、小田原市の検討会で共有された情報の多くはウェブで公開されていた。

「親族扶養は保護の要件」は
極めてよくある誤解

・2017年3月15日/「『悪い奴らは許さない!』直撃!怒りの告発スペシャル」(日本テレビ)

 ”悪い奴ら”の一例として紹介されているのは、世帯認定が実態と異なるというタイプの不正受給だ。ある地方都市で、「生活保護で暮らす50代の独身女性が、別の住所に居住して(以下略)別の住所に居住して余裕のある生活をしているといる」という市民からの通報があり、実際に1週間以上、自分の住所にいなかった。市役所職員らは張り込みを行い、女性が実際には比較的裕福そうな実家に居住していること、自動車を運転していることを突き止めた。父親からの経済的援助も認められたため、不正受給とされた。その時点で、世帯の認定と実態の間に食い違いが生じていたことは間違いない。

 番組は、他にも同様の不正受給の例が多数あることに加え、弁護士の「扶養能力のある親族がある場合には保護は受けられない」という意見も紹介した。親族による扶養は生活保護に優先されるのだが、弁護士の意見は「親族による扶養は生活保護の要件」を意味する。「親族扶養は保護の要件」というのは、極めてよくある誤解である。

 また、女性の不正受給について、弁護士は「詐欺罪にあたる」とコメント。詐欺に当たるかどうかは、どの時点で、どのような意図で、福祉事務所が把握していた「女性は単身世帯」という情報と実態との違いが生じていたかによる。

 この他にも、週刊誌などのメディアを中心に、気がかりな生活保護報道が続いている。

狙われているのはどこの誰?
背景に生活保護基準の見直しか

 こうした報道の背景にあるのは、本年2017年に予定されている生活保護法の再改正・生活保護基準見直し(引き下げ)であろう。

 生活保護法の再改正では、生活困窮者自立支援法の施行後のフィードバックも含め、より就労促進的になることが予想される。

 私自身は、「働けるのに働かないという人々が多数いて生活保護、国の財布を圧迫している」という俗説は否定するが、「働きたいけど働けない」「働きたいと思うには何もかもが不足している」という人々に対する支援は、人権の問題として重要だと思う。しかし、現在目論まれている生活保護法の再改正の方向性は、「働けるのに働かない」という範囲を拡大し、「働けるのに働けない」という“認定”を容易にし、ペナルティと結びつけることにあるのではないかと危惧している。

 また厚労省は福祉事務所に対し、受け持ち生活保護世帯がパチンコをしているかどうかに関する報告を求めている。これもまた、「働けるのに生活保護でパチンコ」というイメージを独り歩きさせるために役立てられるのではないだろうか。

 また生活保護基準の見直しで、現在最大の標的になっているのは、ひとり親家庭に対する母子加算だ。自民党政権下で廃止され、その年のうちに政権交代によって民主党政権下で復活された母子加算に対し、現政権は「どうしても再度廃止したい」という強い意向を持っているようだ。

 この他、児童養育加算など生活保護世帯の育児に関する加算、生活保護世帯の子どもが保育園に入所しやすいことなども、現政権は「解消」すべき点と考えているようだ。


本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)が好評発売中
 母子加算も児童養育加算も、生活保護世帯が保育園に入所しやすいことも、貧困の中での育児が子どものハンデにつながることを減らし、子どもたちが心身ともに健やかに育成されやすい状況をつくるために設けられたものだ。それらが失われれば、生活保護世帯の子どもたちは、現在でも貧困なのに、さらに深刻な貧困へと押しやられる。

 子どもの貧困を本気で解消するつもりがあるのなら、子どものいる世帯の生活保護基準は高め、少なくとも悪化させず、さらに生活保護ではカバーできない支援を充実させるしかないだろう。私は、現政権や政府文書がどれだけ「子どもの貧困に取り組む」と語っても、とても信じられない。

 この国は、どこに向かって進もうとしているのだろうか。
http://diamond.jp/articles/-/122338  

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