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ヤマトが第2の電通に?囁かれる違法残業摘発のターゲット
http://diamond.jp/articles/-/120728
2017.3.10 ダイヤモンド・オンライン編集部
宅配ドライバーの過剰労働問題で揺れる宅配便最大手、ヤマト運輸で、今度は巨額の残業代未払いが明らかになった。この問題を伝えた記事(朝日新聞3月4日付け)は、ヤマトが違法なサービス残業の常態化を認め、グループの約7.6万人の社員を対象に未払い残業代の調査を始めたとしている。未払い分の支給額は数百億円にのぼる可能性があるという。関係者が指摘するのは、違法な長時間労働を常態化させていたとして昨年末に書類送検された広告最大手・電通との類似性だ。(ダイヤモンド・オンライン編集部)
■昼食休憩もせずに配送
支店に戻ってサービス残業
ヤマトは「第2の電通」になるのではないか──。そんな見方は、労働問題に詳しい関係者の間では少し前から広がっていた。
きっかけは昨年11月、ヤマトの元セールスドライバーの男性が弁護士や労働組合関係者とともに厚生労働省で会見し、違法な残業の実態を告発したことだった。
「ヤマトがアマゾンの荷物を取り扱うようになって、体感では荷物が2〜3割増えたが人手が足りていない。現場は本当に苦しんでいる」
男性が勤務していたのは、横浜市内にある神奈川平川町支店。
支店ではドライバーに「ポータブルポス」と呼ばれる業務用の携帯端末を配布し、ポータブルポスの稼働中を労働時間として記録していた。ドライバーたちは配送を終えて支店に戻ると、入金処理をしてポータブルポスから1日の稼働データを取り出し、上司に提出する。本来は、ここでその日の業務は終了する。
だが、実際は違った。ポスを切った後、支店での残業が課せられていた。伝票作成依頼の入力など翌日の配送準備、貴重品の付け合わせ、新規の荷主に関する「お客様データ」の入力……。こうした業務がほぼ毎日あり、終了しなければ退勤できなかった。このほか、1日60分と定められている昼食休憩も形骸化し、ドライバーたちは休憩を削って配送に打ち込んでいたという。
ヤマトが運ぶ宅配便はこの5年間で3割も伸びるハイペースだった。最大の要因はネット通販の普及。通販のガリバーであるアマゾンの荷物は、宅配業界2位の佐川急便が一手に引き受けていたが、運賃値上げ交渉の決裂で両社は2013年に提携を解消。最近ではアマゾンの荷物の多くをヤマトが運ぶ。現場は過剰労働に疲弊することになった。
しかもポスに記録が残らないこれらの業務に対し、ヤマトは賃金を支払っていなかった。男性の代理人弁護士らによると、労基署に申告した2人のドライバーの賃金未払い分の残業時間は、労基法上の時効期間である2年間分だけでも、それぞれ約637時間=171万円、約557時間=147万円。ヤマト側は賃金未払いを認めたが、その額と時間は男性側の算定よりも少なく、それぞれ約327時間=57万円、約510時間=87万円だった。
男性は、同僚とともに違法残業が常態化していると労働基準監督署に申告し、横浜北労基署が残業代未払いなどの労働基準法違反で同支店に是正勧告していたことも明かした。
■勤務記録の改ざんや過労死も
各地で労基署の是正勧告導受ける
ヤマトで違法な長時間労働が判明するのは、これが初めてではない。この10年間で明らかになったものでも、次の例がある。
【2007年9月】大阪市内の2ヵ所の集配センターで宅配ドライバーへの残業代が未払いだったとして、大阪南労基署が労基法違反で是正勧告したことが発覚。上司がドライバーの出退勤記録を改ざんし、労働時間の記録を短く書き換えていたことも報じられた。徳島市と大阪府豊中市の集配センターでもサービス残業が発覚し、徳島と淀川(大阪市)の両労働基準監督署からも是正勧告を受けた。
【2009年6月】大津市と徳島市の営業所がドライバーへの割増賃金が未払いだとして是正勧告を受けた。
【2012年9月】船橋主管支店の営業担当だった男性(当時47)のくも膜下出血での死亡を、船橋労基署が過労死と認定。死亡直前の3ヵ月間の労働時間は、月86〜110時間に及んでいた。
厚労省や各地の労働局は、個別の是正勧告や労災認定を公表していない。上記のヤマトの事例は、ドライバーや遺族など当事者による会見や、報道機関による取材で明らかになったものだ。仕事量は増える一方なのに、低賃金のため人手が思うように集まらない宅配業界の状況を考えれば、これらは氷山の一角に過ぎなさそうだ。
■特別チーム「かとく」
ターゲットは大企業に
全国に拠点を構える大企業であり、労基署から各地で何度も改善指導を受けながらも企業体質を改めず、同じ過ちを起こす。そんなヤマトの姿は、全国の本支社が3回の是正勧告を受け、新入社員の自殺問題までになった電通と瓜二つでもある。
電通の捜査を担当するのは、厚生労働省の「過重労働撲滅特別対策班」だ。通称「かとく」と呼ばれ、塩崎恭久・厚労相の肝いりで、2015年4月に東京・大阪の両労働局に新設された特別チームだ。事業所ごとに不正を調べる労基署の通常の手法と異なり、全社的な労務管理の実態解明をめざす。労基署の日常的な業務は一切せず、ターゲットの大企業を徹底して調査する。行政指導にとどめず、司法捜査権限を積極的に行使し企業や経営陣の刑事責任を追及するのが特徴だ。
規制緩和や成長戦略のかけ声のもとで、低賃金不安定労働の非正規社員があっという間に働く人の4割弱を占めるようになり、国内でも低賃金長時間で働かせる「ブラック企業」が増える中で、働き手を守る労働行政は存在意義を問われてきた。
「働き方改革」の中心に掲げる長時間労働是正で成果をあげたい政府の先兵として、大元の企業の本社を叩くことで、長時間労働を許容する企業文化を改めさせる。そんなミッションを持つ「かとく」にとって、電通は格好のターゲットだった。電通の捜査は、最終的な立件に向けて大詰めを迎えているといわれる。「かとく」が次のターゲットをどこに定めるのか。その射程にヤマトが入っている可能性は高い。
■「摘発」に危機感強める経営陣
数百億円?残業代未払いがカギ
ヤマトの経営陣が「第2の電通」になることに危機感を強めていることは確かだ。宅配現場の過重労働が改まらないのは、ドライバーらの労働条件の改善を後回しにし、アマゾンなどとの値上げ交渉で十分な収入を確保し、それを働き手に還元してこなかった経営の責任という面が色濃い。
もともと宅配便ドライバーの過重労働問題で、「ヤマト労組が荷物量の抑制を要求」と最初に報じたのは、2月23日の日本経済新聞だった。記事は、経営陣は要求に応じる方向だとも伝えている。関係者によると、この時、労組は要求書に荷物量抑制を明記していたわけではなく、口頭で「現場の体制を改めなければ、現状の荷物量はさばききれない」と、経営陣に訴えただけだったという。それが、来年度に扱う荷物量が今年度の水準を超えないよう労組が要求したことに、経営陣が応じたかのように伝えられたという。
「記事には経営陣が発したいメッセージが色濃く出ていた」と、ヤマト関係者は言う。他のメディアもこの問題を伝える中で、「ヤマトの経営陣は、売上の減少につながりかねない労組からの異例の要求に理解を示し、労働環境の改善に熱心」だというイメージが広がったというわけだ。
朝日新聞が報じた未払い残業代の全社的調査は、電通が書類送検された直後の1月ごろに始まったという。すでに川崎市や横浜市の一部の営業エリアでは調査に着手し、一人当たりの支給額が過去2年分で百万円を超える例もあるという。調査を始めたのは「会社として、未払い残業代を自ら調べて支払う意向を示せば、行政が強制捜査に乗り出す必要性は限りなく薄くなる。それで『かとく』の摘発を回避できる」という思惑と見られている。だが思惑通りになるのかどうか。今夏までにまとめるという未払い残業代の全社調査の結果がどのようなものになるのかが、まずはカギになる。
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