http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/569.html
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転載する記事は、NHK解説委員のなかなか優れた論考だと思う。
"同一労働・同一賃金"という考えは、なにげに聴けば平等主義的でよさげに思えるものだが、Aを梱包をする仕事はいくら、Bの機械を操作する仕事はいくらと働く人を機能で待遇する制度でしかない。
Aの梱包が自動化されればその仕事をしているひとは不要になり、Bの機械が他のものに置き換えられればその機械を扱っているひとは不要になる。
毀誉褒貶はあるが、日本の経済成長を支えてきた一つの源泉は、特定の仕事をする人として採用されるのではなく、従業員として様々な仕事をする可能性がある人として採用され、そのような観点から従業員のトレーニングが行われてきたことで培われた活動力の強さである。
ケースは少ないが、工場の作業員として採用された人が経営幹部になることもあるが、欧米的"同一労働・同一賃金"で採用されると、スピンアウトして起業に動かない限りそういうことはありえない。
民進党のみならず共産党までが"同一労働・同一賃金"を良きものとして歓迎しているが、今の日本で必要なのは、正規従業員の労働条件が切り下げられることで実現される可能性もある"同一労働・同一賃金"ではなく、利益を上げ続けているグローバル企業を先頭に、非正規の正規化・賃金アップなど労働条件を改善することである。
そして、消費税(付加価値税)は、直接雇用労働者の賃金に充当する荒利には税が課される一方、派遣でやってくる労働者の賃金相当部分(派遣会社への支払い)に充当する荒利は経費と見なされ逆に消費税が控除されるという“いびつな”制度であり、非正規の中でも大きな問題となっている派遣労働者の増大に拍車をかけている。
派遣労働者の問題は、消費税制度をやめることで改善に向かう基礎的条件が整う。
※参照投稿
「首相、「同一労働同一賃金」実現へ法改正検討:「同一労働同一賃金」は労働者の“歯車化”、非正規の縮小や待遇改善を」
http://www.asyura2.com/16/hasan105/msg/326.html
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2016年07月07日 (木) [NHK総合]
「"同一労働・同一賃金"が問うもの」(時論公論)
竹田 忠 解説委員
参議院選挙の争点を考えるシリーズ、今回は、雇用や働き方改革の中心的なテーマとしてほとんどの政党が公約で取り上げている、「同一労働・同一賃金」を考えます。
この、同一労働・同一賃金。
文字通り、正社員であろうと、非正社員であろうと、「同一労働」〜同じ仕事をしているのなら、「同一賃金」〜賃金も同じであるべき、という大変わかりやすい、賃金決定のルールです。
特にヨーロッパなどでは、このルールが原則ですが、日本では、雇用のありかたが大きく異なるために、なじまない、とされてきました。
【 解説のポイント 】
それをなぜ、今、多くの政党が、横並びのように公約にあげるのか?
その背景は何なのでしょうか?
そして、同一賃金を日本で実現しようとすれば、結局、問われることになるのは、正社員の働き方や雇用慣行、とりわけ“年功賃金”のありかたが問われることになります。
つまり、同一労働・同一賃金は、単に賃金の問題ではなく、日本の雇用社会のありかた全体に関わってくる問題です。
必要なのは、働き方の将来像やビジョンです。
今回の選挙戦で、どれだけ議論が深められているでしょうか?
【 各党の公約 】
まず、各党の公約を見てみます。
御覧のように、8つの政党が、同一労働・同一賃金やそれと同じような考え方の実現を目指すとうたっています。
生活の党は、非正規労働省の正規労働者化を進めるとしています。
【 日本の賃金格差は大きい 】
なぜ、今、これほど多くの政党が同一労働・同一賃金を取り上げるんでしょうか?
それは、正規と非正規の格差是正が、待ったなしの所に来ているからです。
まず、働く人全体に占める、非正規労働者の割合です。
パートや契約社員、派遣などの非正規労働者は、年々増え続けて、今や、37点5%。働く人の4割は、非正規労働者です。
そして、その最大の問題は、賃金格差です。厚生労働省などの調査では、非正規労働者の賃金は、正規の人の56点8%、6割弱にとどまっています。
これに対し、同一労働・同一賃金が基本であるヨーロッパ諸国を見てみます。
フランスは、89点1%でおよそ9割、つまり、ほとんど差はありません。
またドイツやスウェーデンなど、多くの国では、およそ8割です。
こうして比べると、6割弱という日本の低さが目立ちます。
【 賃金の決め方が違う! 】
なぜ、日本では、こんなに賃金格差が大きいのでしょうか?
それは、賃金の決め方が、欧米とは違っているためです。
どういうことかと言いますと、よく、こういう言い方がされます。
欧米では、賃金は仕事に対して払われるが、日本では、ヒトに対して払われる。
どういうことかと言いますと、欧米では、その人の仕事はハッキリ決まっています。
仕事の内容も、範囲も、具体的なことが、あらかじめ雇用契約や職務記述書と呼ばれる文書で決められています。
会社の都合で、突然、別の仕事をまかされる、というようなことは基本的にありません。
しかし、日本では、その人の仕事の範囲は、曖昧で、職場の都合で臨機応変に変わります。
そもそも仕事の内容そのものが、決まっていません。
転勤や配置転換によって、ある日突然、仕事がガラリと変わる、などということはよくあることです。
つまり、今、やっている仕事よりも、これまでのキャリアや将来期待で、総合的に評価して賃金が決まります。
こうして決まる賃金の姿が、象徴的にあらわれるのが、このグラフです。
年功序列型賃金、いわゆる年功賃金のグラフです。
在職年数や年齢に応じて、給料がしだいにあがっていきます。
なぜ、年と共に給料が増えるのか?
それは会社に長くいるほど、経験も能力も増えているはずだから、給料も高くする、という理屈です。
一番高くなるのは、大体50代なかばで、新卒入社当時の2倍から3倍ぐらいになります。
そして、定年後の雇用延長や再雇用になると、また下がるという仕組みです。
しかし、これはあくまで正社員の場合であって、非正規の人の賃金は、欧米と同じように、仕事で決まります。
その結果、どうなるかというと、非正規の人の賃金は、このようにほとんど上がりません。
いくら長く働いても、同じ仕事をしている限り、ほとんど給料は上がりません。
つまり、年をとるにつれて、格差は一層広がっていくわけです。
こうした中で、同一賃金の考えに沿って、格差を是正しようとすると、どうなるでしょうか?
まず、非正規の人の賃金を今より底上げする、ということは当然、必要なことです。
イメージ的にいうと、このオレンジの点線のような感じでしょうか?
と同時に、やはり見直すことが避けらない、と見られているのは正社員の年功賃金です。
この賃金のカーブが、もっとゆるやかなものにならないと、いくら非正規の人の賃金が底上げされても、年と共に、格差が広がる、という深刻な問題は解決されません。
こちらもイメージ的にいうと、緑の点線のような、なだらかなカーブになる、という感じでしょうか?
ただ、この場合、注意が必要なのは、賃金の総額が仮に一定だとしますと、非正規の人の賃金が上がる分、正規の人の賃金は、全体としてもっと下がる、ということもありえます。
【 再雇用でも同一賃金? 】
さらに、この同一賃金を巡っては、最近、大きな動きがありました。
それは、同一賃金の考えが、正規と非正規だけでなく、現役と、定年後再雇用された人。
この両者の間でも、同一賃金のような考えが適用される場合がある、という驚きの判決です。
どういうことかと言います、これは、横浜市の運送会社で、定年後に再雇用されたトラック運転手3人が訴えたものです。
定年前と同じ仕事をしているのに、年収が2〜3割下がったとして、その賃金格差を是正するよう会社側に求めたものです。
これに対し、東京地裁は、業務の内容や責任は同じなのに、賃金を下げるのは、不合理な格差を禁じた労働契約法に違反する、として、賃金の差額分を支払うよう、会社側に命じました。
その後、会社側は控訴しましたので、今後、上級審の判断を待つ必要がありますが、もし、この判決通りだとしますと、このグラフにあるような、定年後の大幅な賃下げは許されない、ということになる可能性が出てきます。
そうなると、企業としては、定年前の高い賃金を、そのまま出し続ける、ということを避けるために、あらかじめ、緩やかなカーブにしておく、ということになるかもしれません。
つまり、この意味でも、年功賃金の見直しにつながる可能性があるとして大きな議論になっているわけです。
【 今後のビジョンは? 】
正規と非正規の賃金格差の是正は、まさに緊急の課題です。
しかし、そのために、同一賃金を目指そうとすれば、どうしても、正社員の年功賃金の在り方を見直すことにつながります。
年功賃金は、長期雇用と共に、日本型雇用システムの中核をなすものです。
正社員はこれによって、安定的な立場を保障され、それと引き換えに、転勤や長時間労働を受け入れてきたわけです。
つまり、同一労働・同一賃金というのは、単に賃金の問題ではなく、日本の雇用社会のありかた全体を問い直すことにつながります。
もう、そうなってきますと、今後、雇用の流動化はどうなるのか?
そして、もともと、中高年層に重い負担となっている、子供の教育費や社会保障の負担は一体どうするのか?
社会保障や税制にも話しがおよびます。
必要なのは、働き方の将来像や、ビジョンです。
各党には、そこを語ってほしいと思います。
(竹田 忠 解説委員)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/100/248737.html
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