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ニューヨークのエコノミッククラブで行われた講演でのトランプ氏=2016年9月15日(Photo by Getty Images)
トランポノミクスは日本を救うのか? 不況を打ち破る唯一の方法とは〈dot.〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20170118-00000224-sasahi-bus_all
dot. 1/20(金) 16:00配信
2017年1月20日、ついにドナルド・トランプがアメリカ大統領に就任する。当選前からその過激な発言やキャラクターについての論評は多かったが、気になるのは経済への影響だ。トランプ新政権の経済政策の中身や、今後の世界経済の動向についてはどのような展望がもてるのだろうか。
トランプは、まだ誰もがクリントン優勢を信じて疑っていなかった2016年9月、ニューヨークで行われた講演会で、初めて自らの経済政策構想について語っている。その時点からトランプ発言を追い、もし彼が大統領になった場合に経済領域で何が起こるのかを客観的に検討してきたのが、エコノミストの安達誠司氏である。
安達氏は『ザ・トランポノミクス 日本はアメリカ復活の波に乗れるか』(朝日新聞出版)で、トランプの経済政策構想(トランポノミクス)が現実化すれば、アメリカ経済は「大化け」すると予測している。アメリカ経済はリーマン・ショック以来の低迷を脱し、日本経済も長年苦しんできた長期停滞を打ち破るきっかけになりうるというのだ。
トランプの経済政策のポイントを大きく分けると、(1)大型減税、(2)規制緩和、(3)インフラ投資である。具体的には、(1)法人税の大幅減税、所得税の税率適用区分の簡素化と税率の大幅引き下げ、各種控除の拡充、相続税の廃止など、(2)規制緩和については、オバマ大統領が推進した「パリ協定」にともなう環境政策の停止、(3)従来老朽化が指摘されてきたインフラ(道路、橋、鉄道、港湾など)の整備拡充などがあげられている。これらに通商・貿易政策を加え、10年間で2500万人の雇用を創出、年平均で実質3.5%の成長を実現させるとしている。
安達氏は、これらの政策を、不況時に財政支出や減税を行うことで需要の拡大をもたらす「ケインズ効果」を明確に狙ったものとして大いに評価している。
現在のアメリカ経済は、リーマン・ショックという未曽有の金融危機を三度にわたる量的緩和策(QE)によって克服したものの、その後もずっと低成長が続いている状態だ。トランポノミクスが現実に実施されれば、目下の課題である「長期停滞」を抜け出し、中間層の復活もある程度見えてくるはずだ。
トランプは、その過激な言動ばかりが注目され、経済政策についても理論的な妥当性を欠くという印象をもたれることも多いが、現状に適合した合理的な政策を掲げているといえるようだ。
また、安達氏によれば、長期停滞論、FTPL(物価の財政理論)といった経済学の比較的新しい動向ともマッチしており、トランポノミクスがきっかけで、世界の経済政策についての認識が変わる可能性もあるとしている。
ただし、過度の楽観は禁物だ。
トランプ当選後、大方の予想に反してアメリカマーケットのドル高株高が進み、世界的にいわゆる「トランプラリー(上昇相場)」が続いてきた。この動きを受けて、にわかにトランプ新大統領を肯定する論者が増えた。しかし、中には誤解による評価も多いという。
よく目にするのが、トランポノミクスを「レーガノミクス(レーガン大統領の経済政策)の再来」とする指摘だ。確かに、レーガノミクスも減税と規制緩和で生産性を上昇させ、潜在成長率を押し上げようとする政策だった。
しかし、世間一般にレーガノミクスというと「規制緩和を中心としたサプライサイド(供給側)改革」というイメージがあるためか、論者の中にはその側面を重視する向きが散見される。しかし、トランポノミクスをサプライサイド改革として評価するのは間違いであると、安達氏は指摘する。
なぜなら、サプライサイド改革としてのレーガノミクスは歴史的にはほぼ失敗だったと結論づけられているからだ。アメリカのサプライサイド改革が開花するには、90年代後半のクリントン政権下の「IT(情報技術)革命」を待たねばならなかったし、冷戦構造の終焉という地政学的な偶然が重なったことが大きく作用していると考えられている。
投資家に株式を勧めたい証券会社などは、個別株式のテーマにつながりやすいサプライサイド要因をポジティブ材料にしたいのかもしれないが、これには注意が必要である。
では、そうした短期的な上昇相場を超えて、トランポノミクスが長期的な成果を出せるかどうかは何を判断材料にすればよいだろうか。
安達氏によると、そのカギは、実は中央銀行であるFRB(連邦準備制度理事会)が握っているという。マクロ経済の基本的な原理では、金融政策が「引き締め」局面のまま財政拡大を行うと、金利上昇と通貨高を招くとされている。これはせっかくの財政政策の効果を大きく削減してしまう。それを回避するには、中央銀行による国債購入と実質金利の引き下げが必要なのだ。
そこで問題になるのは、現在FRBが採用している金融引き締めの路線だ。つまり、今後FRBが「利上げ路線」を変更し、国債購入によって長期金利の上昇を抑えるような政策に転換するかどうかが、トランポノミクスの成否の見極めどころになる。安達氏は、2017年のどこかのタイミングでFRBが再金融緩和に動くときが来るのではないかと予測している。
こうしてアメリカが復活に向けて進んでいくとき、日本にはどのような影響があるだろうか。
もし今後、トランポノミクスの実行によってさらなる円安ドル高が進行した場合、アメリカは円安の是正を求めてくるかもしれない。それに対してはアメリカとの財政政策の協調を意識して、日本も財政拡張を行うことが、行き過ぎた円安ドル高を止める方策になる。
他方、前述のように、もしどこかの段階でアメリカが金融緩和に転じ、利上げ路線を放棄した場合、逆に急激な円高に転換すると推測される。このとき日本がとりうる措置として、ドル買い円売りの為替介入という手もあるが、トランプの通商・貿易政策の手前、それは難しい。
そこで、日本銀行による追加緩和しかないだろうと安達氏は予測する。つまり、今後日銀が国債購入量を減らす「テーパリング」や、マイナス金利の廃止といった選択肢をとる可能性はきわめて低いということだ。
一見すると日本がトランポノミクスに振り回されるように思われるかもしれないが、このような金融政策と財政政策の組み合わせは、実は経済学の新しい流れにも適合しているという。経済の長期停滞に陥った国がそこから脱却するためには、金融政策と財政政策を同時に緩和スタンスに変えることが重要であるとされているのだ。
これを日本経済に適用することが、アメリカにとってのドル高円安を回避するというだけでなく、日本経済をデフレから脱却させるという意味で非常に重要であると、安達氏は指摘する。日米の経済政策の協調、それがトランポノミクスの波に乗り、日本が長年苦しんできた不況を打ち破るための希望なのかもしれない。
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