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「小池を止めろ!」自民都連のシナリオ
http://president.jp/articles/-/20361
2016.10.8 PRESIDENT Online
■豊洲の落としどころをどうする気か
小池百合子東京都知事による「小池劇場」は連日ワイドショーで取り上げられ、豊洲新市場への移転問題や2020年東京五輪パラリンピックの予算問題など国民の関心は衰えることを知らない。小池氏は不透明な決定過程を徹底した情報公開で解明し、既得権を打破する構えを見せる。小池氏から敵視される都議会自民党は現時点で静観する姿勢を見せているが、隙あらば「一本」を取り返す構えは崩していない。圧倒的な世論の支持を背景に、小池氏は都政の「ブラックボックス」を白日の下にさらすことができるのか、それとも都議会自民党に「小池打倒」の秘策はあるのか。緊迫感が漂う小池劇場の今を追った。
「豊洲の落としどころをどうする気なんだろうね」
政府高官や自民党幹部が最近、口癖のように漏らすのは築地市場の豊洲新市場への移転延期問題だ。当初は小池氏によるパフォーマンスで移転延期が発表されたと見る向きもあったが、市場の建物下には土壌汚染対策として都がこれまで説明してきた盛り土が実施されていなかったことが発覚。安全性の問題に加え、新市場の落札率が99%と談合の疑いも指摘される事態となった。検証作業を終えれば移転が再度進められる見通しとされたが、数々の問題発覚で移転中止を求める声も大きくなってきている。
小池氏は専門家による調査チームを設置し、安全性の確認や問題が生じた過程の検証などを進め、談合疑惑も解明する考え。不正が見つかれば刑事事件に発展する可能性も指摘される。官邸や自民党幹部が懸念するのは、新市場への移転が中止すれば、東京五輪パラリンピック開催に悪影響が生じると見ているためだ。小池氏に近い人物には、複数ルートから「豊洲問題はほどほどにした方が良い。それが小池氏のためでもある」と脅しとも取れるメッセージが送られている。
「右手を差し出していながら、左手はまだ拳を握っている」
小池氏周辺がこう評するのは、自民党東京都連の新役員人事だ。都知事選大惨敗の責任をとって都連会長を辞任した石原伸晃経済再生担当相の後任には、安倍晋三首相の側近である下村博文元文部科学相が就任。「都議会のドン」と名指しされた内田茂都連幹事長の後継は、内田氏に近い高島直樹都議が就いた。自民党は都知事選直後に安倍首相や二階俊博幹事長が小池氏と会談し、和解ムードを演出したが、今回の都連人事は「いつでも攻撃は仕掛けられる。とにかく小池を止めろ」(党ベテラン議員)との見方が大勢となっている。
■「小池都知事VS自民都連」バトルのゆくえ
敵対してきた首相官邸や都連の幹部は表だって小池氏批判は避けているものの、小池氏に近い都議や区議には厳しい姿勢で臨んでいる。党の方針に従わず小池氏を都知事選で応援した若狭勝衆院議員には二階幹事長の厳重注意で済ませたものの、小池氏の地元の区議7人には離党勧告処分を決定。発信力がある若狭氏は党内に囲む一方、都連が知事選で見せた「締め付け」は決して緩めず、小池氏の周辺をじわりと剥いでいく作戦を展開している。
下村氏は是々非々で小池都政に向き合う姿勢を示しているが、ある都議の1人は「人気が高いままの小池知事と戦っても勝てるわけがない。死んだふりで様子をしばらく見るしかない」と語る。都議の中には地元の支援者から「小池氏をいじめるな」と突き上げをくらうケースもある。内田、高島両氏に近いと見られることはマイナスとの計算も働いており、奇妙な沈黙につながっているようだ。
小池氏は、高い世論の支持を背景に「都政の闇」を明らかにしていく優位な戦いを進めているが、都知事打倒へ主戦論を唱える幹部からは不気味な声も漏れる。
「豊洲に始まり、豊洲に終わる。五輪には触らせない」
豊洲新市場への移転延期で生じた費用や補償などを都議会で承認せず、小池氏を一気に立ち往生させるシナリオを描いているのだ。追い詰められる都議会自民党は一発逆転を果たすのか、小池氏が利権解体を進めるのか。ワクワク、ドキドキの都政が続いている。
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