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現在、日本国内の企業の内部留保は、キャッシュベースで約377兆円と報道された。
設備投資にも賃上げにも回されないキャッシュが、実に400兆円近く積みあがっている。これだけを見ると、企業が従業員の労働環境を圧迫しているととられても仕方がない。
では、翻って日本の労働環境は厳しいのか?日本経済は弱体化しているのか?も含めて、駄文をしたためてみる。
ただし、この文は表題の通り、消費税増税はすべきではないとの見地に立っている。結論ありきの文章であることをお断りしておく。
現在、日本国内の最低賃金は、民主党政権時代に比べて約3%、業種によっては10%近く上がっている。また、有効求人倍率は、都市部で1.6倍程度、地方に至っては2倍を超えるところもある。阪神淡路大震災の時も、それを遥かに凌ぐ規模の東日本大震災の時も、これで日本は終わったと言われてきた。にも拘わらず、実は日本経済はそれら自然災害の前と後とでは雲泥の差が生まれている。失業率はマクロ経済学で言えば、ほぼ完全雇用状態であり、経済学の常識として完全雇用状態を作り出した政権はその能力を果たしていると評価される。それでも尚、アベノミクスは失敗だと反リフレ派は叫びまくるのは何故だろうか?
一般に通貨危機は過度なインフレをきっかけに、諸外国の通貨と比較してその価値が下がったが故に起こるとされている。つまり、自国通貨安が極端に進めば、余った通貨が国内でだぶつくことで通貨価値が下がり、国債は暴落し、インフレが増大してしまうから、諸外国が売り逃げることで交易が出来なくなる現象だ。直近では韓国の通貨危機でIMFが助け舟を出したことがあげられる。この発端となったのが例のリーマンショックである。日本がさほどの被害を受けなかったのは、円が強かったのとプライム、サブプライム共に出資比率が低かったからだ。韓国がもろに打撃を被った背景は、対外債務をドル建てで行っていたからで、簡単に言うと韓国国債をドル建てにしていたから。要は国内経済をドルで支えていたからである。反して日本の国債は全て円建てで、しかも国内で80%以上を償還できるため、ドルの影響を受けなかったことも一因だろう。国債とはお金を貸してね、政府が保証するから、というものだが、それをドル建てで行えば当然ながらドルで返さなければならない。ところが、韓国にドルが無い。そこで、IMF管理下に置き借金を肩代わりしてあげたというわけ。しかも、失礼ながら僅か3兆円程度の金額をである。如何に、韓国経済がギリギリの綱渡りをしていたかが分かる。
さて、現在の日本はどうだろうか?
テレビで不安を煽る目的のコメンテーターは、今の日本経済はバブルではないか?と疑問を呈する。
1980年代のバブルと今の日本の状況が決定的に違うのは、好景気に沸き、不動産資産が高騰したにも拘わらず、当時の日銀は円を増やさなかった。つまり、まだ上がるだろうという市場の見込みだけが先走ったことで、不必要な株価上昇と不動産資産の高騰の結果、円が足らなくなったことで一気に価値が下がってしまった。当時の日銀は円を増やすことが一層のバブルに拍車をかけると心配していたし、政府から独立した機関で経済をコントロールするのが役目だと思われていた。また、正直に言うとグローバルな視点でのマクロ経済学的思考が欠落していたことも要因だろう。
リーマンショック後、いち早く欧州もアメリカも立て直しが出来たのは、中央銀行がアクセルをふかして通貨の流通量を増やしたからだ。日銀も世界の潮流に乗り、バランスを見極めてアクセルをふかしていれば、デフレ不況は回避できた筈だが、それをやらなかった。結果、失業率は上がり、株価は低迷、企業の保有資産は当時、信じられないほど目減りした。また、安い賃金を求めて製造業の多くが日本を逃げ出した。もともと好調な日本経済のお陰で、株価は上昇しているのに円高が進むという矛盾が生じていたのだが、当たり前で、円の価値が上がるのは流通量が少ないからに他ならない。つまり、経済のグローバリゼーションに日銀が追い付いていない結果、見るも無残な不況に陥ったのだ。当時の政府と日銀は万死に値する。小泉政権当時、それでも金融政策を打ってはみたものの、糠に釘。続く民主党政権下でも一定量の国債引き受けを行いはしたが、批判されたくない保身から、冒険はしなかった。まして、安住大臣当時、禁じ手のドルの買い入れを行ってしまった。直接的な日銀の買い入れは意味が無い。日銀が市場に介入するのは、それこそ禁じ手である。そんなことをしたら、直接、日本の資産が海外に流れてしまい、結果的にデフレに拍車をかけることになる。あろうことか、それをデフレ容認論の小幡積、浜矩子といったメディア御用学者がもてはやされ、あたかもデフレが正しいかのような論調を作り出したのだ。これまで、両者の著書の中身で予測が当たった事例は無い。これは検証すれば分かることだ。
民主党のポンコツ連中に政権を任せたことを恥じた国民は、安倍政権に日本の将来を託すことを選択した。早くから国際的な視野で日本経済に警鐘を鳴らしてきた経済学者の意見を参考にしてきた安倍総理は、デフレ脱却をぶち上げた。政権誕生のはるか前から円安は加速し、株価は一気に上昇した。特に企業経営者の多くは、デフレによる閉塞感から抜け出すことが最も重要だと気付いていたので、安倍政権応援に回ることになる。
メディアは政権批判が目的なので、何とかして安倍おろしに必死だが、実態は彼らの予測をことごとく裏切っている。何より、世界でも類例を見ないインフレターゲットの金融政策は世界中の識者が注目している。過去、このような実験を行った先進国は無いし、不可能とさえ思われていたからだ。これまで、欧米で行われてきた金融政策は、通貨危機や金融ショックへの対症療法的なものに過ぎなかった。それを、巨大な経済規模を誇る日本が他国に先駆けて、デフレ脱却の目的で始めたのだ。果たして、それをやる勇気が他の先進国にあるか?と問われれば大きな疑問だし、寧ろ、日本がこの難局を乗り切ればアメリカをも凌駕する経済規模の拡大が見込まれているのも事実である。
具体的には、現在アメリカの平均所得は年間約700万円に届く勢いである。最低賃金は時給換算でおよそ1500円程度だ。GDP規模で及ばなくとも、個人所得なら日本はそれに近づきつつある。その足かせになっているのが、企業の内部留保と言われている。
最低賃金は上昇し、失業率はバブル期を越えるほど下がり、有効求人倍率もバブル期なみである。言い換えるなら、今の日本で誰かが餓死する状態には無い。贅沢を言わなければ、つまり職種を選ばなければ、誰もが普通の生活を送ることが可能なのが、現在の日本なのだ。同時に企業の変革を迫られているのも事実で、旧泰然とした企業は淘汰される時代でもある。
一方、経済全体としてみれば、デフレ脱却にようやく舵が切られた程度の状況なので、今の段階で消費増税をしてしまうと、好景気に水を差す結果になる。財務省は財政再建には必須だと力説するが、ようやく法人税収が上向きだした程度の中で冷や水をかけることは、消費マインドの低下につながる。財務省官僚は庶民感覚が欠落しているとしか思えない。
普通はリベラルの野党が猛反発しなければいけないところ、民進党以下野党はアホばっかりなので、財務省の口車に乗せられて消費増税しないと日本は破綻するなどと、冗談とも言えない論を展開している。消費増税するくらいなら、賃金を上げた企業や設備投資をした企業の法人税を優遇するとだけ言えば、一気に内部留保は吐き出されるだろう。仮に、100兆円でも市場に放出されれば、その時点でサラリーマンの平均年収は5%程度は上がる。インフレも同時に起こるが、それは少し後の話。物価上昇の予測値は2%程度に抑えられるから、国民の財布が寂しくなる恐れは無い。
消費税を上げると脅せば、その前に消費性向が上がるというのは、一時的なものに過ぎない。その後、税収も低迷し、消費マインドも下がりかえって閉塞感が広がる結果になるだけである。
人口減少論や輸出企業が低迷するというのも、全く根拠に乏しい。人口減少論は飽くまでも予測値だし、日本経済全体で輸出が占める割合は僅か12%程度。88%は国内需要でお金が回っていることを全く理解していない。日本は内需主導の国なのだ。それもこれも、どれほど円を刷っても刷っても円安傾向にならない事実が、証明している。刷れば刷るだけ価値の高い円が買われ続ける。ここに日本経済の強靭さが表れている。
GPIF悪玉論もよく聞く話だが、年金資産を増やして困る人はいない。事実、GPIFが投資することで、国民の年金資産は100兆円近く増えている。それは日銀が国債を買い支えているからだろ?というのは間違い。円を刷り、日銀の保有資産が増えたところで、円で償還出来るのだから、財政には全く痛くもかゆくもない。しかも、GPIF資産はそのまま国民の年金となる。それに、日本政府の借金は実は物凄い勢いで目減りしている。それは借金が増える速度を資産が増えるの方が遥かに超えているから。加えて、日本政府の発行する国債は円建てで、しかも海外の市場でも買われ続けている。つまり、国債暴落論はなり得ない。もっとも日本の国債が海外で買われているのは比率的には僅か数%。しかも円建てだから外貨準備がいらない。ドル建ての資産も再び中国を超えた。人民元ではドルの買い支えは出来ない。調べてみるといいが、円建て国債の10年利回りは未だに世界で最低。これだけ日銀が買い支えているにも関わらずである。以前、私は国債発行の余力は200兆円くらいあると書いたが、ひょっとしたらもっとあるかもしれない。金利が全く上がらないのだ。しかも、円高は相変わらずである。
日本破滅論を信じている読者がいるなら、私の文章を数字で検証してみるとよい。
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