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中国と戦争はするな! 日中激突を阻止せよ 「尖閣」を解決する渾身提言
http://mainichibooks.com/sundaymainichi/column/2016/10/16/post-1166.html
サンデー毎日 2016年10月16日号
倉重篤郎 サンデー時評 番外編
緊迫する日中関係を見据え、軍事衝突を避けるために叡知を訪ねるシリーズ。今回は、「サンデー時評」倉重篤郎が、「東京―北京フォーラム」で出会った、日中の現場で尽力する2人の重要人物の渾身の提言を伝える。尖閣問題解決のための秘策とは―。(一部敬称略)
▼「尖閣共同プロジェクト」を行え!
▼中国は熟柿が落ちるのを待つ
▼「51対49」の外交解決は可能
汝(なんじ)、中国と戦争するなかれ。
日中関係の先行きを心配するのは私だけではない。
言論NPOというシンクタンクがある。この組織を2001年に立ち上げて以来、代表を務める工藤泰志氏については、サンデー時評で一回取り上げたことがある。議論の力で民主主義を強くしようと言論外交やマニフェスト評価などに精力的に取り組む異色のオルガナイザーだ。
その彼が、中国で大規模な反日デモが頻発した05年に設立した中国との民間対話テーブル「東京―北京フォーラム」が9月27、28日に都内のホテルで行われた。
毎年1回、北京、東京交互に開くこのフォーラムももう12回目を数えるという。たいしたものだ。言論界といっても日本とは異なるシステムの中国に話をつけたのもさることながら、毎回両国ともに錚々(そうそう)たる論客を多数そろえ、徹底論戦する姿をネットで公開するのだが、その経費やマンパワーはすべて寄付金とボランティアで捻出してきたのだから。
ただし、まさに継続こそ力なり。日中関係が尖閣で悪化した時は中国側から参加自粛の話も出たが、そういったものをすべて乗り越えて、会は定着した。今回も、福田康夫元首相、唐家〓中日友好協会会長がそれぞれ記念講演、中国側からは70人の大デリゲーション(代表団)が来日した。主催者のご苦労に敬意を表する意味も込め、全体会議や5分科会の議論の様子をのぞいてきた。
それにしても、パネラーたちの顔ぶれはなかなかのものである。田中均、高原明生、段躍中各氏らサンデー時評に登場願った人たちの顔もあった。サンデー時評にいずれ出てほしいと思っていた2人の方とも出会えた。ありがたや。早速、時間の合間を縫ってそれぞれ個別にインタビュー、彼らに我が問題意識をぶつけ、回答をいただいた。
その一人は、東郷和彦氏である。元外交官で現在は京都産業大教授・世界問題研究所長。終戦時に外相だった東郷茂徳は祖父。元外務省事務次官の東郷文彦は父という外交官一家。外務省ではソ連邦課長、条約局長、欧亜局長、オランダ大使を務めた。日露領土交渉の内幕を熟知、日中関係についても歴史認識問題を軸にリベラルなスタンスを持つ人物である。
その東郷氏に率直に聞いてみた。尖閣をめぐるこの緊張関係、貴兄の認識はいかに?
「尖閣をミス(誤って)マネジすると、本当にぶつかりますよ。理由が何であれ、中国側が尖閣で今のようなこと(領海侵犯)をやってくるのであれば、日本側は抑止力を強めざるを得ないし、それがどんどん膨らんでいくと、向こうの不信感も強まるし、どこかでぶつかる可能性が高くなる。だからそれを止めなければならない」
「ただし」とも言う。
「一つわからないのは、中国が本当は何を考えているのかということだ。中国政治には(太子党や共青団など)いろいろな派があり、軍があり、一方で外交(で問題を解決しようという)派がいる。その中で習近平がバランスをとり、権力闘争に勝つためにいろんなものを使っているというが、もし、中国が本気で尖閣と沖縄を取るつもりだったら、何をやっても無駄です。一戦を覚悟しなければならない」
「そうじゃなくて、中国も日本の出方を見ていて、できれば戦争したくないと思っているのであれば、私の提案を安倍晋三首相に実行してもらいたい」
そこで東郷氏は、3段階によるオリジナルな解決策を明かしてくれた。
「第一に、尖閣問題の解決についてあらゆる側面から話し合うために互いに前提条件を付けずに話し合いを始める。その目的は尖閣についての両国の平和的共存のあり方を探ることにある」
「第二に、日本が相手のメンツを立てる。彼らが今いろいろやってくる口実は12年9月の日本の尖閣国有化にある。従って、そのオーナーシップ(所有権)を変える。つまり、日本は尖閣の国内法上の所有権を国から第三者に移管する。一方で中国は向こう1年間、公船を尖閣領域に入れない」
「第三に、その1年間を活用して両国は対話をし、両国で取り組める共同プロジェクトを一つ考え、それを実施、それを先例化してより大きなプロジェクトに結び付ける」
というものだ。
この3段階論には、東郷氏の外交官としての知見、経験が詰まっている。
◇最終的には石油の共同開発
第1段階については、日中両国は「領土問題があるかないかについての神学論争から抜け出すべきだ」という考えからくるものだ。かつて、北方領土問題については旧ソ連のグロムイコ外相が「領土問題は存在しない」「従って、話をしない」という硬直的立場を取ってきたが、1986年シュワルナゼ外相の登場で「領土問題は存在しない」が、「話は聞きましょう」という柔軟路線に変更した。安倍首相はこれを見習うべきだというのである。
第2段階については、日本として何を優先するかである。それは中国が既得権益化している領海侵入をやめさせることである。これが続く限り日本は武力の恫喝(どうかつ)下で交渉を強いられる。従って、中国が好きな時に公船を送り込むようになった今の「新現状維持」状態を終わらせ、72年から2012年までの40年間続いた現状、つまり中国側は領海侵入を自粛し、日本側は「三つのNO」、すなわち上陸、建設、調査を控える、という「元現状維持」状態に戻すことが肝要だ。
双方の譲歩をある意味セットで実施すべきだ、という話である。だが、どちらが先にイニシアチブを取るか、という問題が残る。今のこの膠着(こうちやく)状態を打開するためには、中国が動く見通しのない中で日本があえて初動を取るべきだというのが東郷氏の発案である。
これこそ東郷流ではないか、と感じるものがある。
かつてこの欄で、「51対49」の解決という話を書いたことがある。国益が対立する外交交渉の最終場面で、これを決着させるためには一つのコツがある。それは互いが一歩も譲らない50対50のギリギリの対決の中で、最初に相手に1を譲ることにある。というのも、外交とは実は内交であり、51を与えることで相手をして自国向けに説明をしやすくしてあげることである。もちろん49になった側は、それを自国向けに上手に説明し、国民の納得を得るような説得力、政治力が必要になる。ただ、これこそが長い目でみると国益に最も合致する外交になる。
これは、東郷氏の祖父・茂徳氏の外交哲学だった。茂徳氏の一人娘であった和彦氏の母・いせさんが、自らの晩年に和彦氏に伝授した、という。
確かに、中国側の立場に立つと、尖閣についてはその領有権について事実上棚上げしてきた状況を「国有化」によって変更したのは日本側ともいえる。それを「元現状維持」状態に戻す(非国有化状態にする)ことが解決のカギであろう。
所有権をどこに移管するかは確かに難しい問題である。ただ、それは国民的議論をして知恵を出すことは可能だ、というのが東郷氏の考えだ。
第3段階の共同プロジェクトについてはこう言う。
「尖閣にはかつて日本の青年団体が放牧したヤギがまだいっぱい生息している。例えば、…
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