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為替フォーラム2019年2月15日 / 16:37 / 20時間前更新
中国経済の大幅減速、犯人は国有企業の「逆襲」か
Christopher Beddor
3 分で読む
[香港 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - ブームは終わった。中国経済はハードランディングにこそ見舞われていないものの、大幅に減速しており、世界中の資本市場を揺るがしている。しかし、こうした状況の回避は可能だった。
グローバル金融危機を受けた中国の景気減速は、政策の不手際が原因だった──。ピーターソン国際戦略研究所のニコラス・ラ―ディー氏は新刊「ステート・ストライクス・バック(国有企業の逆襲):中国の経済改革は終わったのか」の中でそう分析している。
中国の成長率は金融危機前の4年間に年平均12%だったが、2015年以降は7%弱に落ち込んだ。ただ、減速には避けようがない面もあった。ラ―ディー氏によると、元安や高い貯蓄率、巨額の貿易黒字で加速した成長が、より持続可能な水準に戻ったことで、減速の半分は説明がつく。
この著作の核心は「回避可能だった」残り半分を解き明かしている点にあり、その大部分が国有企業の復活だ。
ラ―ディー氏によると、企業向け融資全体に占める国有企業の比率は2011年に28%だったが16年には80%余りに上昇。一方で民間企業向けの比率は半分強からわずか11%に低下した。
要するに資源の配分ミスが起きたのだ。
国有企業のROA(総資産利益率)は民間企業に劣っており、そのギャップは金融危機以降に広がった。ラ―ディー氏の試算によると、国有企業の経営効率が民間企業並みであれば、中国の2007─15年の平均年間成長率は最大で2%ポイント押し上げられていたはずだという。
さらに事態を悪化させたのは国有企業の負債の増加で、企業の借り入れの対国内総生産(GDP)比は2009年には120%前後だったが16年には170%近くに上昇した。国有企業の復活は企業幹部の間で信頼感の低下も招き、民間投資が落ち込んだ。
ラ―ディー氏の著作には明るいメッセージも含まれている。
発展途上国では通常、先進国並みを目指す急成長がいずれ勢いを失うものだが、中国はまだその段階に近づいていない、というのだ。日本や韓国、台湾、シンガポールはいずれも、1人当たりGDPで見て今の中国と同じ発展段階を踏み、さらに成長を続けた。
ラ―ディー氏によると、仮に中国政府が改革を再開すればさらに20年間にわたり8%以上の成長を続けることが可能だという。
この著作で最も考えさせられる部分は、何が起きたかということだけでなく、その理由を解明しようと試みて今後の改革の見通しにつなげている点だ。
ラ―ディー氏に言わせれば、根本的な障害は、「国有企業は成長の足を引っ張っているかもしれないが、共産党の立場や支配を維持するのには不可欠だ」という最高指導部の考え方にある。
つまり、中国の政治システムには、大胆な改革が不可能ではないとしても、その実行を困難とするような仕組みが内包しているのではないかという問題提起だ。これは、盛んに議論の対象となっている「民主主義と富」というテーマにもつながる。
一握りの小国を除けば独裁体制国家が富裕国に仲間入りした例はない。中国はこの法則をひっくり返しそうに見えたが、やはりだめなのだろうか。
政治的な側面は、中国内で変化が到来する気配を感じとっている向きもいるだけに、大変興味深い。金融危機以降、同国のビジネス界では「国進民退(国有企業が躍進し、民間企業は退潮する)」という言葉がささやき交わされていた。ラ―ディー氏は2014年の著作「マーケッツ・オーバー・マオ」でこのテーマを取り上げ、与信獲得で国有企業が民間企業を締め出しているという主張は全く間違いだと論じていた。
しかしデータに変化が生じ、数字に基づくラ―ディー氏の主張も変わった。それ自体は悪いことではないが、ここから読み取れるのは、中国政府のブラックボックスの内部をのぞき、将来を見通そうとする場合、いかに慎重にデータを分析しても限界があるということだ。
金融危機後に「国進民退」を口にしていた人々は、国有企業への資金の流れを注目していたのかもしれないし、風向きの変化を感じ取る政治的な第六感のような、もっと微妙なものがあったのかもしれない。
いずれにせよ中国の民間セクターは、統計に表れる何年も前に国有セクターがもはや退潮しておらず、逆襲に転じたことを直感していた。
2月15日、中国経済はハードランディングには見舞われていないが大幅に減速し、今や世界中の資本市場を揺るがせている。春節を前に人影もまばらな北京の三里屯地区。4日撮影(2019年 ロイター/Thomas Peter)
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
https://jp.reuters.com/article/china-economy-review-idJPKCN1Q40O7
トップニュース2019年2月16日 / 08:48 / 3時間前更新
焦点:ほころぶ中国企業の相互債務保証、デフォルト連鎖も
Shu Zhang
2 分で読む
[シンガポール 12日 ロイター] - 中国で民間企業が債務保証し合うことで資金調達してきた仕組みがほころび始めている。これによって金融システムに存在するさまざまなリスクが浮かび上がっており、減速基調が強まる経済に新たな悪影響を及ぼしかねない事態と言える。
既に警報が鳴り響いているのは、石油精製業と重工業の一大拠点である山東省東営市だ。ロイターが裁判所の記録を確認したところでは、少なくとも民間28社が債務再編を通じて経営破綻を回避しようとしており、そうなった主な原因は保証していた他の企業の債務が焦げ付いたことだった。
28社の中には、2018年に中国の優良経営企業ベスト500に選ばれた、山東大海集団や山東金茂紡織化工集団などが含まれている。
中国の民間企業が銀行から融資を受けようとする場合、特にそれが従来型の資本集約的な産業であれば、相当な担保を差し入れるか、別の企業に保証してもらう必要が出てくる。保証を請け負う企業自体も、また違う企業から債務保証をしてもらっている公算がかなり大きい。
東営市における民間セクターの混乱は、まさにこの相互債務保証が本来持つ危険性をはっきり示している。つまりいざ1件が不良債権化すると瞬く間にデフォルト(債務不履行)が連鎖し、地域の金融システムが損なわれて新規融資の動きに支障が生じる恐れがある。
心配なのは、民間企業の相互債務保証は中国全土で普及している以上、東営市のケースが氷山の一角にすぎないのではないかという点だ。
民間企業はどうしても資金調達面で制約を受ける。なぜなら銀行は非国有セクター向け融資に消極的だからだ、と話すのは北京に拠点を置くアジア金融協力協会のYang Zaiping事務局長だ。
同氏はロイターに「民間企業の中国経済に対する貢献度と資金調達額の間にはすさまじい不均衡が存在する」と指摘。民間セクターが税金の50%を負担し、国内総生産(GDP)の60%をもたらし、都市部雇用の80%、新規雇用の90%を生み出しているのに、実行された融資の25%しか受け取っていないと説明した。
また同氏は、民間企業が債務返済のための担保を持っていないとすれば、債務保証を受けるしかなく、そうなると調達コストが2─3%ポイント切り上がると付け加えた。
<過剰融資のつけ>
山東大海集団は、昨年6月末時点で14社の26億7000万元(3億9400万ドル)に上る債務に保証を与えていた。保証総額は、純資産の48%に相当する。そして14社のうち6社は資金的ないし法的な問題を抱え、2社は裁判所から「不誠実な借り手」としてブラックリストに掲載された。
中国第2の規模を誇る勝利油田がある東営市はかつては、国内有数の富裕な都市で、2017年には山東省で1人当たり所得が最も高かった。ところが好況時に地元企業に過剰な融資が実施され、企業がもうからない分野にまで事業の手を広げた結果、与信環境の悪化や政府による債務圧縮キャンペーンが始まるととともに、融資や社債のデフォルトが続いた。
このため東営市の2つの銀行は突然、不良債権が急増してしまった。広饒農村商業銀行の場合は、不良債権の95%に保証が付けられているとはいえ、保証している企業自体が借金まみれだったり、生産を停止しているケースもあり、ほとんど役に立っていない。
そうした中で東営市当局は、債務再編を推進して何とか民間企業を破綻の淵から救い出そうとしている、とある山東省当局者は打ち明けた。
<民間向け融資に及び腰>
中国銀行保険監督管理委員会の郭樹清主席は、銀行に3年間で民間企業向けの融資資金配分比率を25%から50%に倍増させたい考えだ。しかし景気循環セクターの民間企業のデフォルトリスクが増大していることや、これらの企業が株式担保や相互債務保証といったリスクの高い調達を行っている現状から、銀行は融資に及び腰になっている。
複数のバンカーはロイターに、10年前に政府が4兆元の景気刺激策を打ち出した尻馬に乗って過剰で危険の大きい融資に動いた失敗を繰り返したくないと述べた。
ある金融関係者の話では、人民銀行(中央銀行)は昨年1月以降、銀行の預金準備率を計5回も引き下げたが、銀行は浮いた資金を融資に回さず、「いかなる犠牲を払っても」債券を購入している。
業種を見ると民間企業は製造業と不動産に集中しており、これらのセクターの不良債権比率は全業界平均よりずっと高い。さらに昨年の経済成長率が28年ぶりの低さになったことで、民間の相互債務保証が中国の金融システムに不良債権危機をもたらすのではないかと懸念される。
先の山東省当局者は「成長が鈍化して経済への圧迫が強まるとともに、金融リスクはいとも簡単に波及性を持つようになる」と警戒感を示した。
https://jp.reuters.com/article/china-guarentee-tangle-idJPKCN1Q20CV
- 骨折り損の「次の中国」探し、為替管理は悪くない−レン 大幅減の対中工作機械受注、指し示す本当の姿は何か うまき 2019/2/18 17:08:00
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