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消費増税延期も焼け石に水 「緩慢な死」に向かう資本主義
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/182379
2016年5月28日 日刊ゲンダイ 文字お越し
伊勢志摩サミットで首相の正体は割れた(C)日刊ゲンダイ
予想通り「成果ゼロ」に終わった伊勢志摩サミット。いったい、なんのために先進諸国のトップが7人も集まったのか。結局、有効な「経済政策」は、なにひとつ打ちだせなかった。
唯一、成果があったとしたら、G7サミットを政治利用して保身を図った、安倍首相の恥知らずの正体が改めて分かったことくらいではないか。サミットに参加した各国トップも「日本の首相は大丈夫か」と呆れ返って帰国したに違いない。
サミットの冒頭から、「リーマン・ショック」という言葉をなんども連発し、世界経済の現状はリーマン・ショックの直前と酷似していると訴えた安倍首相。誰が考えても、100年に1度の経済危機であるリーマン・ショックを持ち出すのは無理があるが、それでも、しつこく繰り返した狙いは、ミエミエである。消費税増税を先送りする言い訳に、サミットを利用しようとしたことは明らかだ。
景気が低迷し、日本経済はとても予定通り消費税率を10%にアップできる状況ではない。でも、消費税増税を再延長したら、アベノミクスが失敗したからだと批判されてしまう。しかも、2年前、増税を延期した時、安倍首相は「再び延期することはない」「必ず増税できる経済状況をつくり出す」と約束している。そこで、批判を回避するためにサミットを利用し、増税再延期の理由を「世界経済」に転嫁しようとしたのは明らかである。
しかし、安倍政権は、わずか数日前、5月の「月例経済報告」で、世界経済の見通しを「緩やかな回復が期待される」としていたはず。よくも、恥も外聞もなく「リーマン・ショック」などと口にできたものだ。
内政に行き詰まった政権が、政権浮揚のために外交を利用することはよくあるが、さすがに経済失政を糊塗するためにサミットを利用したトップは過去ひとりもいなかった。民進党の岡田代表が「恥ずかしい」と批判していたが、ホントその通りである。
■世界で「一人負け」の日本経済
今回のサミットに限らず、安倍首相は二言目には「世界経済が」と、日本の景気が低迷している原因を世界経済に責任転嫁しているが、日本経済が沈んでいるのは、世界経済とは関係ない。むしろ、日本が足を引っ張っているのが実態である。
IMFが4月に発表した2016年の世界の経済見通しを見れば、日本が「一人負け」なのは一目瞭然である。世界全体は3.2%成長、アメリカ2.4%、イギリス1.9%、ドイツ1.5%と、数字は低いが、それなりに成長しているのに、日本だけは0・5%と1%にも満たない。経済評論家の広瀬嘉夫氏がこう言う。
「どんなに安倍首相が『リーマン・ショックと酷似している』と世界経済の危機を訴えても、G7に出席した首脳は、本気で相手にしなかったはずです。アメリカは早ければ6月にもう一回、金利を上げる。それなりに景気に自信をもっているということでしょう。アメリカもヨーロッパも、世界経済は最悪期を脱したと判断しています。もし、世界経済が低迷しているなら、原油価格はもっと下落しているはずですが、年初に1バレル30ドルを割り込んだ原油は、50ドルまで上昇している。日本経済の低迷には触れず、世界経済の危機を騒ぎたてた安倍首相に、各国首脳は強い違和感を抱いたはずです」
安倍首相に呆れたのか、ドイツのメルケル首相は「世界経済はそこそこ安定した成長を維持している」とクギをさしている。結局、伊勢志摩サミットは、日本のトップが失笑を買う舞台になっただけではないか。
一時的にバブルが起こるだけ(C)日刊ゲンダイ
「財政出動」しても動かない
サミットで「世界経済の危機」を訴えた安倍首相は、来週にも消費税増税の再延期を表明する予定だ。
景気が低迷しているのだから、増税を再延期するのは当然といえば当然だが、増税を延期したところで、低迷している日本経済には“焼け石に水”というものだ。
安倍首相は「財政出動」すれば、景気は上向くと信じているようだが、もはや世界経済も日本経済も、財政出動しても好景気は期待できない構造になってしまっている。
エコノミストの高橋乗宣氏は、本紙の連載コラム(27日付)で、こう指摘している。
〈そもそも先進7カ国が一斉に財政出動に打って出れば、世界の景気低迷を打破できるのか。再びグローバル経済が活況を取り戻すとは到底、思えない。足元の日本経済を見ても、高度成長期の大昔ならいざ知らずだ。財政出動により、公共事業を増やしたところで、経済が回り出すような構造にない〉〈いくら公共事業で税金をバラまいても、広く人々には行き渡らない〉〈資本主義そのものが「緩慢な死」に向かっているようにすら思えてくる〉
実際、この20年間、先進各国は低成長に沈んでいる。財政出動しても、一時的に「バブル」が発生するだけである。とりわけ、日本は、借金をGDPの2倍の1000兆円にまで膨らませて景気をテコ入れしてきたのに、いつまで経ってもデフレ不況から抜け出せない。
「震災復興」「東京五輪」と、人手不足と資材高騰が生じるほど、目いっぱい、公共事業をばらまいているのに、それでも日本経済は0・5%成長である。増税を再延期しただけでは、どうにもならないのはハッキリしている。
■経済のパイが広がらない
どんな手段を講じても景気が上向かないのは、やはり資本主義が「緩慢な死」に向かっているからではないか。この20年間、世界を席巻した「新自由主義」と「グローバル資本主義」が限界に達したのだろう。
資本主義のチャンピオンであるアメリカの大統領選で、社会民主主義者を標榜するサンダースに熱烈な支持が集まっているのも、資本主義が限界に達した裏返しだと考えれば、分かりやすい。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言う。
「もう、世界経済はかつてのような右肩上がりの成長をすることは無理だと思う。経済のパイを広げることが難しくなっているからです。富を収奪する植民地もなく、投資するフロンティアもない。とくに人口が減少している日本のような先進国は、低成長に甘んじるしかない。多少なりともアメリカが成長しているのは、移民が流入して人口が増えているからでしょう。それでも、政府が国家として経済成長を求めたら、企業の競争力を強めるために国民は安い労働力として使われ、格差が広がるだけです。いいかげん、先進国は成長神話から脱するべきです」
1990年にバブルが崩壊した時、日本は「過剰債務」「過剰設備」「過剰雇用」という3つの過剰に苦しみ、その3つが解消するまで景気は回復しないといわれたが、3つすべてが解消しても、結局、景気はよくならなかった。この20年間で、資本主義の姿は大きく変わってしまった。財政出動すればなんとかなるという安倍首相の発想は、あまりにも時代遅れだ。増税を再延期したくらいでは、この日本経済はどうにもならなくなっているのだ。
◇
<安倍首相>「消費増税2年半延期」提案 政権幹部に伝達
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160528-00000088-mai-pol
毎日新聞 5月28日(土)23時41分配信
安倍晋三首相は28日夜、麻生太郎副総理兼財務相、菅義偉官房長官、自民党の谷垣禎一幹事長と首相公邸で会談した。首相は、来年4月の消費税率10%への引き上げを再延期する考えを伝えた。延期期間は2019年10月までの2年半とすることを提案したが、異論が出たため、引き続き協議することとした。
2年半延期した場合は、19年夏の参院選の後となるが、財政健全化を重視する麻生氏は難色を示した模様だ。これまで公明党も予定通りの消費税率引き上げを求めており、与党内の調整は難航が予想される。
首相は26〜27日の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)で、現在の世界経済の状況が08年のリーマン・ショック直前に似ていると説明。各国が財政出動などで、国際経済の安定化のために取り組む必要性を強調した。28日夜の会談でも、こうしたサミットでの議論について首相が説明し、増税再延期の意向に理解を求めたものとみられる。
首相は27日のサミット閉幕時の記者会見で「引き上げの是非も含めて検討し、夏の参院選前に明らかにしたい」と表明していた。
消費税率10%への引き上げは、もともと15年10月とされていたが、首相は14年11月に1年半の延期を決定。その判断について国民に信を問うとして衆院を解散した。【古本陽荘】
◇基礎的財政収支、20年度黒字化配慮
政府は、政策経費を借金に頼らずにどれだけまかなえているかを示す基礎的財政収支(プライマリーバランス=PB)を、2020年度に黒字化する目標を掲げている。19年度中に消費税増税に踏み切れば、20年度は増税分の税収がフルに入るため、財政健全化計画に寄与するという理屈は立つ。
ただ、計画は名目成長率3%、実質成長率2%という高い成長率を前提としており、現状では増税できたとしても達成は難しい。また、中間目標として18年度にPBの赤字を国内総生産(GDP)比で1%程度に縮小させる方針を掲げているが、これは放棄せざるを得なくなる。
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