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Cruise Automationの技術を搭載した電気自動車「シボレー・ボルトEV」 出典:GM
自動運転実現の鍵を握る、注目すべき新興企業9社
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170223-00000110-it_eetimes-bus_all
EE Times Japan 2/23(木) 23:40配信
■次なる「Waymo」はどこなのか?
Ford Motor(Ford)が2017年2月10日(米国時間)、米国ペンシルベニア州ピッツバーグに拠点を置くArgo AIに10億米ドルを投資すると発表した。Argo AIはこの時まで、無名の技術新興企業の中の1社にすぎなかった。
Argo AIは、2人のロボット工学専門家(Google出身のBryan Salesky氏と、Uber出身のPeter Rander氏)が、2016年11月に設立したばかりの新しい企業だ。同社は、Fordが接触してくるまでの間、実に巧妙に人目を忍んでいたといえる。
ここで、ある考えが浮かんでくる。
どこかの企業に拾い上げてもらうのを待ちながら、次なる「Waymo(Googleの持ち株会社であるAlphabetが設立した、自動運転技術を開発する会社)」となることを目指している技術新興企業は、一体、何社ほど存在するのだろうか。
さらに重要なのが、それはどのような企業なのかという点だ。
FordがArgo AIへの投資を発表したことから、両社がいかに互いを必要とし合っていたかがよく分かる。しかし、最終的にこの協業関係を成功させるのは、決して容易なことではない。
Fordは今回、プレジデント兼CEOであるMark Fields氏が「ハイブリッドモデル」と呼ぶ、ビジネスモデルを開発した。FordはArgo AIの大株主になるが、Argo AIは高い独立性を維持するという。Argo AIは、自社株式を大量に保持することができるため、トップクラスの人材を確保しやすくなる。
General Motors(GM)は2016年に、自動運転車の開発を手掛ける新興企業Cruise Automationを、10億米ドルを超える金額で買収しているが、GMにとっては過剰な支払いなのではないかと懸念された。しかし実際のところ、GMは、長い期間をかけて10億米ドルを支払うという契約にまとめ上げた。GMが、技術開発チームを完全な状態のまま維持し、Cruise Automationの人材を流出しない考えであることがよく分かる。
IHS Automotiveのインフォテインメント&ADAS(先進運転支援システム)部門でリサーチディレクターを務めるEgil Juliussen氏は、「GMは、Cruise Automationを独立グループとして確保した。Cruise Automationの開発チームは、自社の技術を、GMの他のモデルの車にではなく、電気自動車だけに統合することに注力する。これは、実に正しい方法だといえる。GMがCruise Automationの開発チームを非常にうまく取り入れたことに、大いに感銘を受けた」と述べている。
一方、FordとArgo AIのビジネスモデルは、これとは少し異なる。Fordは、自動運転車開発チームの一部を、子会社となるArgo AIに統合する予定だからだ。
いずれの場合も、ここから得られる教訓は、「ただ単に、正しいパートナーを見つければよいのではない」ということだ。協業関係を成功に導くためには、単純に買収するだけでは不十分なのである。
■どこで人材を見つけているのか
では、自動車メーカーは、どこで自動運転向け技術を手掛けるエンジニアを見つけているのだろうか。
米国の市場調査会社であるThe Linley Groupでシニアアナリストを務めるMike Demler氏は、EE Timesの取材に対し、「実質的には、ほぼ全ての自動車メーカーがシリコンバレーに拠点を置いていることから、技術新興企業に対して戦略的投資を行っているメーカーがいるのは間違いない」と述べる。その他にも、大学などの教育機関を介して人材を確保している可能性もある。例えば、米国カリフォルニア州にあるスタンフォード大学の自動車研究センター、CARS(Center for Automotive Research at Stanford)プログラムなどがその1つだろう。
CARSは、未来の自動車を作るために欠かせない知識を追求するために2008年に設立された。研究者と学生、業界、政府、コミュニティーが一丸となって、「人間と機械がどのように連携できるか」を研究している。
Demler氏によると、スタンフォード大学の他にも、ペンシルバニア州のカーネギーメロン大学やミシガン州のミシガン大学などにも同様のプログラムがあるという。
Vision Systems Intelligence(VSI)の設立者で主席アドバイザーを務めるPhil Magney氏は、「自動車メーカーは、“象牙の塔(研究室などの閉鎖的な社会)”ともいわれるアカデミック界で研究者を発掘する以外に、オープンソースコミュニティーで開発者を見つけようとしている」と述べている。
同氏は、オンライン講座プラットフォーム「Udacity(ユーダシティー)」プロジェクトを例に挙げ、「AIに関しては、オープンソースコミュニティーに優秀な開発者が多い」と語る。Khronos Groupのような業界団体がディープラーニングを研究するワーキンググループを設置するなど、AI市場は、よりオープンになっている。
Magney氏によると、Khronos Groupは現在、トレーニングシステムとインタフェースエンジン間のディープラーニングデータ交換用の標準ファイルフォーマットの作成を手掛けているという。同技術は、ビジュアルプロセッシングに使われる畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)やAIアーキテクチャに適用される。
EE Timesは、自動運転技術の開発に注力する独立系技術ベンチャーについて、複数の業界アナリストに質問した。
現時点で買収すべき企業もあれば、そうでない企業もある。AImotive(旧AdasWorks)の設立者でCEOを務めるLaszlo Kishonti氏は、EE Timesが最近実施したインタビューの中で、「われわれは、独立したポジションでいたい」と語った。同社は、CEVAやIntel、NVIDIA、京セラ各社とそれぞれにプロジェクトを進めているが、それとは別に、「他の企業ともさらに大規模な取引をする用意がある」としている。同社は現時点で既に、目標売上高を達成しているという。
ここからは、自動運転技術を手掛ける注目すべき9つの新興企業をアルファベット順に紹介していこう。いずれも、ライダーやコンピュータビジョン、コネクティビティといった特定の主要コンポーネントではなく、自動運転プラットフォームを手掛ける企業だ。
■(1)AImotive
AImotive(旧AdasWorks)は、AIベースの自動運転車向けソフトウェアを開発している。2015年7月に設立された企業で、2回の投資ラウンドで945万米ドルの資金を集めた。
同社の最新製品には、Khronos Groupの現在の開発スペックに対応した、電力効率に優れたAIアクセラレーターチップがある。
AImotiveは、モバイル市場向け最適化サービスを提供するベンチマーク事業で知られるKishontiからスピンオフした企業である。Kishontiの技術を受け継ぎ、リアルなグラフィックスの生成を得意としている。AImotiveは、リアルタイムのドライビングシミュレーターを提供している。
AImotiveは、自動車メーカーや技術メーカーと密に連携しながら、信頼性の高い自動運転技術を実現できるアーキテクチャの開発を進めている。
■(2)AutonomouStuff
米AutonomouStuffは、知覚センサーやGPS、コンピューティングといった、自動運転技術を実現するための技術開発を手掛けている。
2010年に設立され、ADAS(先進運転支援システム)や自動運転向けのプラットフォームおよびソフトウェアを提供している。
AutonomouStuffの自動運転プラットフォームは、NVIDIAのARMプロセッサ「Tegra」をベースとした車載開発プラットフォーム「Drive PX 2」を搭載している。
■(3)Comma.ai
アフターマーケットADASユニットの開発企業である米Comma.aiは2016年秋、同社初となる製品の発売を中止し、業界を驚かせた。さらに2016年11月末に、同社の自動運転車プロジェクトのコードをオープンソース化すると決断したことで、再び業界を驚嘆させた。
Comma.aiは現在、自動運転ソフトウェア「OpenPilot」のソースコードを公開している。
Comma.aiの創設者であるGeorge Hotz氏が「open-source alternative to Autopilot」と呼ぶこの新しいプロジェクトは、ソースコード共有ツール「GitHub」でコードを提供している。
VSIのMagney氏はEE Timesに対し、「Comma.aiのコードの中には、推論モデルとして知られるComma.aiの学習ネットワークなど、修正や変更ができない部分もある。ただし、HMI(Human Machine Interface)や制御コマンドなど、その他のコードは公開されている。このプラットフォームは開発用途のみだ。商用化したい場合は、交渉が必要になる」と説明した。
Comma.aiは2016年に、シードファンディングでAndreesen HorowitzやTechammerなどから310万米ドルの資金を調達している。
■(4)Drive.ai
米Drive.aiは、自動運転車向けAIソフトウェアの開発を手掛ける。同社は、AIで動作する自動車メーカー向けハードウェアおよびソフトウェアキットの開発を目指している。
Drive.aiは2015年に、スタンフォード大学のAIラボのエンジニアチームが設立した。ロボティクスとディープラーニングの専門知識を生かし、運転技術とヒューマンインタラクションの双方にマシンラーニングを適用することで、他社と差別化した技術開発を目指す。
同社はこれまでに、InnoSpring Seed FundやNorthern Light Venture Capitalなどから1200万米ドルの資金を調達している。
■(5)FiveAI
英FiveAIは、世界で最も信頼性の高い自動運転車向けソフトウェアの開発を目指している。同社は、センサーフュージョン、ディープニューラルネットワークと統合したコンピュータビジョン、ポリシーベースの行動モデル、モーションプランニングなど、数多くの技術を手掛ける。複雑な都市環境でも安全なレベル5の自動運転車向けソリューションの設計を目指す。
同社は2016年に、起業家のStan Boland氏が設立した。Boland氏は、DSLチップセットを手掛けるElement 14(2000年にBroadcomが買収)とワイヤレスモデムを手掛けるIcera(2011年にNVIDIAが買収)の共同創設者で、CEOを務めた人物だ。FiveAIのWebサイトに掲載されている15人の研究チームは、元Iceraの役員の他、コンピュータサイエンティストや数学者、物理学者、マシンラーニングとコンピュータビジョンの博士号取得者などで構成されている。
同社はシードファンディングで、Amadeus Capital PartnersとKindred and Notion Capitalから270万米ドルの資金を調達している。
■(6)Nauto
米Nautoは、自動運転車技術システムの開発を手掛ける。もともと、アフターマーケットのADAS技術を手掛けるメーカーとして始動した企業だ。現在提供しているAI搭載デュアルカメラユニットは、ドライバーや道路などから学習する機能を備えているという。
Nautoは、リアルタイムセンサーや視覚データを使用して、ガイダンスやリアルタイムのフィードバックなどを提供することで、事故の原因を認識したり、虚偽の賠償請求を削減したりできるようにサポートする。各都市にこのシステムを導入することで、交通制御や都市計画などの機能が向上し、死亡事故を撲滅することを狙う。
Nautoは2015年3月に設立された。同社は「事故につながるような危険な状況を、あらゆるレベルで把握できるようにしたい」とする。
同社は2016年、QualcommのSoC(System on Chip)「Snapdragon」のニューラル処理エンジンSDK(ソフトウェア開発キット)を使用して、独自に開発したディープラーニング用アルゴリズムを動かしていることを明らかにした。
Nautoはこれまで、3回の投資ラウンドにおいて、1485万米ドルの資金を調達している。投資企業には、BMW i Venturesや、Draper Nexus Ventures、Index Ventures、Playground Global、Toyota Research Institute(TRI)などが名を連ねる。
■(7)Oxbotica
英Oxboticaは、英オックスフォード大学からスピンアウトした自動運転車開発メーカーだ。モバイル機器の自律性やナビゲーション、知覚、研究などの分野を専業とし、自律ロボット工学への適用に取り組んでいる。
VSIのPhil Magney氏が指摘しているように、オックスフォード大学のOxford Robotics Instituteはこれまで、自動運転車向け機能の開発に取り組んできたが、今後は、実際の運転挙動に対してセンサーデータを直接マッピングすることにより、複雑な都市環境向けに、AIを使用してアルゴリズムのトレーニングを行っていく予定だという。
同社は、自律制御システム「Selenium」を独自開発している。自動車の種類に依存しないオペレーティングシステムであるため、フォークリフトやカーゴポッド、乗用車など、あらゆるものに適用可能だという。
Oxboticaは、自動運転車の隊列走行のスケジュール管理や調整を行うことが可能な、クラウドベースの管理システムも提供する。人間が介入することなく、スマートフォンを使った予約や、経路最適化、車両間のデータ交換などを行うことができるという。
さらに、同社の開発プラットフォーム「Geni」は、新しいアルゴリズムの試作や試験を実行できる。
Oxboticaは2014年に、オックスフォード大学のMobile Robotics Groupを主導するIngmar Posner教授とPaul Newman教授によって設立された。
■(8)PFN
日本のPreferred Networks(PFN)は、自然言語処理および機械学習の分野で開発に取り組んでいる。「エッジヘビーコンピューティング*)」技術に注力していて、自動運転車をはじめとする新しいIoT(モノのインターネット)用途向けに、リアルタイムの機械学習技術を適用することを目指している。
*)クラウド・ネットワークデバイス・エッジデバイスが分散協調的にデータ処理を行うための、新しいコンピューティング(出典:PFN)
同社は2014年10月に、トヨタ自動車との間で独占的な協業関係を構築し、ディープラーニングを用いた自動運転車向け技術の開発に着手した。トヨタ自動車はその後、2015年12月に、PFNに10億円を出資している。
PFNはこれまでに、ファナックやNTT、トヨタ自動車などの企業から、合計で1730万米ドルを調達している。
■(9)Zoox
米Zooxは、自社を“MaaS(サービスとしてのモビリティ)”ならぬ“自律MaaS(サービスとしての自律モビリティ)”におけるロボティクス企業のパイオニア的存在、と位置付けている。同社は、完全な自動運転電気自動車の開発と、それを商用化するために必要なエコシステムの構築を手掛けている。
Zooxは、オーストラリア出身の設計者であるTim Kentley-Klay氏と、スタンフォード大学に勤務していたエンジニアJesse Levinson氏によって、2014年6月に設立された。Levinson氏はスタンフォード大学で、Googleの自動運転プロジェクトを最初に率いていたディレクターであるSebastian Thrun氏とともに働いていた人物である。
同社の元には2億9000万米ドルの資金が集まっている。IHSのJuliussen氏は、「Zooxは、自動運転技術を手掛けるスタートアップの中でも、最も資金を集めた企業の1社だ」と話す。
Zooxが第1弾の製品を発表する直前となる2016年秋には、同社の企業価値は15億米ドルにまで上昇していた。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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