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癒やしのはずの香りが……(shutterstock.com)
柔軟剤が「スメハラ」に!「香りバス」だけじゃない…ニオイの苦情が急増中
http://biz-journal.jp/2017/03/post_18260.html
2017.03.23 文=ヘルスプレス編集部 Business Journal
名鉄バス(名古屋市)が昨年11月から運行している「香りバス」。夜行バスの車両出入り口付近に設置されたアロマ発生器により、車内にはほんのりとした香りが漂うことから、「リラックスできる」との声があがる一方、「香りの成分で体調不良を起こしてしまう」との声があがっているのをご存じだろうか。
声をあげたのは、「化学物質過敏症あいちRe(リ)の会」(名古屋市)。化学物質過敏症の患者らの存在などから、香料で健康被害を起こす人がいる現実を指摘。名鉄バスに対して、「夜行バスは代替手段がなく、特定の人たちが排除されてしまう」として、サービスの再考を求めているという。
このニュースが報じられると、ネットでは、「こんな病気があるんだ」と、少なからず驚きの声があがったが、実は、この「香りバス」にとどまらず、意外にも自分では気づかないうちに周囲の人にニオイで不快な思いをさせてしまう、いわゆる「スメハラ(スメルハラスメント)」問題が多発しているようだ。
■隣家の洗濯物のニオイで体調悪化?
たとえば、洗濯中や干しているとき、さらには身につけている間もフンワリといい香りが続き、「癒やされる」と大ブームになった「香りつき柔軟仕上げ剤」。今やスーパーやドラッグストアに何十種類もの商品が出回り、フレグランス感覚で楽しむ愛用者も多い。
その火付け役は、2000年代半ばごろに輸入されてブレイクした、P&Gの香り付き柔軟仕上げ剤「ダウニー」。それまで柔軟仕上げ剤といえば微香性のものがほとんどだったが、2008年に花王、P&G、ライオンの大手3社も香り付きの新製品を発売し、現在も市場は成長し続けている。
しかし、市場が拡大する一方で、「柔軟剤のニオイが苦しいけれど、通勤列車の中で逃げ場がない」「職場の同僚が常に柔軟剤臭くて頭が痛い」といったSNSへの書き込みも目にするようになった。
以前は、スメハラといえば体臭や香水のつけすぎなどが原因だったが、ここ数年で新たに柔軟仕上げ剤が加わったようだ。国民生活センターに寄せられた「柔軟仕上げ剤のニオイ」に関する相談件数は、2008年度が14件だったのに対し、2014年度は167件と10倍以上に増加。
そのうち、体調が悪くなったなどの「危害情報」は100件以上に上る。
相談内容としては、本人が使ったケースよりも、隣家など他人が使用した柔軟仕上げ剤に対するものが遙かに多い。
たとえば「マンション隣室の洗濯物から、強烈な柔軟仕上げ剤の香りが漂って、頭痛や止まらないせきに悩まされている」「隣人の洗濯物のニオイがきつ過ぎて窓を開けられず、換気扇も回せない」「飲食店の店員が柔軟仕上げ剤を使いすぎていて気持ちが悪くなり、食べたい気持ちがなくなる」といった事例だ。
■微香性の数倍の化学物質を発する
人によっては不快になるだけでなく、健康被害まで引き起こす柔軟仕上げ剤のニオイ。背景としては、香り成分に含まれている化学物質や化合物による影響が考えられる。
これらが皮膚や鼻など粘膜から吸収されると、喉の痛みなどアレルギーに似た症状がみられることがあるのだ。
ご存じのように、市販されている柔軟仕上げ剤や消臭剤や洗剤などに使われている「香料」は、化学的に合成されたもの。天然のアロマやハーブなどを使うと高価になってしまうためだ。
国民生活センターでは、香りの強い柔軟仕上げ剤を使った場合、微香性のものを使った場合、そして柔軟仕上げ剤を使わない場合について、洗濯物を室内干ししたときの空気中の揮発性有機化合物の量を調べた。
すると、微香タイプの柔軟仕上げ剤を使用した場合と、使用しなかった場合では約20μg/m3上昇したのに対し、強い香りのある柔軟仕上げ剤を使用した場合では有機化合物の量が約70〜140μg/m3上昇。微香タイプに比べると3〜7倍という結果になった。
■2割以上の人が使いすぎ
それに輪を掛けるのが、柔軟仕上げ剤の使いすぎだ。日本石鹸洗剤工業会の調査によると、柔軟仕上げ剤の量を洗濯物の重量に応じてきちんと決めている人は2割程度でしかなく、「計量していない」という人も16%いた。
さらに香りを長持ちさせようと、標準使用量の2倍以上使用している人が23%もいたという。
工業会では「柔軟仕上げ剤を使用する理由が、香りや柔らかさといった個人的な感覚と嗜好によることが多いため、使用量のばらつき大きくなると考えられる」と分析しながらも、「柔軟仕上げ剤を入れ過ぎると、洗濯物の吸水性が低下する」として、適量を使用することを推奨している。
好きな香りに包まれると癒し効果があるのも事実だが、同じ香りでも心地よくなるのか、悪い気分になるのか、感じ方や身体的な反応には個人差がある。
そもそも柔軟仕上げ剤の本来の目的は、繊維を柔らかく仕上げ、静電気を防止することであって「香り」は付加的なものにすぎない。使う場合はそのことを忘れずに使用量を守り、周囲への配慮も怠らないようにしたいものだ。
香りの柔軟仕上げ剤にハマってしまった人は、もう一歩進んで「手づくり」をお勧めしたい。クエン酸、グリセリン、好みのアロマオイル数滴と水といった材料で、洗濯物がほんのり香る柔軟仕上げ剤が簡単にできる。
自由にカスタマイズできるし、人にも環境にもやさしい。ネット上に多くのレシピが紹介されているので、トライしてみてはいかがだろうか。
(文=ヘルスプレス編集部)
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