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三井住友FGの系列地銀売却は、「メガバンク再編の嵐」の前兆か 台風の目になるのはこの銀行(現代ビジネス)
http://www.asyura2.com/17/hasan119/msg/775.html
投稿者 赤かぶ 日時 2017 年 3 月 07 日 09:29:20: igsppGRN/E9PQ kNSCqYLU
 


三井住友FGの系列地銀売却は、「メガバンク再編の嵐」の前兆か 台風の目になるのはこの銀行
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/51138
2017.03.07 町田 徹 経済ジャーナリスト 現代ビジネス


■これが銀行再編の構図


関西アーバン、みなと、近畿大阪の3地方銀行が来年4月をめどに、資本の壁を乗り超えて経営統合することになった。3行合計の総資産額は昨年9月末時点で11.4兆円に達しており、関西地区でトップ(全国6位)の巨大な地域銀行(地方銀行+第二地方銀行)が誕生することになる。


規模以上に興味深いのは、再編劇の影の主役が三井住友フィナンシャルグループ(FG)という点にある。


国際業務の拡大を目指す同FGは、自己資本比率の向上を迫る国際金融規制の見直しに備えて、自己資本比率が相対的に低い関西アーバン、みなと両行を連結対象から外すため、事実上、両行を売却する方針に転じた。


遅ればせながら、この日本の銀行には珍しい「選択と集中」に乗じ、地域密着で中小企業との伝統的な取引拡大を目指す、りそなホールディングス(HD、みなと銀行の親会社)が2行の獲得に踏み切ったのが、再編の構図なのだ。


メガバンク主導の地域銀行の再編として、今回の経営統合は、三菱東京フィナンシャルグループ(FG)傘下の中京銀行や、みずほフィナンシャルグループ(FG)傘下の千葉興業銀行が新たな再編の中核になる可能性を示したと言える。


人口の減少、成長の鈍化、地方の空洞化、金融庁の再編圧力、そして日銀のマイナス金利政策……。メガバンクのお家の事情以外にも、銀行に再編を迫る要因は枚挙に暇がない。


かつての都市銀行や第2地方銀行(旧相互銀行)に比べると遅れていた地方銀行の統合はもちろん、メガバンク同士の合従連衡にも飛び火しかねない。そんな再編の嵐が日本にも近付いているのかもしれない。



■関西アーバンとみなとを手放したい理由

先週金曜日(3日)、今回の統合に関係する5行の首脳が一堂に会して大阪市内で開いた記者会見で発表した基本合意(http://www.resona-gr.co.jp/holdings/news/hd_c/20170303_1a.html)によると、統合する3社株を保有する予定の中間持ち株会社株について、「りそなHDが議決権の過半数を有し、連結子会社とする」一方で、三井住友FGは「持分法適用会社」にとどめる計画だ。

つまり、現在、関西アーバンとみなとを傘下に持つ三井住友FGからすれば、この再編は2行の経営権を譲渡(売却)することに他ならない。

その理由を問われた三井住友銀行の国部毅頭取は、「国際金融規制の強化が我々の決断に影響したのは事実だ。規制がこれほど厳しくなかったら、ひょっとしたら動かなかったかもしれない」と述べたうえで、「みなと銀や関西アーバン銀は新しい統合グループに入った方が大きく成長できると判断した」と胸の内を明かした。

当面は、持分法適用会社(としての2行)へのサポートを続けるとコミットしたものの、それほど遠くない将来にすべての持ち分を手放して、回収した資本を自行が成長分野と見込む国際分野へ振り向ける可能性は高そうだ。

金融庁を含む世界の金融当局がメンバーになっている「バーゼル銀行監督委員会」は、今月2日の会合で、リーマンショック以来の流れとなっている、国際的に業務展開をする主要30銀行に対する資本規制「バーゼル3」の最終決定を前回に続いて再延期した。

トランプ米大統領が行き過ぎた米国内の金融規制に待ったをかける大統領令に署名したことなどが、再延期の原因として取り沙汰されている。

しかし、1990年代の日本の不良債権処理、リーマンショック、欧州金融危機といった金融危機が起きるたびに、「大き過ぎて潰せない」との理由から、庶民の血税を投入して巨大銀行を救済してきたことに対する批判は、世界の大衆の声だ。

転ばぬ先の杖として、巨大銀行にこれまでより自己資本の充実を迫る規制強化の流れそのものは、簡単には変わらないだろう。

その流れを先取りして、三井住友FGは、マイナス金利に喘ぐ系列2地銀に新たな支援の必要が具体化する前に、自行よりも自己資本比率の低い2行を手放しておきたかったとみられる。

■背に腹は代えられない…

今回の再編の対象が大阪府と兵庫県に本店を置く3行だったことの背景として、自動車産業と並ぶ日本の代表的な輸出産業だった家電各社が、パナソニックの再三のリストラ、三洋電機の消滅、シャープの香港企業・鴻海への身売りなどによって勢いを失い、関西経済の地盤沈下が続いていることは大きなポイントだ。

加えて、京都府に本店を置く京都銀行や奈良県に本店を置く南都銀行の大阪府内への攻勢が激化して、3行の収益力低下が危ぶまれている問題もある。

一方、同地域の金融機関の間では「例えばパチンコ業界向け融資を一手に任すなど、三井住友FGは関西アーバンとうまく棲み分けている」という評判が定着していたが、三井住友FGにとってはそうした利点を捨て去る決断だった面もある。

ちなみに、りそなHDは、「スーパーリージョナル」をキャッチフレーズに、地域蜜着で中小企業との取引拡大をテコとして生き残りを図る戦略を掲げている。

そして、りそなHDは、三井住友FGの系列第二地方銀行売却希望得を唯々諾々と聞き、買収を引き受けたわけでは決してないらしい。

取材過程では、「当初、三井住友FGは関西アーバンの売却を急いでいたが、りそなHDが統合効果を高めるために、みなとも合わせて売却するよう迫った」(メガバンク関係者)という噂もあった。

みなとの源流は、かつて相互銀行トップで隆盛を極めた兵庫相互銀行だ。

加えて、三井住友FGが傘下に収めてからは、同FGの前身の一つである「さくら銀行」が神戸市内を中心に店舗などの積極的な譲渡を行い、旧太陽神戸三井銀行との競合の整理につとめた経緯があり、みなとが、りそなの手薄な兵庫県、特に神戸市で圧倒的な勢力を誇っているところに目を付けたというのである。

■再編の嵐がさらに強まる

メガ銀行が地方銀行の再編を主導する事例として捉えれば、今回は必ずしもパイオニアケースとは言えない。

前例を挙げれば、2012年(平成24年)9月に、岐阜市に本拠を置く地方銀行の十六銀行が、第二地銀の岐阜銀行と合併したケースがある。

これは実際の合併の2年以上前から、当時、岐阜銀行の発行済み株式の20.8%を持つ筆頭株主だった三菱東京UFJ銀行が岐阜銀行に資本支援を行い、不良債権処理を勧めることを条件に、十六銀行がまず同行を完全子会社化して同行の財務内容を親会社の眼で詳細に検証した。そのうえで、ようやく踏み切った吸収・救済合併だった。

不良債権が多く残っていた、この当時の合併と違い、現在は、マイナス金利政策の影響で地銀各行の収益力が再び悪化しかねない状況だ。

また、当時は、メガバンク系列の地域銀行が、資本の壁を乗り越えて、他のメガバンク系列の地域銀行と再編することなど考えられない状況だった。

今回のケースは遅過ぎた感があるものの、三井住友FGなりの「選択と集中」の戦略性や、資本系列を超えた再編という面でエポックメーキングである。

ただし、5行はこの秋までに詳細な経営統合スキームを詰めて、来年4月に中間持ち株会社を設置して3行の経営統合を目指すとしているが、これだけでは今回の経営統合は「道半ば」という感が否めない。

というのは、オーバーバンキング(銀行過多)の下で、お互いに過度な金利引き下げ競争にのめり込み、自分で自分の首を絞めるケースが珍しくないのが地域銀行の現状だからだ。

5行も、この悪癖を是正して「統合効果を最大化する見地から」、最終形として関西アーバン、近畿大阪の「合併を含む組織形態の最適化を検討します」としているものの、ここまで実現する保証は何もない。

しかし、今回の経営統合により大きな意義を持たせようとすれば、合併によって銀行数を減らして過当競争を生むオーバーバンキングにメスを入れることが必要である。

とはいえ、過小に評価し過ぎることも禁物だ。冒頭で述べたように、日銀のマイナス金利政策はもちろん、それ以外にも人口の減少、成長の鈍化、地方の空洞化、金融庁の再編圧力など、銀行に再編を促す圧力は山積みだ。

金融庁は昨2016年9月に出した「平成27事務年度 金融レポート」で、10年後(2025年3月期)には、人口の減少や利ざやの縮小が響いて、6割の地域銀行が「顧客向けサービス業務(貸出・手数料ビジネス)」で赤字に転落すると試算している。

ちなみに、すでに4割の地域銀行は2015年3月期の段階で「顧客向けサービス業務」が赤字で、これが地域銀行の再編を全国的な流れにしていた原因だ。さらなる収益の悪化が予想されることに加えて、今回のようなケースが表面化したことで、再編の嵐がさらに増幅される可能性は大きい。

先月(2月)末には、三重県四日市市に本店を置く地銀の三重銀行が、同県松阪市に本店を置く第二地銀の第三銀行と、来年4月に共同持ち株会社の下での経営統合を実施すると発表したばかりだ。三重銀行の第2位の大株主は発行済み株式の5.75%を保有する三井住友FG、第三銀行の第4位の大株主は同3.52%を保有するみずほFGである。

三井住友銀行は「関西系3行の経営統合と異なり、両行の独自の判断に基づく経営統合だ」(広報部)と、背後でのメガバンクの関与を否定している。が、銀行界では「両行は何年も前から最後通牒を突きつけられている。もはやメガバンクの救済は期待できないと、両行が意を決したのが、今回の経営統合だ」(事情通)との受け止め方が一般的だ。

■今後も銀行の再編は進む

では、いったい、どんな銀行が再編の台風の目になるのだろうか。一般的に言えば、今後も、メガバンク系列や独立系の地方銀行を軸に経営統合が進む可能性が高い。

というのは、戦後長らく続いた護送船団行政の副作用であるオーバーバンキングの中、1997年の北海道拓殖銀行の経営破綻まで13行が存在した都市銀行はすでに4行(メガ3行とりそな)に集約された。

やはりピーク時に70行を超えていた第二地方銀行協会(旧相互銀行)加盟行も4割近く減って41行になった。両者と比べると、地方銀行の再編は大きく遅れている。今なお全国地方銀行協会には64の地方銀行が加盟しており、その過剰感は否めない。

4行に減った都銀ですら、再編の荒波に抗えないところが出て来ても不思議はない。今回の再編で主役になったりそなHDを例にとると、再編後も、地域密着型の似たようなりそな、埼玉りそな、近畿大阪・関西アーバン・みなとの3リテールバンクが併存するうえ、営業地域の重複も目立ち、とても効率的な組織とは考えにくい。

また、長年、共に関西地区を地盤とするライバル関係にあった三井住友FGとりそなHDが、売り手と買い手の関係とはいえ、一つのテーブルについて協力して経営統合を実施することになったのは、劇的な変化だ。

当面は目指すビジネスモデルが違い過ぎるが、10年単位で見れば何が起きてもおかしくない業界に銀行はなりつつある。

さらに、今年1月、マスコミ各社に「系列を超えた事業統合の交渉開始」と大きく報じられたみずほFGと三井住友トラスト・ホールディングス(HD)の動向と、これが両グループのさらなる接近に繋がるのかも焦点だ。

当時報じられた統合対象事業は、企業や年金基金から預かったお金を管理する資産管理銀行部門で、みずほの54%出資の資産管理サービス信託銀行(TCSB)と三井住友トラストの67%出資の日本トラスティ・サービス信託銀行(JTSB)。

年内に持ち株会社方式で経営を統合する案が有力で、2020年までには両行を完全合併して、多額の投資が必要になっているシステムを一本化するとみられている。

銀行再編はこれから本番に突入することになりそうだ。


 

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