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独裁か、改憲阻止か…カギを握る当落線上の野党候補29人
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2016年7月9日 日刊ゲンダイ 文字お越し
左上から時計回りに、岡田克也、志位和夫、小沢一郎、吉田忠智(C)日刊ゲンダイ
泣いても笑ってもあと1日だ。この国の命運を決める天王山の参院選。メディア各社の情勢分析では、いつの間にか「改憲勢力で3分の2議席」が確実視されている。どの調査を見ても、「3分の2」に達するかどうかは、わずか1〜2議席の攻防だ。
もはや与党の過半数割れは望むべくもなく、どうあがいても亡国のデタラメ政治を止めることはできない惨憺たる状況なのだが、こうなったら、せめて「3分の2」だけは阻止することが、国民にとって喫緊の課題である。
「衆院に続いて、参院でも極右勢力に3分の2議席を与えたら、必ず憲法改正に手をつけてくる。平和国家から、戦争をする国に変えられてしまいます。日本にとって、歴史の重大な分岐点となる選挙です。子や孫が、戦場に送られてもいいのか。自分たちの人権が抑圧され、奴隷のように、国家に奉仕する社会になってもいいのか。本気で考える必要があります。棄権などもってのほかで、与党に白紙委任状を渡すも同然の行為です。どんな社会になっても文句は言えない。自分や子どもが戦場に送られようと、年金受給額が半減されようと、黙って受け入れるしかありません」(政治評論家・本澤二郎氏)
投票は国民の義務ではなく権利だ。だから「投票に行かない」という権利も成り立つが、それは自らが行使できる権利に対して、あまりに不覚といえる。
法律の世界には、「権利の上に眠る者は保護に値せず」という格言がある。長期間にわたり権利を放置した者は、その権利を奪われても仕方がない。何もしないで眠っているのは怠慢であり、他者の利益が優先される。何もかも奪われても、泣き寝入りするしかない。
■福島と沖縄で現職大臣を落選させる意味
無党派層が選挙権を眠らせていて、喜ぶのは組織選挙を展開する自公の与党だけだ。それで3分の2勢力を確保し、国民の財産や自由、人権をどんどん奪おうと狙っている。かつて森元首相が口をすべらせた通り、「無党派層は寝ててくれればいい」が彼らの本音なのである。逆に言えば、無党派層が動けば、いま流されている選挙情勢がひっくり返る可能性は高い。投票結果は確実に変わってくる。
まだ勝ち負けが決していない激戦区は、〈表〉の通り24選挙区あり、29人の野党候補が当落線上にいる。いずれも数ポイントの差でせめぎ合っていて、安倍自民の暴走を止められるかどうかは、これらの選挙区がカギを握っている。
憲法改悪を阻止したければ、表の野党候補に投票することだ。少しでも野党候補の当選を増やし、改憲勢力の議席を減らす必要がある。
とりわけ勢いをそがなければならないのが自民だ。直前の獲得議席予想では、27年ぶりに参院での単独過半数を回復する勢いとされる。そんなことになれば、法案を通すのに公明の協力さえ不要になる。今以上に安倍1強のやりたい放題がまかり通り、完全な独裁になってしまう。独裁を望む国民はいないだろう。北朝鮮のような国になって本当にいいのか? とにかく、自民の獲得議席をひとつでも減らさなければ、日本はお先真っ暗ということだ。
「数ポイントの差なら、無党派層の数割が投票に行くだけで、自民党候補を落選させることができる。有権者が投票権を行使することで、暴走する独裁政権に一矢報いることができるのです。中でも、現職大臣の落選は値千金の価値がある。沖縄の島尻大臣は落選確実。福島の岩城大臣も野党候補と接戦で落選危機です。東北で野党統一候補が大勝すれば、国民生活を破壊するTPPに待ったをかけることができるかもしれない。なにより今回は『戦争か平和か』を問う大事な選挙です。未来を選ぶ選挙なのです。アベノミクスを前面に出した目くらましにだまされてはいけません」(本澤二郎氏=前出)
みすみす日本が戦争に巻き込まれるのが分かっていて傍観を決め込むのか。平和を望む有権者は、迷わず野党候補に投票すべきだ。
未来は無党派層の行動にかかっている(C)日刊ゲンダイ
最悪の事態回避のため「勝てそうな野党」に投票する
20世紀の英国を代表する政治家のウィンストン・チャーチルは、こんな言葉を残している。
「選挙に出るヤツなんて、金儲けしたいか、目立ちたがりか、ろくでなしばかり。まっとうなヤツは選挙になんか出ない」
これは逆説的な表現でもあり、だからこそ、有権者はちゃんと投票すべきだと、こう続けるのだ。
「選挙とは、いまの世の中の状況で、ろくでなしのなかから誰に税金を分配させたら相対的にマシになりそうか、消去法で選ぶ行為のことなのだ」
投票を棄権する無党派層の多くが、「支持する政党がない」「自民党政治は嫌だが、投票したい野党もない」という理由によるものだが、支持する政党や候補がいなくても、誰かに投票することが、最悪の事態を回避することにつながる。
「自分が投票してもどうせ変わらない」と棄権した1票が、自民党を勝たせ、憲法改悪を後押しする1票になることを肝に銘じるべきだ。投票率が上がらなければ、ろくでなしの集合体である政権党がのさばるだけで、その結果、有権者の政治離れが加速し、ますます投票率が下がるという悪循環である。
政治評論家の森田実氏が言う。
「投票日直前になって、メディアの報道は都知事選に電波ジャックされてしまいました。参院選の方がはるかに重要なのに、面白半分で都知事選の候補者を追い掛け回すお祭り騒ぎに興じている。そうなると、無党派層の興味や関心も都知事選の方に向いてしまう。それで投票率が50%を下回る可能性まで囁かれていますが、そんなことになれば悲劇的です。国民の2〜3割の支持しか得ていない人々によって、あらゆることが決められていく。半数以上の有権者が意思表示をしない中で、改憲派が3分の2議席をかすめ取ってしまう可能性がある。とても民主主義社会の正しい姿とは思えませんが、これにメディアも加担している。参院選について報道しなければ、圧倒的に多数派に有利に働きます。都知事選のバカ騒ぎを見るにつけ、マスメディアの愚かさは政権党の期待以上のものがあると感じます。本来は政権党を監視し、点検することがメディアの務めなのに、この役割を完全に放棄してしまっている。考える材料を与えられない国民は、選挙の重要性に気づかないまま、漫然と支持を与え、政権党の暴政を許している。よりよい社会をつくるためには、絶対に批判が必要です」
■反対票を投じる意思表示が重要
参院選は政権を選ぶ選挙ではないから、現政権が進める政策に賛成か、反対かだけで投票しても構わない。国民の権利を制限するような改憲を許すのか。戦争する国になってテロを呼び込んでいいのか。アベノミクスでますます生活が苦しくなって構わないのか。最も大きなテーマは改憲だが、何かひとつでも反対なら、野党に投票することが意思表示になる。頼りない野党にも利用価値はある。
貴重な1票が死に票になるのを防ぐなら、「勝てそうな野党候補」に投票するというのは、立派な選択肢だ。
「英国のEU離脱の国民投票でわかったように、いつだって、1票の価値は重い。若い人にとっては自分たちの未来を決める1票だし、年寄りは次の世代にまっとうな社会を残す責任がある。有権者が寝ていれば、嵩にかかった権力に蹴散らされるだけです。この国の将来を考えるなら、男性も女性も、誰もが投票所に行って1票を投じるべきなのです」(森田実氏=前出)
EU離脱の選択と比べても、改憲は大きな問題だ。すべての基盤となる憲法が変われば、国民生活は根底から変えられてしまう。現状維持を望む人も、今回ばかりは勝てそうな野党に票を投じるのが得策ということだ。
2016年7月9日 日刊ゲンダイ
最終予想 改憲4党「74議席」…安倍独裁を防ぐアナタの1票(日刊ゲンダイ)
http://www.asyura2.com/16/senkyo209/msg/242.html
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