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円高株安に打つ手なし…「日米同盟深化」の喜劇的結末
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/180805
2016年5月6日 日刊ゲンダイ 文字お越し
これまでの人(安倍首相)と、これからの人(トランプ氏)/(C)AP
「私たちの同盟を“希望の同盟”と呼びましょう!」――。安倍首相が日本の首相として初めて、米国の上下両院合同会議で演説するという栄誉を与えられてから、丸1年。あのスタンディングオベーションのしらじらしさを改めて実感させられたのが、GW直前からの円高・株安の加速である。
日本政府は米国の強烈な「ドル安」圧力に打つ手なし。投機筋は赤子の手をひねるように、やりたい放題だ。日本人がGWで遊んでいるうちに、市場はもてあそばれていた。
黒田日銀が追加緩和に踏み切れず、拍車のかかった「円買い・ドル売り」の潮流に、追い打ちをかけたのが米財務省だ。先月末に貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告を公表。その中で日本は為替政策の「監視リスト」に入れられてしまった。
マーケットは「政府・日銀は円高抑止の為替介入に動けない」と見透かし、円を買ってドルを売る動きが、ますます強まった。GWで日本の取引参加者が少ないのを尻目に、3日の外国為替市場ではとうとう1ドル=105円台半ばをつけ、約1年半ぶりの円高水準に。たった5日間で6円近くも円高が進むという異常な値動きとなった。
それにしても為替市場に凄まじいインパクトをもたらした米財務省の「監視リスト」。聞き覚えがないのは当然で、為替報告書の中で監視対象国を名指しするのは初めて。日本については「最近の円ドル相場は秩序的だ」と指摘。先月半ばにルー財務長官も同じ見解を表明していたが、このメッセージの意図は「円売り介入によって秩序を乱すマネはするなよ」という日本政府・日銀への露骨な脅しである。
■米の意向を重んじて、お手上げ状態
経済評論家の斎藤満氏が指摘する。
「日銀が追加緩和に踏み切らなかったのも、恐らく米国の圧力に屈した結果でしょう。米国経済には、もはやドル高を受け入れる余裕はない。アップルなどグローバル企業が為替差損による収益圧迫で業績不振に陥り、景気の足かせになっているためです。そこで、日本などに難クセをつけだしたのですが、すでに日本は監視3条件のうち、『対米貿易黒字200億ドル以上』『経常黒字の対GDP比3%以上』に該当します。残る『GDP比2%超の為替介入』に抵触すると、米国は“改善命令”を発動し、日本は対応次第でペナルティーを科せられる。こんなエゴイスティックな圧力は突っぱねればいいのですが、『サミットを控えた安倍政権にはできっこない』と、市場は完全に足元を見ています」
いったい、これだけ一方的で隷属的な同盟関係のどこに「希望」を見いだせるのか。急激な円高進行もポチ政権が招いた「災厄」なのだが、そのダメージは計り知れない。3月の日銀短観によると、大企業製造業の16年度の想定為替レートは1ドル=117円46銭。特に輸出産業の代表格の自動車は裾野が広い。業績悪化は受注減などの形で地方経済を圧迫する。
マツダは今期の想定レートを1ドル=120円から110円に修正したばかりだが、焼け石に水だろう。トヨタ自動車は1円の円高で、年間400億円の営業利益が吹き飛ぶ。1ドル=115円を想定した今年1〜3月期に比べても、すでに10円近い開きがある。
追加緩和なし、為替介入なし。“ないない”尽くしのお手上げ状態で「円安・株高」は頓挫。輸出企業の収益を圧迫していけば、アベノミクスもとうとう“ご臨終”だ。安倍にとっては自身の米国一辺倒外交が招いた悲劇となる。
常にギコチなく(C)AP
必死にシッポを振れど相手にされぬ虚しい国
この大型連休中には、アーネスト米大統領報道官が広島・長崎への原爆投下について、オバマ大統領は日本に謝罪すべきだとは考えていない、と表明。今月の伊勢志摩サミットに合わせたオバマの広島訪問前に、改めて日本を牽制した。
先月、広島平和記念公園を訪問、意味不明なコメントを残したケリー国務長官に続き、米政府は原爆投下を謝罪する気は全くないらしい。岸田外相がケリーの広島訪問前に「決して謝罪を求めているわけではない」と繰り返し伝えていたと白状しているのだから、当然の帰結とはいえ、この政権のベタ降り姿勢には今更ながら、ア然だ。
安倍首相は就任以来、「日米同盟の深化」と口先では繰り返してきたが、はたして日米同盟のどこが深まったのか。何か得することがあったのかを聞いてみたいものだ。
政治学者の五十嵐仁氏はこう言った。
「安倍首相の場合、歴代の長期政権は常に米国との関係が良好だったという理由だけで、米国に気に入られたかっただけでしょう。しかも、オバマ大統領とはハナから“ケミストリー”が合わなかった。だから必要以上に米国のリクエストを勝手に忖度し、過剰なサービスに努めてきたのです。沖縄の基地問題もTPPもそう。揚げ句の果てが安保法制で、この国の立憲主義を危うくし、平和憲法を蹂躙してまで、米国に取り入ろうとした。ところが、評価してくれたのはネオコンの一部だけ。米国のメーンストリームは、安倍外交を気にも留めていない。そのことがハッキリしたのが、今回の『監視リスト入り』です」
安倍の言う「日米同盟の深化」とは単なる“独り相撲”に過ぎなかったのだ。
■暴言王は中国と一緒に為替操作で日本を制裁
さらに大型連休中には、暴言王のドナルド・トランプが米大統領選に向け、共和党の党指名候補になることが確実となった。この勢いに乗ってトランプが大統領に当選した場合、日本には目も当てられないような大混乱が待ち受けている。
これまでトランプは、「米国が攻撃を受けても、日本は何もしなくていい」などと日米安保条約の見直しを示唆。駐留米軍費の全額負担要求や、日韓両国の核武装容認など、とかく安保政策ばかり注目されがちだが、忘れていけないのが、経済政策だ。
批判のマトは常に日本と中国の通貨安政策で、大統領就任初日には中国を「為替操作国」に認定すると宣言。為替操作国に認定された国は、米政府との2国間協議に巻き込まれ、交渉次第で輸入関税の引き上げなどの制裁措置を発動される。今回の「監視リスト」とは比較にならないペナルティーだが、指名争いの最中にもトランプは日本を「為替操作の名人がいる」と痛烈に批判していた。日本も中国と一緒に「為替操作国」の仲間入りをしても、おかしくない。
「日本や中国の通貨安政策によって、米国の製造業の国際競争力が弱まった。そのため、企業は中国やメキシコなど賃金の安い国々に工場を移転せざるを得ず、国内の雇用が激減。だから、労働者は苦しんでいるのだというのが、トランプの持論です。その是正のためなら『貿易戦争も辞さず』という強硬姿勢が、実際に雇用の不安定な“プアホワイト”層を熱狂させ、大躍進につながった。この保護主義政策は、米国の対外政策の決定に著しい影響力を持つとされる『外交問題評議会』(CFR)の考えに近い。実はトランプの顧問団にCFRの有力メンバーが加わっており、さらにCFRは安倍政権に非常に批判的です。数年前に米メディアを通じて、『安倍首相は歴史修正主義者だ』とバッシングを仕掛けたのも、CFRの仕業ともっぱらです」(斎藤満氏=前出)
トランプは「(TPPは)大失敗だった」と語っており、仮に大統領に就けば、5年がかりのTPP交渉も水泡に帰すに違いない。一方的なラブコールが実らず、米国にソッポを向かれる安倍の姿は、喜劇的結末とも言える。ただ、そのツケを支払わされる国民は決して笑っていられない。
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