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稼ぎ頭の半導体事業を分社化する東芝だが、原発事業のリスクは放置されたまま Photo by Reiji Murai
東芝危機は去らず。遅すぎた「原発への注力やめる」宣言
http://diamond.jp/articles/-/115906
2017年1月30日 週刊ダイヤモンド編集部
「原子力発電事業のリスクは切り離すことを考えなければならない」。ある東芝幹部の言葉は、同社の経営危機の本質を突いている。
米原発事業の損失が最大7000億円規模に膨らむ危機に陥っている東芝は27日、分社化する半導体のフラッシュメモリー事業の一部売却や保有資産の売却で、3月末の債務超過を回避する方針を発表した。
だが、原発事業が東芝全体を揺るがし続けてきた経営構造の問題は、放置されたままにある。
2006年に買収した米原発子会社ウエスチングハウス(WH)は、11年の東京電力福島第一原発の事故による世界的な建設計画の遅れで、13年3月期と14年3月期の2年で計1150億円の単体減損を計上。14年3月期と15年3月期には米原発建設計画「サウステキサスプロジェクト」が事実上とん挫したことで計720億円の減損を計上している。
さらに不正会計問題が発覚した16年3月期には、WHの連結ベースで2500億円の減損を計上し債務超過の危機が迫ったが、医療事業の東芝メディカルシステムズを6655億円で売却して免れた。
そして17年3月期は、WHが米国の原発建設の遅れを取り戻すために買収した米企業が巨額損失を計上する見通しになったことで再び債務超過の危機に陥った。
前期末に売却した医療事業は営業利益率5%を安定的に稼いできた優良事業で、今回の売却対象となったフラッシュメモリー事業も今期10%超の営業利益率をうかがう勢いの稼ぎ頭だ。
東芝内部では「医療の次は半導体。原発で損失を出すたびに利益の出ている事業の売却を迫られるのは、どう考えてもおかしい」(半導体部門)と不満の声が上がる。
喫緊の課題は債務超過の回避。それに向けて東芝は、3月末までに分社化するフラッシュメモリー事業の20%未満の株式の引受先を探すため入札手続きに入る。米ウエスタンデジタルや外資系ファンドなど複数が候補になる見込みだ。
■売却できない原発事業
その一方で、経営危機の元凶である原発事業は切り離しができないのが実情だ。
06年の買収当初に67%だったWHの出資比率は、共同保有者だった米ショー・グループが12年に買い取りを要求したことで87%に上昇した。以来、ショーに代わる引受先を探してきたが、世界各国で原発事業のリスクを敬遠する動きが加速しており、今に至っても買い手が見つかっていない。国家安全保障に絡む原発事業は「中国が求めたとしても丸ごと売却するわけにもいかない」(経済産業省幹部)という事情もある。
目先の債務超過の回避に躍起になる東芝だが、原発事業を抱え続ける限りは、抜本解決には程遠い。「原発さえなければ」(冒頭の幹部)との恨み節も漏れるが、自ら取り得る選択肢は限られる。
■原発を社長直轄に
東芝の綱川智社長は27日の記者会見で「原発事業は最注力領域としてきたが、この位置づけを変える」と述べ、同事業を社内カンパニー(事業部門)から切り離して、社長直轄の組織とする方針を示した。
今回の巨額損失の原因となった米国の原発建設工事事業は撤退する方向で、30年度までに45基以上としていた原発の受注計画も見直す。
だが、社内の組織変更で原発を社長の管理下に置くだけではリスクは切り離せない。もともと無理な買収で参入した原発建設工事への深入りをやめて、無謀な原発の大量受注計画を見直すことは当然の対策だ。打ち手が限られる中で「WHのガバナンスを強化する」とする綱川社長の言葉は空しく、東芝の苦境は続く。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 村井令二)
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