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「共謀罪」法案は不可欠だと社説で説いた読売新聞には驚いたー(天木直人氏)
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30th Aug 2016 市村 悦延 · @hellotomhanks
ナベツネは健在なのだろうか。
そう思わせるほど、最近の読売新聞の社説はおかしくなった。
きょう8月31日の社説もそのひとつだ。
何と、「共謀罪」法案はテロの未然防止に不可欠だと書いた。
これには驚いた。
過去三度も廃案になった天下の悪法である共謀罪を、
安倍政権は9月から始まる臨時国会で通そうとしている。
それを、メディアの代表格を自認する読売新聞が堂々と容認し、安倍暴政を援護射撃しているのだ。
いくらナベツネが安倍首相びいきだといっても、歯止めをかけなければいけない時は反対していた。
ところが、いまの読売は完全に安倍政権のお先棒担ぎになってしまっている。
共謀罪は今度こそ強行成立させられるだろう。
私がそう思うのにはいくつかの理由がある。
ひとつは何といっても野党の弱体化だ。
その中でも民進党の体たらくだ。
本来なら一刻も早く国会召集を迫り、安倍政権の行き詰まりについて徹底追及すべきところを、
犬も食わない代表選挙のために国会開始を9月下旬に遅らせる借りをつくった。
こんな野党第一党ではとてもまともな国会審議など出来ない。
ふたつは、テロ対策のためには民主主義を制限する事が当たり前のような風潮が世界を覆っていることだ。
非民主国家ならいざ知らず、
民主主義を売り物にしてきた西側主要国が軒並みテロ対策で基本的人権を制限し始めた。
米国はいうまでもない。
フランスは今でも非常事態宣言を撤回できないでいる。
そこへ、ドイツのメルケル首相までも、
対テロ戦争に備えて国民に臨戦態勢に入るように呼びかけ始めた(8月28日東京新聞「木村太郎の国際通信」)。
三つ目には、なんといっても東京五輪の成功だ。
東京五輪の最大の課題は金メダルをたくさん取る事ではない。
無事に終えることだ。
なにしろ世界中から人が集まる。
二週間以上の長丁場だ。
東京五輪を無事に終える為に警備に万全を尽くす事に反対する国民はいない。
そして何といっても今回の提案は4度目であるということだ。
三度目の正直を通り越して四度目に提案して、それでも成立させられなけば、安倍首相の面子丸つぶれだ。
そうなれば安倍政権そのものが揺らぐ。
安倍首相は今度の臨時国会で共謀罪を強行成立するだろう。
読売新聞の今日の社説はそれを教えているのだ。
しかし、こんな悪法は成立させてはいけない。
野党は何としてでも阻止しなくてはいけない。
野党の正念場である。
◇
「共謀罪」法案 テロの未然防止に不可欠だ
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20160830-OYT1T50127.html
2016年08月31日 06時03分 読売新聞社説
世界中でテロの脅威が増大している。日本も抑止につながる対策を講じることが欠かせない。
政府が、組織的な重大犯罪を計画した段階で処罰できる組織犯罪処罰法改正案をまとめた。9月の臨時国会に提出する方向で検討している。
過去に3度廃案となった「共謀罪」創設に関する法案を基に、適用対象を絞り込み、新たな構成要件を加えたのが改正案だ。共謀罪の名称は、「テロ等組織犯罪準備罪」に変更する。
2020年に東京五輪の開催を控える。テロ組織の犯罪を未然に防ぐために、必要な法整備を進めることは重要である。
共謀罪を巡っては、「労働組合や市民団体まで対象になる」「居酒屋で上司を殴ろうと意気投合しただけで罰せられる」といった批判があった。対象となる団体の定義や、どんな場合が共謀になるかが不明確だったことが要因だ。
改正案では、適用対象を単なる団体ではなく、組織的な犯罪集団に限定した。構成要件についても、犯行の合意だけでは足りず、化学テロに使う薬品を購入するなど、計画した犯罪の具体的な準備行為が必要になる。
国民の懸念を払拭するためにも、捜査当局の恣意しい的な解釈で適用範囲が広がることがないような仕組みにしなければならない。
共謀罪の創設が議論されたきっかけは、00年の国連総会で、テロやマフィアなどの組織犯罪撲滅を目指す「国際組織犯罪防止条約」が採択されたことだ。条約は犯罪防止に効果的な共謀罪を設けるよう、参加国に義務づけた。
これまでに187か国・地域が条約を締結したが、日本は未締結だ。現状のままだと、テロ集団などに対する国際包囲網に加わらない弱みにつけ込まれ、日本が狙われる可能性は否定できまい。
国境を超えたテロや麻薬密売、人身売買は後を絶たない。法整備によって、国際連携の枠組みに参加し、要注意人物などに関する情報の交換を緊密にできるようになる意義は大きい。
テロの封じ込めには、端緒の迅速な察知も求められる。
5月に成立した改正通信傍受法により、傍受時の通信事業者の立ち会いが不要になった。
ただ、日本では、特定の犯罪捜査を目的に、裁判所の令状に基づいて実施する「司法傍受」のみが認められている。
欧州ではテロに関する情報収集としての「行政傍受」も行われている。この導入も検討課題だ。
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