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1月31日、会見の中で異次元金融緩和策の出口に関する議論を「時期尚早」と受け流した、日本銀行の黒田東彦総裁 Photo:REUTERS/アフロ
医者だとしたら説明不足で失格 “患者”の不安を受け流す日銀
http://diamond.jp/articles/-/116768
2017年2月9日 加藤 出 [東短リサーチ代表取締役社長] ダイヤモンド・オンライン
昨年来、日本銀行は利回りがマイナスの国債を大規模に購入し続けている。
日銀保有資産の平均利回りは、2016年度上半期に0.317%に低下した。今後も同利回りの低下は続く。先行き日銀が短期金利を引き上げ始めたら、日銀が銀行へ支払う利息が保有資産から得られる利回りを上回り、巨大な逆ザヤを抱える可能性が高い。
1月31日、黒田東彦日銀総裁は日銀内で記者会見に臨んだが、異次元金融緩和の出口政策時における日銀の損失について、記者から突っ込んだ質問を受けた。ところが、黒田総裁は「出口について今議論するのは時期尚早」と、受け流した。しかし、それは説明責任を果たすべき立場として正しい姿勢なのだろうか。
13年4月の日銀による量的質的金融緩和策の開始を、医者と患者の関係に例えて考えてみよう。
治療開始時に医者は前例のない「異次元」の量の薬を処方し、「これを飲み続ければ2年で病気が治ります」と患者に告げた。
確かに病状は一時いくらか改善したが、再び悪化する(14年4月をピークにインフレ率は下げ足を速めた)。
困った医者は、薬の投入量を大胆に増量することを決断する(14年10月の国債買い入れ増額)。患者の体重比で考えれば、これほど大量の薬を処方する医者は他にいない(日銀の国債買い入れ額の経済規模比は、米国、欧州、英国の中央銀行よりも圧倒的に巨大)。
それでも病状は悪化を続けたため、いまだ検証が十分ではない新薬が追加で投入された(16年1月のマイナス金利政策の追加)。
さらに、他の医者はリスクを懸念して処方しない禁じ手の薬も増量された(16年7月の上場投資信託の購入増額)。
この間、この医者は「できるだけ早期に治してみせるから私を信じなさい。信じることをやめたら効く薬も効かなくなります」と患者に告げつつ、病気が治る時期の予想を頻繁に後ろへずらした。
そして、治療開始から3年半がたった。ついに医者は短期で治すのは無理があると諦め、今後は持久戦でやっていきましょうと患者に告げる(16年9月の「総括的な検証」)。
ただし、これまで処方してきた膨大な量の薬は今後も毎日飲み続けるように指示した。病気が治るのは多分今から2年後ぐらいだろうと医者は言うが、治療開始時のような自信に満ちた様子はなくなった。
なお、この医者はあと1年と少しで病院での任期を終える(黒田総裁の任期は18年4月8日まで)。
不安になった患者が、「先生、私はすでにものすごい量の薬を飲みました。今後も飲み続けて大丈夫なのでしょうか。先生がいなくなった後に何か副作用は出ないのでしょうか」と尋ねた。
すると、医者は「まだ治療の道半ばです。副作用のことを考えるのは時期尚早です」と言って、患者の心配に取り合わない。これでは患者は不安を募らせるばかりだろう。これが今、日銀と国民の間で行われているやりとりだ。
翻って米国の中央銀行である米連邦準備制度理事会(FRB)は、大規模な資産購入策を開始した2年半後から出口政策の議論をオープンに行い、FRBの損益や財政への影響についても何度か試算を発表している。
日銀はそれに批判的だが、納税者への説明責任としては、FRBの方がはるかに真摯な態度を取っているといえる。
(東短リサーチ代表取締役社長 加藤 出)
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