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「1億総活躍」「働き方改革」 加藤勝信はペテン担当大臣
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2016年8月31日 日刊ゲンダイ 文字お越し
労働者の味方ではない(写真は加藤勝信・1億総活躍相)/(C)日刊ゲンダイ
安倍政権が新たな“目玉”に掲げた「働き方改革」への動きが加速している。
日曜(28日)のNHK番組で、担当大臣の加藤勝信・1億総活躍相が、残業時間の上限規制導入を検討する考えを示した。30日の日経新聞では、自民党の宮沢洋一税制調査会長がインタビューに答え、「働き方改革」の一環で配偶者控除の見直しを検討すると表明した。政府が9月にも「働き方改革実現会議」を発足させるのに合わせ、自民党も党内に特命委員会を設置するというし、厚労省は大規模な組織再編に乗り出す。
しきりに喧伝されるテーマは「長時間労働の是正」と「同一労働同一賃金」だ。サービス残業や低賃金に嘆くサラリーマンには朗報に聞こえる。高齢者や女性の就労促進、非正規社員の待遇改善なども謳われているから、“労働者のため”の改革なのだろうと思いたいが、本当か?
経済評論家の荻原博子氏は懐疑的だ。
「『労働者のため』というのは安倍政権の人気取りのリップサービスでしょう。恒久的に派遣社員にしてしまう制度や残業代ゼロ法案などを進めてきた政権ですからね。女性たちは『政府になんか言われなくたって、働けるものなら働きたい』と怒っていますよ。子どもの教育など将来を考えれば、お父さんひとりの稼ぎでは生活が苦しいのが実情です。しかし、小さい子は保育園に預けないと働けないし、要介護1や2の親の面倒を見ていれば働きに出られない。女性を取り巻く環境を改善することなく、配偶者控除をやめれば女性の社会進出が進むという考え方は、短絡的過ぎます」
■残業代ゼロ法案の撤回が先だ!
確かに、その通りだ。安倍政権がこれまで進めてきた労働改革は、大企業の利益優先の“労働者イジメ”ばかりだった。
昨年の通常国会では、「生涯派遣社員」をつくるような法改悪を行った。残業代ゼロ制度である「高度プロフェッショナル制度」や「裁量労働制」の対象拡大を盛り込んだ労基法の改正法案も昨年、国会に提出している。安保法案成立が優先されたため、審議されないまま棚上げ状態だが、まだ法案は生きている。
さらには、会社側がカネさえ払えばすぐクビにできる「金銭解雇法案」もいまだくすぶっていて、企業側は早期の導入を期待している。これらは、長時間労働の是正や働きやすい環境で就労促進といった、聞き心地の良い話とは明らかに矛盾する。
毎日新聞(28日)が社説で〈「非正規社員の待遇改善」と「企業の競争力強化」のどちらを政府は優先するのか〉と書いていた。バブル崩壊以降、企業は終身雇用をやめ、正社員を非正規化し、人件費を削減することによって利益を何とか維持してきた。そんな中で、経営者と労働者の双方が喜ぶ政策なんて簡単に見つかるわけがない。
労働問題に詳しい政治学者の五十嵐仁氏はこう言う。
「安倍政権は、トリクルダウン理論で、企業が儲かれば労働者にもおこぼれが来ると言ってきましたが、3年経ってもうまくいかない。それで軌道修正が必要になったという側面はあると思います。しかし、長時間労働を是正したいなら、その前に『残業代ゼロ法案』を撤回するのが先です。同一労働同一賃金にするなら、まずは非正規社員の正規化を進めるべきです。今のままで同一労働同一賃金にしたら、賃金の安い非正規の方に合わせられかねません」
女性活躍→1億総活躍→働き方改革とネーミングが変わっても、安倍政権がやっていることは同じだ。成長戦略と税収アップのために「国民を活躍させる」のが目的。労働者の味方なんかじゃない。安倍側近の加藤に怪しい肩書きをたくさんつけて、さながらペテン担当大臣である。
「大企業」優先が本音(右は榊原経団連会長)/(C)日刊ゲンダイ
労働者のためならば、まずは「格差是正」に取り組め
そもそも安倍首相が目指すのは「世界の中心で輝く日本」だ。「高度経済成長を再び」とばかりに、企業の収益改善に躍起になってきた。異次元緩和の円安・株高政策しかり、法人税減税しかり。
つまり安倍の視線は、大企業や富裕層にしか向いていないのだが、考えてみれば小泉純一郎以降、自民党政権は新自由主義の規制改革路線で、大企業優遇、労働者イジメを続けてきた。「規制改革会議」なんて財界の代弁機関だったし、「働き方改革」という言葉は実際、第1次安倍政権でも使われている。あれから10年経って、労働者の待遇は改善されるどころか、悪化したじゃないか。
27日に内閣府が公表した「国民生活に関する世論調査」が興味深い。新聞テレビは、現在の所得・収入に「満足」「まあ満足」と答えた人が48・1%となり、2年連続で改善したことを見出しにしていた。だが、よくよく見ると、その一方で現在の収入に「やや不満」「不満」は49・6%に達し、満足していない人の方が依然多いのだ。これは社会の分断化や格差拡大の結果といえるのではないか。
「働き方改革」というなら、真っ先に取り組むべきは、格差解消であり、非正規社員を減らすことだろう。不安定な雇用のため、将来設計が立てられず、結婚や子供をあきらめる若い世代がいかに多いことか。
前出の荻原博子氏もこう言う。
「成長、成長と言いますが、そのためにはむしろ格差是正を急ぐべきです。国が負担する教育費のGDPに占める割合は、OECDに加盟する34カ国中、日本は最下位の34番目です。子供1人を大学に行かせようと思えば、国立大学ですら授業料が500万円もかかる。だから、貧困家庭の子供は教育を受けさせてもらえず、それが貧困の連鎖を生んでいる。これが日本の現実です。非正規を増やし、法人税を下げ、『1%の金持ちと99%の貧乏人』をつくる政策ばかりやっている安倍政権が、『労働者のための改革』を装う。偽善としか言いようがありません」
■経団連ベッタリでは限界
GDPが伸びず、統計材料の入れ替えまでして数字のお化粧を施すような国で、企業も正社員も非正規もみな「いい思い」をすることなどあり得ないのだ。
庶民にはアベノミクスの恩恵など届かないことがハッキリし、米国のサンダース現象や英国のEU離脱のような反グローバリズムが日本にも広がる可能性が出てきた。それで、政府は「労働者のみなさんのことも考えていますよ」というポーズを取らざるを得なくなっただけで、本気で労働者のことを親身に考えているわけじゃないのである。
「自民党政権は歴代、労働の規制緩和で労働者の権利を奪ってきました。しかし、規制緩和だけでは企業の生産性は高まらず、政策を手直しせざるを得ない事態に追い込まれた。ですが、『労働者のため』と言っても、経団連ベッタリの安倍政権では限界がある。高齢者や女性を労働力として戦力にするという考え方だって、資本側の要求に沿ったものです。安倍政権では根本的な問題を解決することはできないでしょう」(五十嵐仁氏=前出)
それなのに……。週末26〜28日に行われた日経とテレ東の世論調査では、内閣支持率が2年ぶりに60%台を回復した。“安倍マリオ”の閉会式が盛り上がった結果だと分析されているから、日本国民はどこまでお人よしなのか。
「働き方改革」は来年3月にまとまる方向。あれよあれよという間に残業代が消え、会社の都合でクビ切りが当たり前の暗黒世界になってしまいかねない。同じ被害者を何度も騙すのが詐欺師の常套手段だ。「働き方改革」も、まさにその手口とみていた方がいい。
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