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国境なき記者団が発表した2016年の「報道の自由度ランキング」で日本はタンザニアやモンゴルよりも低い180カ国中、72位。サミットを前に赤っ恥をかかされた安倍政権…
報道自由度で世界に赤っ恥…匿名でしか話ができないジャーナリズムの異常事態と安倍政権の手痛いダメージ
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20160513-00065182-playboyz-pol
週プレNEWS 5月13日(金)6時0分配信
4月に「国境なき記者団」が発表した2016年度の「報道の自由度ランキング」で日本は対象の180ヵ国・地域のうち、前年より順位を11下げ、72位と散々な結果に…。
「そこまで悪くないだろ」と見る向きもあるだろうが、先月、安倍政権と国連人権理事会が繰り広げたバトルの内幕を知れば、そうもいってはいられない。
* *
「日本の報道の独立性は脅威に直面している」
言論の自由度を調査するため来日した国連人権理事会のデビッド・ケイ特別報告者(米カリフォルニア大学アーバン校教授)が、こう警告を発したのは4月20日のこと。
あるジャーナリストが説明する。
「各国の人権状況を監視し、政府に勧告するのが人権理事会の役目。そこが特別報告者を送ってきたということは、日本の報道の自由がヤバイ状況になっていると国連が心配しているということ。サミットも控え、先進国を自負する日本としてはかなり恥ずかしい状況といえます」
しかも、その調査の結果は冒頭のコメントのように辛口。低評価の理由は一体なんだったのか? ジャーナリストが続ける。
「会見でケイ氏が特に力説していたのが、いわゆる『高市発言』の危険性でした」
「高市発言」とは、今年2月8日の衆院予算委で、高市早苗総務大臣が政治的公平を求める放送法4条を根拠に、政治的に公正ではない放送が繰り返された場合、放送の停波命令をちらつかせた答弁のこと。ケイ氏はこの高市発言を念頭に、安倍政権がメディアに圧力をかけ、報道の独立が脅かされていると指摘したのだ。
今回の調査で、ケイ氏は日本の複数名のジャーナリストと面談した。その中で彼らが共通して使ったあるフレーズにケイ氏は日本の報道の自由の危機を感じたという。会見でケイ氏はこう語っている。
「多くのジャーナリストが、安倍政権について独立性を保った状態で報道することが難しいと話してくれました。その際、興味深かったのは、ほぼすべての人が『面談は匿名でお願いしたい』と言ったことでした」
実名で調査に応じれば政府や報道機関トップの不興も買いかねない。だからこそ、多くの面談者が匿名を希望したと、ケイ氏は受け止めたのだ。
そんな中、ただひとり、実名で会談内容の公表も認めてケイ氏と面談した人物がいる。元経済産業省官僚の古賀茂明氏だ。
古賀氏は昨年、生放送中に「アイ・アム・ノット安倍」と政権批判をぶち上げ、『報道ステーション』(テレビ朝日系)のコメンテーターを降板させられている。古賀氏はケイ氏に何を伝えたのか? 直撃してみた。
―ケイ氏と会った経緯は?
「ある弁護士グループから打診があり、4月18日に某大学のサテライトオフィスで会いました。面談時間は2時間ほど。2名の人権理事会関係者も同行していました」
―話した内容は?
「安倍政権からの圧力があったと証言したところで、裏づけがなければケイ氏を納得させることができない。だから、圧力の証拠があるケースに絞って証言しました」
―その証拠とは?
「2014年11月24日付で、自民党が『報ステ』のプロデューサー宛てに出した文書です。『報ステ』がアベノミクスの恩恵が大企業や富裕層にしか及んでいないかのようなニュースを放映したとして、名指しで抗議してきたんです。しかも文書には『ニュースは放送法4条に照らして、十分に意を尽くしたとは言えない』とまで書いてありました。これは停波の脅し以外の何モノでもありません。その文書を見せると、ケイ氏はひどく驚いていました」
―他にもありますか?
「自民党の佐藤勉『放送法の改正に関する小委員会』委員長のオフレコ発言メモも見せました。テレビ局の政治部記者が作成したものです。昨年4月、私がTOKYO MXの『淳と隆の週刊リテラシー』に出演して『アイ・アム・ノット安倍』発言の真意を説明したのですが、その3日後、佐藤委員長が記者団に『どっか(のテレビ局)が古賀を使ったんだって? 勇気あるよなあ』とオフレコ発言したんです。これも立派なメディアへの圧力です。このメモが回覧されれば、テレビ局は政権の意向を忖度(そんたく)して、私のような反安倍のコメンテーターは起用しないようになるでしょうから」
こうした聞き取りを積み重ね、ケイ氏は当初予定になかった暫定(ざんてい)的な報告書を急遽(きゅうきょ)作成し、4月19日の会見で公表している。その主な内容は以下のようなものだ。
・政府がメディアをコントロールできる根拠となる放送法4条の廃止
・政府に代わり、放送機関を監督する機関の設立
・大手メディアだけがアクセスできる排他的な記者クラブ制度の廃止
・取材者と情報提供者が罰則を受ける恐れのある特定機密保護法の改正
暫定とは名ばかり。まるで、本報告さながらの本格的メニューがずらりと並ぶ。全国紙政治部記者がこうささやく。
「報告書は来年公表の予定ですから、ケイ氏はゆっくり作成すればよかったんですが、そうしなかった。彼は徹夜で暫定報告を作り、日本滞在中に公表することにこだわったんです。理由? 安倍政権の不誠実な対応に危機感を覚えたからでしょう」
もともとケイ氏は昨年12月に来日予定だったが、安倍政権は予算編成を理由に、その予定をキャンセルしている。
「12月に調査に来られると、ケイ氏が報告を書き上げてしまい、6月開催予定の国連人権理事会に提出されてしまう。そうなれば安倍政権が報道の自由を圧迫している悪行が国内外にバレて、7月の参院選に悪影響が出かねません。そこで政府はケイ氏の来日を4月に引き延ばす作戦に出たのです。これなら6月の人権理事会まで2ヵ月の余裕しかなく、報告提出はできません。
さらに政府は高市総務相と面談したいというケイ氏の要請もスルーした。そんな安倍政権の不誠実な対応を察したからこそ、ケイ氏は予定になかった暫定報告を書き上げて公表したのでしょう。この報告の内容を海外メディアの特派員は大きく報道しています。6月のサミットを前に、安倍政権は手痛いダメージを負った格好です」(前出・政治部記者)
今回はケイ氏の完勝に終わったが、日本の報道の自由がこれ以上、世界中からバカにされないことを願いたい。
●週刊プレイボーイNo.21「国連人権理事会vs安倍政権 壮絶バトルの知られざる内幕!」より
(取材・文)本誌ニュース班
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