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総額2兆円超!? 東京五輪の予算が膨らみ続けるカラクリを明かす これが役人のやり方か…!
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49668
2016.9.8 伊藤 博敏 ジャーナリスト 現代ビジネス
■「ソチは5兆円かかった」と言われても…
「(2014年冬季五輪の)ソチには5兆円かかっている。五輪は大変なおカネがかかると、あえて申し上げたい」
2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長は、2015年7月22日、都内の日本記者クラブで開かれた記者会見でこう述べた。
「5兆円」を出したのは、この日、東京オリンピックにかかる経費が、「最終的に2兆円を超すことになるかもしれない」と、初めて五輪予算の急騰を明らかにした森氏が、驚きを“中和”させるためだった。
それにしても五輪招致当時の見積もり額との落差は、あまりに大きかった。大会の経費は、施設関連費として、新国立競技場約1,300億円、新設10施設約1,538億円、仮設11施設約723億円で総額約3,561億円。これに諸経費を加えて約7,340億円と見積もられていた。
それが約3倍に跳ね上がるというのだが、それから1年以上経った今も、森・組織委は、五輪総費用を正式には明らかにしていない。8月に国際オリンピック委員会総会で野球・ソフトボールなど5競技18種目が追加されたこともあり、在任中、舛添要一前都知事が口にした「3兆円かかるかもしれない」という言葉が現実味を帯びてきた。
予算が3倍、4倍と跳ね上がるなど、民間企業では許されることではない。担当者と責任者は、確実に責任を取らされ、事業そのものが中止の事態となる。
役所仕事だから出来ることで、小池百合子都知事は「都政改革」の最重要課題に五輪費用のチェックをあげ、「都政改革本部」において、調査チームを立ち上げ、「見えないところで、どのように費用が高騰したのかを徹底的に調べる」と宣言した。
森・組織委会長は、組織委が立ち上がる前の招致委に問題があったとして、「オリンピックの立候補ファイルは、あげればきりがないくらい問題だらけ」と、語っている。
確かに、ズサンな五輪計画だった。その象徴は、国が負担する新国立競技場の約1,300億円(ザハ案の2,650億円を設計変更で1,550億円に)だが、都が負担する恒久10施設は約1,538億円が約3倍の約4,584億円に膨らむ見通しとなったことから、3施設を取りやめて約2,000億円を圧縮。組織委負担の仮説施設は、約723億円が4倍以上の約3,000億円に膨らんだ。
■「小さく産んで大きく育てる」
招致委の「欠陥見積もり」であるのは疑いないが、招致委だけの問題でないのは森会長も理解していよう。
小さく産んで大きく育てる――。
日本の役所が、ビックプロジェクトを手がける時の“決まり事”である。
最初から大きく予算を組んでいたのでは「無駄遣い」と批判を浴び、事業がスタートしない。そこで小さく予算化。事業が始まれば、修正、見直し、追加で予算を膨らませ、当初の構想に近づける。
この「役所の知恵」は、政治家にとっても都合がいい。後援者や支援企業からさまざまな形で陳情を受け付けるのが政治家の仕事だが、当初予算での仕事は、ガッチリとした利権構造のなか、大物政治家が仕切っているので参入しにくい。だが、修正、追加、設計変更などは、チェックが行き届かず、役所に無理をいいやすい。
「役所の知恵」は、随所に発揮される。上田令子都議が、自身のブログで、仮設施設を担当する組織委が、都に負担を押し付けた事例を紹介している。
平成28年度東京都予算特別委員会の最終日の前日、締めくくり総括質疑のなかで、組織委が負担することになっている仮設会場「有明体操競技場」が、組織委ではなく都の負担になっていることが判明したという。
〈 大会後は都が引き取り、中小企業振興の一環として展示場とし、4億8,000万円を負担することが判明した。国民やマスコミが注目しやすい、オリンピック・パラリンピック予算ではなく、産業労働局予算『国際展示場の運営費等』約200億円のなかにもぐりこませていたのだ 〉
この類は枚挙にいとまない。巨額工費に批判が集まった「海の森競技場」では、コースをまたぐ橋の整備費を別事業として除外。東京ビッグサイトに設営されるプレスセンター関連施設は、五輪施設整備の枠から外すことで経費を削減した。
自分の懐は傷まないから自由に予算を増額し、批判があれば削減するか付け替える。招致委を批判した森・組織委会長だが、その発想は森氏にも染み付いている。
「国がたった2,500億円を出せなかったのかね。何を基準に高いというんだね」
新国立競技場のザハ案変更を受けての森発言を振り返っても、国民感情とのズレは大きい。
小池都知事の右腕の若狭勝代議士が、「高額家賃に背任の疑い」とまでいった虎ノ門ヒルズ森タワーに月4,300万円のオフィスを構えている問題もそうだろう。(都庁のある)新宿ではないのは、近距離の森ビル系列に森会長が個人事務所を構えていることと関係するのではないか。
ゼネコンを始めとする業界が、ビッグプロジェクトを望むのはいうまでもない。そもそも東京五輪も含めて、都内の再開発は玉突きで整備される。
小池都知事が「改革の第1弾」とした「豊洲移転延期」は、老朽化した築地を臨海部に移転させ、銀座から徒歩圏内の築地を再開発しようという業界の要望から生まれた。
そのために豊洲に約37ヘクタールを持つ東京ガス跡地が選ばれた。土壌は高度に汚染され、生鮮物を扱う中央卸売市場の移転地に適さないのは百も承知。だが、土壌改良工事は新たな仕事につながるし、何より業界は「移転ありき」で動き出していた。
豊洲移転と並行する形で2016年東京五輪招致が持ち上がると、築地は高層のメディアセンターになるという青写真が引かれ、「オリンピック閉幕後はNHKが移転する」と、石原慎太郎元知事は明言。それは、NHKのある渋谷・代々木・神宮外苑を含む一大再開発事業計画へとつながっていた。
政界と業界は、常に事業を先取りし、それに官僚が応え、小さく産んで大きく育てるのが日本のビッグビジネスであり、それを利権構造と呼ぶ。
7,340億円が2兆円以上に膨張する東京オリンピックは、利権の解明を通じた都政改革に相応しく、都民の期待も高い。ただ、それだけに、小池都知事のメスにためらいが見えるようだと、落胆は大きく、厳しい批判は避けられない。
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