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飽和する「記念日」…年間2800種類、企業は売上拡大のため「記念日づくり」競争
http://biz-journal.jp/2017/02/post_18031.html
2017.02.15 解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio Business Journal
近年、ハロウィンの市場規模が拡大しており、2015年の段階で1200億円前後にまで成長したといわれる。これは、1100億円程度といわれるバレンタインの経済効果を上回った数字だ。だが、そもそもハロウィンのコスプレ文化は日本独自のもので、東京ディズニーリゾートがハロウィンイベントを開催するなどして注目され始めたのが、20年前の1997年と比較的最近の出来事だ。
ハロウィンに限らず、バレンタインデーに女性が男性にチョコレートをプレゼントしたり、クリスマスにチキン、節分に恵方巻きを食べたりと現在日本にはさまざまな恒例行事がある。それらは、企業が販売促進のために戦略的に習慣として根付かせたといわれている。このように、ある特定の日を記念日的にイベント化することは、企業にとってはどのようなプラスがあるのだろうか。立教大学経営学部教授の有馬賢治氏に伺った。
■記念日は年間に2800種類以上
現在認知されている記念日にはバレンタインデーやクリスマス、節分など起源の古いものから、11月11日の「ポッキー&プリッツの日」のように、比較的最近定着し始めたものもある。そもそも記念日はどのように定められるのか。
「伝統的に定着している行事以外は、一般社団法人『日本記念日協会』に登録申請を提出し、認定されれば認定登録料の10万円の費用を支払うことで制定できるようです。手間も費用も会社単位で考えれば大したことはないので、業界や企業がPR効果を目的に登録することも多く、現在すべての記念日を含めると年間2800種類以上になるそうです」(有馬氏)
企業がそこまでして記念日を制定したい理由とはなんなのだろうか。
「記念日の認定登録を受けると、協会の公式ホームページや月刊機関誌で名称や日付、由来、リンク先などが掲載され、自社や業界のプロモーション・ツールとして自由に使えるようになります。また、『日本記念日協会認定済』と謳うことができるので、広告媒体で実践的に使用可能となり、マスコミ受けもよくなります。このようなPR戦略は“記念日マーケティング”と呼ばれます」(同)
■記念日定着で企業、業界が活性化
定着したときの費用対効果を考えれば、比較的安価な投資といえる記念日申請。企業からしてみれば「とりあえず」の感覚で申請できるのだろう。実際に、日本記念日協会には企業やPRに携わる関係者からの相談が増え続けているという。では、記念日定着による具体的なマーケティング効果とはどのようなものがあるのだろうか。
「企業が記念日を制定すれば、継続的にイベントやキャンペーンをするタイミングを得ることになります。つまり、消費者に毎年一回は必ず商品の想起を促せるということです。消費者だけではなく、企業も記念日に向けてのキャンペーンを毎年展開できますから、事業目標を立てやすく、担当者のモチベーションをあげることにも繋げやすくなります。さらに、バレンタインデーのように広く一般社会に浸透して定着すれば、その効果は他社も含めた業界全体の刺激になります。このように、記念日マーケティングは企業や業界の活性化策として有効な戦略となるのです」(同)
だが、前述の通り年間の記念日は2800種類以上もあり、その中で世間に定着したものは決して多くはない。記念日も飽和状態にあるということだ。
「もちろん、記念日を制定したからといって、必ずしも売上げに直結するわけではありません。企業独自のプロモーション戦略で、消費者に覚えてもらう努力が必要です。しかし、それは簡単なことではありません。特に、業界や一般に定着できるかどうかは、担当者が継続的に力を入れて地道に広報活動を積み上げていけるかどうかにかかっていると思います」(同)
ハロウィンが今のような形で定着するきっかけとなったひとつに「KAWASAKI Halloween(川崎ハロウィン)」があるといわれているが、同イベントの初開催時はパレードの参加者が150人程度の規模だったという。しかし、毎年地道に続けていった結果、現在はギャラリーを含めると12万人以上を集める大型イベントとなった。このイベントからもわかる通り、何かが世の中に定着するまでには相応の期間を要する。これは企業の成長に似たものがあるのではないだろうか。
(解説=有馬賢治/立教大学経営学部教授、構成=A4studio)
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