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安倍政権が国会への提出を検討している「共謀罪」が通れば、盗聴なども合法になる可能性が…(※イメージ)
室井佑月 “共謀罪”に「不安でならない」〈週刊朝日〉
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160907-00000162-sasahi-pol
週刊朝日 2016年9月16日号
作家の室井佑月氏は、安倍政権が国会への提出を検討している「共謀罪」について持論を展開する。
* * *
ここ数年、ずっとメディア批判を書いてきた。大事なニュースを深掘りせず、どうしても取り上げなきゃならないときは、個人の弱い人間に意見を言わせる。それじゃ、国民が知るべき問題は伝わらない。
そんな暗い状況の中で、自分にできることもあると思い頑張ってきたが、もう無理なのかもしれない。
ほんとうに真面目に怖いからである。
8月27日付東京新聞の1面に、「共謀罪を『テロ準備罪』 名称変え 秋の国会提出検討 東京五輪対策を強調」という見出しの記事が載っていた。
名前を変えたところで、共謀罪は共謀罪だ。福島第一原発事故で出た汚泥を、スラッジと言い換えても、それが汚染された泥だったように。
共謀罪はこれまで3度も廃案になった。共謀罪が通れば、盗聴なども合法になる可能性があるし、お互いに監視し合うような、今以上に窮屈な世の中になるだろう。
もちろん、政府は犯罪性がある事柄だけを摘発してゆくというだろうが、その可能性があるとして、政府に楯突く組織や、自分たちに従わない個人の摘発をはじめるかもしれない。
東京新聞の解説に書かれてあった。
<共謀罪の本質はテロ対策に名を借りて「心の中で思ったこと」を処罰することにつながる恐れがあるということだ>
あたしもその通りだと思う。たとえば戦争中、「戦争反対!」とみんな心で思っていても、みんな口に出せなかった。この法案が通れば、同調圧力の効いた、そういう世の中に戻るかもしれないってことだ。
だから、こんな恐ろしい法案を許してはいけないんだろうけど、東京新聞の解説に、政府高官の言葉として、
「共謀罪と聞くと身構えるが、テロ犯罪防止と聞くと『なるほど』と思う」
という指摘も書かれてあって、あたしは深いため息をついた。
だよね、そうなるよね。きっと、「円滑に東京オリンピックを行うために」などといわれれば、「じゃ、必要だ」と考える人が出てくる。
「この法案の負の側面も考えないと」などといったものならば、「非国民!」などと責められたりするんだろう。この国は、東京オリンピックだけが希望みたいになっているからさ。
東京オリンピックの後もこの国はつづいていくわけで、それはおかしい話だ。だけど、大手メディアもそれに乗っかっている。
またまた個人に意見をいわせようとするのかもしれないが、共謀罪を通そうという世の中で、誰が声をあげるのさ?
これまで味方してくれてた人が、そうしてくれなくなるかもしれないし、えげつない誹謗中傷に対し、カウンターをかけて守ってくれていた人たちも、身構えるだろうし。
この先、取り返しがつかない事態になっていきそう。不安でならない。
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