Technology | 2017年 01月 27日 20:30 JST 関連トピックス: トップニュース 焦点:東芝、綱渡りの3月末の債務超過回避策 見えない資本増強http://s3.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170127&t=2&i=1170399980&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED0Q0LL 1月27日、東芝がメモリー事業の分社化と外部資本の導入方針を正式発表たことで、3月末の債務超過回避が視野に入ってきたが、メモリー会社の一部株式の売却手続きが年度内に決着するかどうかは綱渡りの状況だ。都内の本社(2017年 ロイター/Toru Hanai) {東京 27日 ロイター} - 東芝(6502.T)が主力のメモリー事業の分社化と、外部資本の導入方針を正式発表たことで、3月末の債務超過回避が視野に入ってきた。ただ、メモリー会社の一部株式の売却手続きが年度内に決着するかどうかは綱渡りの状況だ。 さらに3月末に債務超過を回避したとしても、抜本的な資本増強は避けられない情勢で、その道筋はいまだ見えていない。 <綱渡りの売却スケジュール> 東芝は現在、米原子力事業に伴う減損損失額について、監査法人との協議を続けており、5000億円を超える可能性が出ている。最終的には2月14日の第3四半期決算発表時に公表する予定だが、3月末に債務超過に陥るリスクが現実化していた。 関係者によると、東芝は来月初旬にも、メモリー会社の株式20%未満の売却手続きに入る。東芝は、メモリー会社の企業価値を1―1.5兆円と試算しており、2000億円の株式売却益を想定。減損額が5000億円を超えたとしても、資産超過を確保できる見通しだ。 買い手候補には、提携相手の米ウエスタンデジタルや、米シルバーレイクなど複数の投資ファンド、キヤノン(7751.T)など取引先のほか、日本政策投資銀行も視野に入れている。 ただ、通常の事業売却プロセスでは、買い手候補に資産査定の時間を与え、そのうえで数回の入札を経て、相手を絞り込む。この間、早くても2―3か月はかかるのが一般的だ。売却決定が4月を超えても、決算発表までの間であれば「後発事象」として処理できるが、「決して時間的な猶予があるわけではない」(取引銀行幹部)との懸念も出ており、薄氷のスケジュールとなりそうだ。 <課題として残る抜本的資本増強> ただ、3月末に資産超過を確保したとしても、引き続き、自己資本問題は残り続ける。減損問題が浮上するまでの株主資本は約3600億円程度。メモリー会社の株式売却に加え、その他の資産を切り売りするにしても、財務はぜい弱なままだ。 取引銀行のある幹部は「第一段階は、債務超過の回避。新年度以降に資本増強策が課題になる」と話す。 三井住友銀行、みずほ銀行、三井住友信託銀行の主力取引行や、日本政策投資銀行などを引受先とする優先株なども取り沙汰されるが、リスクの高い出資には銀行も安易に乗るわけにはいかない。 27日の会見で、綱川智社長は、主力と位置付けている原子力事業の将来計画の見直しを表明し、新たな中期経営計画を2月に公表すると宣言した。取引銀行からは「原子力ビジネスの未来はバラ色どころか真っ黒」(役員)との指摘も出ており、主力事業をどのように位置づけ直し、中計を作り直すのか、大きなポイントになりそうだ。 「中期的に、東芝がどのような会社になるのか。財務戦略とは別次元の本質的な課題だ。それをきちんと示す必要がある」──。取引銀行の首脳はこう語っている。 (布施太郎 取材協力:浜田健太郎、編集:田巻一彦) http://jp.reuters.com/article/toshiba-feature-idJPKBN15B11T?sp=true Technology | 2017年 01月 27日 20:47 JST 関連トピックス: トップニュース 東芝、原発事業を「非注力」扱いに 社長が海外見直し表明 http://s3.reutersmedia.net/resources/r/?m=02&d=20170127&t=2&i=1170382062&w=644&fh=&fw=&ll=&pl=&sq=&r=LYNXMPED0Q0DL 1月27日、東芝の綱川智社長は会見で、原子力事業について「エネルギー事業の中で最注力領域としてきたが、その位置づけを変えていく」と語った。写真は都内で昨年12月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai) 《東京 27日 ロイター》 - 東芝(6502.T)の綱川智社長は27日記者会見し、経営再建の柱の一つに据えてきた原子力事業について、注力事業との位置付けを見直す意向を表明した。米原発建設事業で数千億円規模の損失が発生する見通しとなったことを受け、海外原発事業は「今後のあり方を見直していく」と明言した。 綱川社長は原発事業について「エネルギーの中で最注力事業とした位置付けを変えている」と強調。東芝本体で従来から行っていた国内の原発事業は「再稼働、保守管理、廃炉を中心に責任を果たしていく」とする一方で、2006年に買収した米原子力プラント子会社ウエスチングハウス(WH)が手掛ける海外事業の見直しに言及した。 東芝は30年までに海外で原発45基を受注する目標を掲げているが、過大な数値ではないかとの見方が根強い。綱川社長は「新規受注に関しては考え直す」し、内容も「建設を含めて受注するのか機器・設備(納入)だけでやるのか、(受注する)基数も含めて見直している」などと説明した。 リスク管理強化に向けては社内カンパニーの「エネルギーシステムソリューション社」が管轄する原子力事業を「社長直属の組織にすることを検討する」(綱川氏)という。 今回の巨額損失リスクは、WHによる米原発建設会社ストーン・アンド・ウエブスター社買収が震源。社内カンパニー社長はWH会長のダニー・ロデリック氏が務めている。社長直属化によって「WHのガバナンス強化を図っていく」(綱川氏)のが狙いだ。 <メモリー分社、IPOも選択肢> 会見は、この日にメモリー事業の分社化を決定したことを受けて行われた。米原発事業で巨額損失が出る見通しとなり、稼ぎ頭であるメモリー事業を分社化して外部資本を導入し、財務体質の強化を図る。 綱川社長は分社化の狙いについて「投資継続も一つの要素。半導体事業の強化になればという思いだ」と述べ、原発のリスクが半導体事業に波及することを遮断する狙いも示唆した。 分社への外部資本の出資比率は「20%未満が基本的な考え」(綱川氏)という。分社の株式公開(IPO)については「可能性の一つ」としている。 米原発事業に絡む損失が17年3月期に5000億円超に上る可能性がある中、東芝の自己資本は約3600億円(16年9月末時点)にとどまる。メモリー事業の分社化による資本強化に加えてグループ企業・資産の売却などを通じて、今年3月末に債務超過を回避できるかどうかが焦点になっている。 綱川氏は債務超過回避の見通しについて「あらゆる手段で進めていきたい」と述べた。2月14日予定の16年度第3・四半期決算の発表時に、米原発事業の損失額を発表するとしている。 *内容を追加します。 (浜田健太郎 志田義寧 編集:田中志保) http://jp.reuters.com/article/toshiba-energy-idJPKBN15B0L0?sp=true
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