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ハイパーインフレ時にジンバブエで発行された百兆ジンバブエドル紙幣 Photo by Izuru Kato
日本で注目高まるシムズ理論 ジンバブエが示唆する“破壊力”
http://diamond.jp/articles/-/120927
2017.3.16 加藤出 ダイヤモンド・オンライン
「物価水準の財政理論(FTPL)」が、日本ではここ数カ月、大きな話題になっている。「異次元」といわれた日本銀行の金融緩和政策をもってしても、目標の2%に到達しないインフレ率を高める手段として注目されているのだ。
先日、この理論を提唱するクリストファー・A・シムズ・米プリンストン大学教授が来日したが、その際には経済紙だけではなく、一般紙も大きく報じた。財政再建を先送りする理由として、FTPLが政治利用されそうな空気が流れている。
シムズ教授は昨夏、米カンザスシティー連邦準備銀行のカンファレンスでFTPLについての講演を行った。それを契機に専門家の間でシムズ理論が話題になったが、米国では一般的な注目は浴びていない。
先日の米国出張時に会った著名エコノミストに「日本でシムズ教授が人気だ」と話したところ、「え、何で?」と心底驚いていた。米主要紙である「ウォール・ストリート・ジャーナル」「ニューヨーク・タイムズ」「ワシントン・ポスト」のウェブサイトを検索してもFTPLの記事は出てこない。
海外で一般にはシムズ理論が関心を持たれていない理由は、経済政策の実務にそれを導入することが、現実には想像しにくいからだと思われる。
例えば、シムズ教授によると、政府が財政再建に対してより無責任となり、政府債務はインフレで調整されると人々が不安を抱けば、個人消費が増えて物価は上がるという。そして、インフレ率が2%を超えたら、中央銀行や財務当局はブレーキをかけて、人々の信認を取り戻すように振る舞えばいい、という考えだ。
しかし、政府への信認を機動的に操作することは本当に可能なのだろうか。
アフリカ・ジンバブエのムガベ政権の場合、9年前のハイパーインフレ時に失った信認をいまだに取り戻せないでいる。
2008年の天文学的インフレは、シムズ教授が言う政府への信認崩壊によって生じた物価水準のジャンプだったのかもしれない。その後、ジンバブエ政府は、ジンバブエ・ドルを捨て去ることでインフレを収束させた。
自国通貨がなくなれば、政府が中央銀行にマネーを発行させて財政赤字を埋めることはやりにくくなる。ジンバブエ国民は米ドル等を使うようになった。通貨再発行のうわさが流れると、ハイパーインフレを思い出す人々が銀行で取り付け騒ぎを起こすため、自国通貨の復活は実現できないでいる。
近年、同国の経済活動は停滞を強め、多くの企業が破綻した。「ニューヨーク・タイムズ」(17年3月4日)によると、労働力の95%は雇用されず、闇市場での販売などで生計を立てており、海外投資家はムガベ政権下のジンバブエ経済には投資したがらないため、新たな産業が生まれる展望は開けないでいるという。
しかも、14年以降、ジンバブエのインフレ率はマイナス。つまり、デフレが続いている。ジンバブエを見ていると、FTPL的なインフレで巨大な政府債務を吹き飛ばすことができても、経済をけん引する産業が育たなくては、結局停滞が生じてしまうことが分かる。
また、FTPLは、人々のインフレ期待に“核爆弾”のような衝撃を与えることはできるかもしれないが、2%という小幅なインフレ率を維持するための繊細な道具ではないといえるだろう。
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