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「北の核で24万人が死亡」との試算に驚く韓国
日本と韓国の交差点
韓国政府は核武装を否定
2016年9月14日(水)
趙章恩
韓国に派遣された米爆撃機「B-1B」の同型機(U.S. Air Force/ロイター/アフロ)
北朝鮮が9月9日、5度目の核実験を行った。韓国国防部(韓国の「部」は日本の「省」)は、この核実験は過去最大の爆発力があったとの分析結果を公表した。
1月に続いて、今年2度目の実験だ。北朝鮮は2006年、2009年、2013年とおよそ3年周期で核実験を繰り返してきた。1年に2度も核実験を実施したのは今回が初めてのこと。複数の韓国メディアが、近く追加の実験を行なう可能性もあると指摘した。
北朝鮮は、韓国政府が地上配備型ミサイル迎撃システム(THAAD)を配備すると7月に決めたことに反発して、弾道ミサイルの発射を繰り返している。韓国のテレビやラジオに登場する軍事専門家らは、こう分析する。「金正恩は、事実上の核保有国としての地位を固めるには今がチャンスと思っているはず。2016年11月には米国の大統領選挙、2017年12月は韓国の大統領選挙があり、韓米の目が選挙に向いてしまう」。
韓国国防部のムン・サンギュン報道官は9月12日の定例記者会見でこう発言した。「安全保障の観点から、韓日の間で軍事情報包括保護協定(GSOMIA)を結び、北韓(編集部注:北朝鮮)の核・ミサイル脅威に関する情報を密に共有する必要がある。日本側が早期締結の必要性について言及した。我々政府と軍は『国民の理解を十分確保してから』という立場である。(協定を締結するためには)国民の理解が必要だ」。韓国と日本は現在、日米韓3国情報共有約定を結んでおり、米国を間にはさんで情報を共有している。
核武装を巡る議論が高まる
セヌリ党の議員はこの日、国会に集まり「北朝鮮の核に対抗して韓国も核武装すべきではないか」というテーマで討論を行なった。賛成派は「平和を守るために抑止力を高めるべく核武装を含む全ての手段を講じるべき」「防衛的な措置だけでは北韓の核を止められない。核配備を含む強力な対応が必要」といった意見を提示した。
一部の議員はこれに反対。「核武装するためには『核兵器の不拡散に関する条約』(NPT)から脱退しないといけない。米国や国際社会との関係から考えて、(韓国が)核武装するとの選択肢は現実的でない」「(韓国の)核武装は韓米同盟に亀裂を入れることになる。現実的に難しい」と発言した。
野党の「共に民主党」は9月12日、以下の内容を記した報道資料を発表した。「核武装論は韓半島(編集部注:朝鮮半島)をさらに大きな危険と不安に陥れるだけである。核武装論は、韓半島の緊張を抑制するのに失敗した政府が、その無能さを隠すため提示した無責任な意見だ。(韓国による)核配備は国際社会が決して容認しない。(核武装論を主張する)与党セヌリ党の言動を懸念している」。
同じく野党の「国民の党」も、「与党の核武装論は、韓半島を戦争に陥れる危険で無責任な発言である」と批判的なコメントを発表した。
「あ、またか」ではいられない
度重なる北朝鮮の挑発に慣れきったソウルの市民の中には、北朝鮮が挑発行為におよんでも、「あ、またか」と思うだけで、日頃と変わらぬ生活をする人が多い。だか、今回の核実験では動揺が広がった。
聯合ニュースやKBSをはじめとする韓国メディアは9月11日、「北核、ソウルで少なくとも24万人死亡」という見出しを打ち、シミュレーション結果を一斉に報じた。韓国国防部によると、北朝鮮が実験した核爆弾の威力はTNT爆薬10キロトン規模と推定。これがソウル市内で爆発すれば少なくとも24万人が死亡、134万人が被爆するという。ソウル市の人口は約1000万人である。
米国国防省の傘下にある国防脅威減少局(Defense Threat Reduction Agency)によると、威力が15〜20キロトン規模なら、ソウル市内だけで少なくとも62万人〜113万人が死亡、全国で約275万人が死亡するというシミュレーション結果もある。15キロトン規模の場合、爆発地点から半径150メートル内の建物は全滅、半径1.5キロ内にいる人は全身3度の火傷、半径4.5キロまでの建物は半壊、と国防脅威減少局は予想している。
シミュレーション結果を実際に見て、今回の核実験がどれだけ深刻なものなのか肌で感じることができた。北朝鮮が何をするかわからない状況になりつつあるのでなおさらである。
米爆撃機がグアムから韓国へ
公営放送のKBSはこのシミュレーション結果をもとに、次のように報じた。「『北朝鮮の核に立ち向う唯一の手段は核兵器しかない』という主張がある。「冷戦時代は『核保有国同士で戦争をするとお互いが全滅する』という恐怖が核の使用を抑制した」。
「国内(韓国)でも核武装すべきという世論が高まっている。韓国には技術があるので6カ月もあれば核武装できる」
「(韓国は)1975年にNPTに加入したが、合法的に脱退する方法がある。同条約は『非常事態により国益が危険にさらされる時は脱退する権利がある』と明記している。韓半島非核化宣言が紙くずになった今、米国などの反対があっても発想の転換が必要だ」
韓国青瓦台(大統領官邸)のキム・ギュヒョン外交安保秘書は9月11日、「韓半島に核があってはならない。核兵器のない世界を作るビジョンを韓半島からスタートさせるのが政府の公式の立場である」として、韓国政府は核武装論に否定的であることを明確にした。
ただし、「北韓が5次核実験を含む挑発を行い、国連安全保障理事会の決議に露骨に違反していることに対して、全ての外交・軍事的努力で対応する」と発言。「軍事的」という単語を初めて使用した。この「軍事的」という表現は「北朝鮮を先制攻撃するという意味なのか」と騒ぎになったが、青瓦台は「今すぐ何かの軍事的措置を取るということではなく、韓米連合防衛力の増強など多様な措置を検討するということだ」と説明した。
9月12日には駐韓米軍が、グアムにあるアンダーソン基地からB-52、B-1B、B-2戦略爆撃機を駐韓米軍オサン基地に移動し、北朝鮮に圧力をかける計画を発表した。韓国と北朝鮮の間の軍事的緊張はいっそう高まる見込みだ。
このコラムについて
日本と韓国の交差点
韓国人ジャーナリスト、研究者の趙章恩氏が、日本と韓国の文化・習慣の違い、日本人と韓国人の考え方・モノの見方の違い、を紹介する。同氏は東京大学に留学中。博士課程で「ITがビジネスや社会にどのような影響を及ぼすか」を研究している。
趙氏は中学・高校時代を日本で過ごした後、韓国で大学を卒業。再び日本に留学して研究を続けている。2つの国の共通性と差異を熟知する。このコラムでは、2つの国に住む人々がより良い関係を築いていくためのヒントを提供する。
中国に留学する韓国人学生の数が、日本に留学する学生の数を超えた。韓国の厳しい教育競争が背景にあることを、あなたはご存知だろうか?
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/215834/091300047
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