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蓮舫国籍問題を考える 多様性を認めない社会に嫌な予兆
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/189721
2016年9月12日 日刊ゲンダイ 文字お越し
国籍問題で袋叩きに(C)日刊ゲンダイ
民進党の代表選に出馬している蓮舫参院議員の「二重国籍」疑惑に対し、産経など一部の保守系メディアの異常な“蓮舫叩き”が続いている。
問題の経緯をあらためて振り返ると、蓮舫は1967年11月、台湾人の父と日本人の母との間に生まれた。出生地は東京だ。当時の日本の国籍法では、父親が日本人の場合のみ日本国籍が与えられ、蓮舫は日本国籍を取得できなかった。しかし、85年の改正国籍法で、父と母のどちらかが日本人であれば、日本国籍も付与されることになり、蓮舫は日本国籍を取得した。何も違法に日本国籍を取得したわけではない。日本の国内法にのっとり、適宜適切に対応してきた。話はたったこれだけなのだが、保守系メディアやネット系の“蓮舫叩き”はエスカレートする一方だ。
〈支那に帰れ!日本人の振りして図々しいチャイナ女〉
〈なりすましエセ日本人め。日本から出ていけ〉
とりわけ、ネトウヨの書き込みは、もはや、在日外国人の排除を扇動するヘイトスピーチと同じレベルと言っていい。
「(日本)国籍をきちんと得ているにもかかわらず、リーダーになれないということは、多様な価値観を認めるという党が目指す方向と全く異なる」
岡田克也代表は8日の会見で、一連のバッシング報道をこう批判していたが、まっとうな見方だろう。海外を見れば、フランスのバルス首相はスペイン人とのハーフで20歳の時に帰化しているし、やはりフランスのペルラン前文化相は韓国の路上の捨て子から大臣に上り詰めた人物である。
蓮舫だって04年の参院選初当選から12年間も国会議員を務め、菅、野田内閣では行政刷新担当相にも就いた。この間、中国や台湾との関係で疑念を抱かれたことはない。
それなのにネトウヨは〈日本国籍を剥奪してスパイ罪で殺処分しろ〉〈国外に追放するか、逮捕しろ〉などと言いたい放題。ま、ネットの書き込みにいちいち反応する気はないが、それにしたってムチャクチャだ。
■「二重国籍」は口実で「純血日本人」を訴えたいだけ
怖いのは、保守系メディアやネトウヨの言動の裏に「二重国籍」を口実にしたレイシズムの匂いが感じ取れることだ。純血日本人がエラくて、中国、韓国人への蔑視である。
法大の山口二郎教授も11日の東京新聞で、〈なんとも陰鬱な気分である。蓮舫氏は日本で生まれ育ち、日本国籍を取得し、以来日本人として公職で活動してきた。いまこんな差別がぶり返すのは、日本社会の劣化の表れである。騒ぎ立てる人たちは、外国にもルーツがあることを問題にしているのか。民族の純血を追求するというのであれば、まさにナチスの発想である〉と断じていたが、その通りだろう。
評論家の佐高信氏は「日本という枠組みの中でしか物事を考えられない『ヤドカリ』のような連中が蓮舫議員を批判している」と言い、こう続ける。
「第2次大戦前、日本は大東亜共栄圏を掲げて東アジアや東南アジアに進出していったが、あの誤った政策判断の時でさえも(日本や朝鮮人などが協調する)『五族協和』を唱えていました。しかし、今は多様性を全く認めず、日本人だけが優れている、などという狭い考えに凝り固まった人たちが増えている。実に嘆かわしい風潮です」
安倍政権発足来、中国や韓国などとの関係は冷え込むばかり。蓮舫は北京大に留学し、中国人の知り合いも多いという。ならば、そのパイプを生かせばいい。新しい日本の対アジア外交が開けるというものだ。その方がよっぽど国益になる。
そういう声が出てきてもいいのに、「スパイ」「売国奴」なんて声ばかりだから狂っている。
今の風潮は不安でたまらない(C)日刊ゲンダイ
今の日本社会は誰かを「排除の標的」にしないと不安になる
〈日本社会が根底から劣化しつつあるのではないか〉――。今の日本社会について、前出の山口法大教授とほぼ同じ感想を漏らしていたのが、専大名誉教授の正村公宏氏だ。知的障害の息子を持つ正村名誉教授は、7月に神奈川・相模原市の障害者福祉施設「津久井やまゆり園」で起きた19人刺殺事件を受け、およそ1カ月前の8月13日付の朝日新聞で、弱者を切り離す日本の社会保障制度や福祉政策の現状、問題点を厳しく指摘しながらこう締めくくっていた。
くしくも「津久井やまゆり園」事件でクローズアップされたのも、殺人容疑で逮捕された植松聖容疑者の「障害者なんていなくなればいい」という差別発言だった。やはり、今回と同じくナチスの「優生思想」につながる考えなのだが、蓮舫の「二重国籍」疑惑問題と同様、事件直後、ネットでは肯定的な意見や差別を助長する書き込みであふれていた。一体この国はどうなってしまったのか。政治評論家の森田実氏はこう言う。
「今の日本は貧困、格差社会が急速に進んでいる。そういった社会では、誰かを“排除する標的”にしないと自分の優位性を保つことができない。不安でたまらないのです。選民思想のような極論が跋扈するのも不安の裏返しでしょう。中国や韓国など他のアジア諸国や、社会的弱者を蔑視する風潮もその延長線上にある。しかし、日本人だけが優れている、などと時代錯誤の声が広がれば、世界から奇異の目で見られるだけでしょう」
こういうところも戦前のドイツとダブってくる。
■安倍政権は「選民思想」を容認するのか
「中国は東シナ海で挑発的な軍事行動を展開している」「北朝鮮は核ミサイルを準備している」「今こそ日本人は強い団結が必要だ」……。中国や北朝鮮の脅威を煽り、「純血主義」を訴える考え方は、「国体護持」を掲げ、日本を神話化している日本会議の主張とも通じてくる。恐ろしいのは、保守系メディアやネトウヨのこうした暴論に同調する国会議員が少なくないことだ。「日本維新の会」の馬場伸幸幹事長は早速、国会議員や国家公務員らの「二重国籍」を禁じる法案を今秋の臨時国会に提出する考えを明らかにしたが、根底にあるのはグローバル化に逆行する純血主義だろう。
雑誌「世界」(岩波書店・10月号)で、神保太郎氏は「津久井やまゆり園事件」を取り上げ、ナチスの「優生思想」との同質性に触れつつ、問題の“本質”をこう書いた。
〈当時のドイツ社会に蔓延していた捉えどころのない社会不安、民衆の相互不信がまず先にあり、そこにヒトラーがつけ込み、秩序の回復、安全の実現の方策としてそうした(優生思想の)政策を持ち込み、国民に協力させた点こそ、重く見るべきだろう〉
今の日本でも、過激化する蓮舫の「二重国籍」報道に対して、政府・与党から「多様性を否定している」「差別思想ではないか」といった疑義を唱える声は全くない。実にイヤな感じである。
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