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「意外と長時間労働の会社」実名公開!有名企業50社を総力調査 知らずに入ると大変なことになる
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50826
2017.01.31 週刊現代 :現代ビジネス
長い時間働くことは美徳。かつてはそう考えられてきた。だが、今は違う。政府が民間企業に労働時間の削減を迫る。日本人の「働き方」はここまで変わった。
■三菱電機の当事者社員が語る
「言われたことしかできないのか。じゃあ、お前は俺が死ねと言ったら死ぬのか」——。
また大企業でパワハラと常態化した長時間労働が問題となった。
'13年4月に三菱電機に入社したA氏(31歳)は神奈川県にある情報技術総合研究所に配属された。待っていたのは長時間労働と、上司からの常軌を逸した叱責だった。
A氏はAV機器の部品開発に携わっていたが、技術的な研究と現場のトラブルへの対応を求められ、'14年2月の休みは2日のみ。残業時間は月に160時間にも上ったが、会社へは59時間と過少申告せざるを得なかったという。
実質的な「サービス残業」に加えて、上司から会議室に呼び出されて、冒頭のように罵倒されたり、深夜にも上司から電話連絡があったりしたとA氏は話す。
「'14年4月に『適応障害』を発症し、労災休業が認められました。その休業期間中に、三菱電機は私の解雇に踏み切ったのです。これは私だけの問題ではありません。私が勤めた職場では今も同じように長時間残業を強いられ、パワハラを受けている仲間がいると思います。会社は今すぐにそういった労働環境を改善してほしい」(A氏)
訴えを受けて、藤沢労働基準監督署はA氏の労災を認定。今年1月11日には法人としての三菱電機と、社員の労務管理をしていた当時の上司を横浜地検に書類送検した。
厚生労働省の塩崎恭久大臣は、三菱電機の事件について会見で、
「労働基準法上、使用者は労働者の労働時間を適正に把握する義務があり、上司によって虚偽申告の指示をするという法律違反をさせるように自己申告を命じること、これは言語道断でありまして、私どもとしては看過できない」と激怒してみせた。
昨年には、電通で入社1年目の女性社員が過労自殺するという痛ましい事件も発覚した。こうした悲劇が、安倍政権の「働き方改革」の提唱へとつながっていることは言うまでもない。
三菱電機や電通にかぎらず、多くの日本企業は、依然として長時間の過重労働や残業代ゼロなどの問題を抱えている。しかし、その一方で企業活動を政府が指導し、一元的に管理しようとする「働き方改革」にどれほどの実効性や現実味があるのか、違和感があるのも確かである。
そこで週刊現代は、有名企業の長時間労働の実態はどうなっているのか、そこで働く社員たちの本音はどこにあるのかを現役社員に聞いた。就活生向けの企業案内では絶対にわからない、生々しい声をお届けしよう。
■ユニクロのサービス残業
たとえば、飲食業は「ブラック業界」と批判されることが多い。内情を外食大手のすかいらーくグループの社員が嘆く。
「うちに限らず、外食産業はブラックそのものですよ。社員が長時間労働になるのは、単純にバイトの人手不足からです。『ゆとり世代』の大学生はそんなにおカネを欲しがらないし、せいぜい週に2回だけ働けばいいという感覚なんです。結果的に人手不足からフロアを回せなくなって、社員が穴埋めをする。
社員には、注文を取る以外にも仕事が山積みです。バイトのシフトを作ったり、食材を発注したり、在庫の管理をしたり。私なんか朝10時に来て、帰るのは深夜0時過ぎです。労働基準法に当てはめれば、残業は日に6時間、月に120時間ということになりますね。
政府は働き方改革を進めるということですが、このまま人手不足の状態が続けば、ファミレスの24時間営業なんてできなくなりますよ。実際、いくつかの店舗ではやめ始めています」
同じくブラック企業として批判を受けることもある、「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの労働改善も、まだ道半ばのようだ。
「度重なる批判を受け、長時間の残業は厳しく制限されていますが、本部に内緒でサービス残業をせざるを得ないですね。繁忙期には仕事が回りませんから。
長時間労働というよりも、きついのは精神的なプレッシャーです。電通の自殺した女性と一緒で、うちの会社も追い込まれたときの逃げ場がない。少しでも気を抜くと店舗運営が崩壊して、本部から厳しく叱責されます。改善しようとしてうまくいかなければ、さらに厳しく叱責され、精神的に疲弊するという悪循環です」(40代・店長)
規定の残業代が支払われる会社はまだマシかもしれない。損保業界では営業職にも「裁量労働制」が採用されていて、長時間労働の「抜け穴」になっていると、現役社員たちが不満を漏らす。
「私の『みなし労働時間』は9時間なのですが、実際には12時間働いています。成果主義の賃金体系なので、高い目標を設定させられますが、それを達成しようとすると、とてもではないが9時間では収まらない。ところが、賃金は9時間分で固定されているため、得をしているのは会社だけ」(損保ジャパン日本興亜・20代・営業)
「本人の『希望』によって『裁量労働制』というのが建て前ですが、嫌だといえる雰囲気ではありません。残業が恒常化していてもすべて自己責任という風潮がある。国が働き方を決めるのなら、現実の労働時間と『みなし労働時間』の大きなズレもきちんと調査してほしい」(東京海上日動・30代・本社勤務)
経営側の都合で残業時間ばかりが青天井になる「裁量労働制」はこのように評判が悪い。
日本IBMでもシステムエンジニア(SE)が長時間労働に従事させられていると、日本IBM労働組合書記長の杉野憲作氏は批判する。
「現場で働いているITエンジニアは10時出社で、帰りは基本的に終電です。仕事が終わらなければ自宅にパソコンを持ち帰って仕事をしているので、実際の残業時間は一日6時間以上になります。ところが、裁量勤務ですから残業代という概念がなく、働かせ放題になっているのです。
現場の社員にアンケートを取ると、〈会社は対外的には自由に働けるなどと喧伝しているが、実際は血反吐を吐くような毎日だ〉といった回答が複数寄せられます」
外資系なのに、同社の「働き方」は旧来の日本的な長時間労働と変わらないというわけだ。
■20時以降の残業を禁止した結果…
総合商社も仕事は過酷と言われる。取引相手が海外に及ぶため、時差があって労働時間が不規則になりがちだ。三井物産の30代社員(営業)が言う。
「月の残業時間が55時間を超えたら、特別申請をしなければなりません。でも、たいていの人は申請が面倒なので、残業を55時間以内に抑えて申告しています。
たとえば、地球の裏側のブラジルの企業と取り引きしている同僚は、日本時間の21時に先方が始業する。そこから会議や打ち合わせをして、深夜3時までは働きます。それでも、翌朝も午前中に会社にこなければいけない。理不尽ですよね。
もちろん、最近は会社も長時間労働には敏感になっていて、終業時刻を報告させられるようになりました。しかし、実態はあまり変わりません。
実は『裏技』があって、残業時間が長くなってきた社員を出張に行かせるんです。出張中は残業をつけることができないので、労働時間を抑えられる。海外出張が多い商社ならではですね」
総合商社のこうした長時間労働を改善しようとして、「残業ゼロ」を前面に押し出したのが、伊藤忠商事だ。岡藤正広社長が陣頭指揮を取って、20時以降の残業を原則禁止にした。その結果どうなったか——。
「朝の出勤時間が早くなりました(苦笑)。遅くとも7時30分には出社しています。家に仕事を持ち帰ったり、自宅で海外と電話会議をしたりすることもありますが、基本的には会社で仕事を片付けるようにしています。かつては深夜残業が当たり前で、月に残業時間が150時間を超えるなんてザラでしたが、慣れるものですよ。
ただ、たしかに労働時間は短くなりましたが、かといって成果を求められることに変わりはありませんので、仕事の重圧は以前と同じです」(40代・管理職)
かつての伊藤忠も、パワハラと超長時間勤務が横行する過酷な職場だったという。それでも耐えられた理由を、電通事件と比較して、この管理職はこう語る。
「パワハラなんて日常茶飯事でした。『売り上げが人格』ですから、契約が取れないと人格をとことん否定される。『イスに座るな』と上司に言われたことがありますよ。イスは契約書を作るために座るもの。契約が取れていないヤツに座る資格はない、というわけです。
それでも耐えられたのは、つらい時期を超えれば、もっと大きな仕事ができるという夢があったからです。そう考えると電通では、上司や先輩が将来のビジョンを新入社員に見せてあげられなかったのでしょう」
なお、今回取材に応じた現役社員が所属する企業の中で、最も残業時間が短かったのが全日空だ。本社に勤務する社員(30代)がこう話す。
「残業時間は多くても月に10時間です。ウチは航空機の定時運航を目指す会社ですから(笑)、勤務も定時に終えるように指導されていて、それが浸透しています。
もちろん、空港勤務だと降雪などのトラブル対応で突発的に労働時間が長くなることはありますが、その場合は別の日に休暇を取るなどして調整しています」
一方で、サラリーマンの中には、会社に定められた労働時間より、もっと働きたいという声もあるのも事実だ。三井住友銀行、三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行の3メガバンクの残業時間は多くても月60時間に収まっているが、それに不満を持つ行員も少なくない。三井住友銀行の行員(30代・支店営業)がこう話す。
「メガバンクの中でウチの行員が一番働いていると思いますよ。通常は8時に出社して、21時に退社します。基本的にはどんなに遅くても21時には退社させられますから。先輩社員からは、『昔は除夜の鐘を聞きながら、取引先に向かったこともある』と聞いたこともありますが、最近ではありえませんね。
ただ、翌日までに融資の資料を作らないといけないときなどは、もっと働きたい、とは思います。長時間働くなと言われる一方で、営業職なので数字のノルマはありますから、仕事が時間で区切られることがストレスになることも。個人の働き方を国が時間で制限するのではなく、働きたい人は働けるような、柔軟な仕組みにしてほしい」
実際、パナソニックでは新商品の開発時期に限って、労働時間が長くなることが黙認されているという。幹部社員(50代)が内情を明かす。
「23時に会社の正門を締めますが、社員は通用門から出入りして深夜残業に従事しています。ただ、こうした残業は申請しません。新商品の開発はライバル会社との競争ですし、すでに発表されている発売日に合わせるためには徹夜も必要です。やらなければならない時は、やるんです!」
労働時間を制限したところで、仕事は待ってくれない——。NHK局員(30代・制作)も、そう口を揃える。
「決められた放映時間は変えられませんから、それまでには絶対に番組を完成させなければなりません。そうなると、放送直前は深夜2〜3時までの編集作業が当たり前。
最大で月に150時間の残業をすることがあります。土日もオンエアがありますから、休日出勤もありますし、それで代休が発生しても、また次の番組制作のために満足に消化できない。
ただ、電通事件を受けて、上層部は勤務体系の見直しに動き出しました。放映スケジュールが決まっている年度内は難しいでしょうが、来年度からは携わる番組数を減らしたり、放送までゆとりを持ったスケジュールに組み替えたりすることが議論されています」
■サボったほうが得する会社
そうなると、残業時間が減って、局員は喜びそうなものだが、話はそう単純ではないという。
「残業代を当て込んで生活設計をしているため、仮に残業代がゼロになれば、妻と子供を抱えて都内で暮らしていくのは相当きつい。その一方でこれまでと変わらずに番組制作のプレッシャーを与えられたら、やってられません。
政府は同一労働同一賃金を掲げて『働き方改革』を推進していますが、そもそも残業代を考慮しないと、満足な給料をもらえないシステムがおかしい」(前出・NHK局員)
NHKにかぎらず、マスコミでは長時間労働が当たり前だ。とくに新聞やテレビの報道記者は日々、「特ダネ」を求めて這い回る。
「警視庁や検察庁を担当する社会部の記者は、検事や刑事の夜討ち朝駆けが基本ですから、どうしても長時間勤務になってしまいます。
朝駆けは警察幹部の出勤前に自宅に行かなければならないので、朝6時に自宅を出ないと間に合いません。夜も幹部の会合が終わるまで、家の前で待っていないといけない。他社の記者がいたら先に帰れないので、必然的に拘束時間は長くなります。
ウチは『みなし残業制度』で、本給の7割くらいが別途支給され、残業時間と給与が連動するわけではありません。逆に言えば、サボっている記者が得をする会社と言えるかも」(朝日新聞・30代・記者)
「政治部の記者などは政治家との個人的な付き合いから情報を取ってくるので、仕事ができる人ほど労働時間は長くなります。かといって、他の人が代わることはできません。やりがいがありますから、長時間労働だからといって社員の不満は少ないですよ」(フジテレビ・40代・報道)
本人の意にそぐわない長時間労働や残業代の未払いは問題外だが、一方で、国や企業が労働時間を管理して強制的に休ませ、その結果、企業の収益が悪化したり、社員の収入が激減したりするのでは意味がない。
次ページの表にも数多くの企業の労働実態を紹介した。「働き方」には正解がないから難しい。どの会社もいま、戸惑いを抱えながら模索を続けている。
『週刊現代』2017年2月4日号より
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