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2016年03月29日
すったもんだの強行採決で国会を通過させた、所謂いわくつきの、カッコつき安全保障関連法が29日施行された。早い話が、片務条約から双務条約に日米安保体制を強化したいと云う、外務・防衛の念願が適ったことになる。個人的には、今後、アメリカには、ムキになって世界の警察官気取りをする余裕はなくなって行くだろうから、本格的な実害は殆どないのではないかと思っている。無論、憲法に書いていないことなら、何をやっても良いなどと云う立憲主義冒涜の暴政は咎めを受けるべきである。
ただ、双務条約になったと、安倍政権が妙に肩を怒らせれば、意地悪な米国防省が、日本の本気度をたしかめるために、警察官代理補の力量を試すために、不必要な軍事行動を起こし、日本の自衛隊が、チャンと機能するかどうかを試す可能性はあるのだろうと考えている。つまり、まったく意味のない、お試し“集団的地自衛権行使”又は最も戦況が曖昧な戦闘地域における国連平和維持活動(PKO)などのミッションを課してくる可能性があるのだろうと考えている。自衛隊員は良い面の皮だが…。
アメリカの現在進行形の大統領選を観察していれば判ることだが、金融グローバル経済にまで行きついたアメリカの資本主義は、終わりを迎えている。この点を、否定する人間もいるだろうが、そういう人々は、不都合な事実から目を背けている人々であって、世界観や歴史観に疎い人種だと云うことになる。この一種レイシストな集団が、なんと驚くことに、日本のエスタブリッシュメントに強く根付いており、アメリカ依存主義に拘泥している。挙句に、最大の労働組合組織(連合)までが、エスタブリッシュ化しているので、既存システムから振り落とされない為に、汲々としている。
彼らの味方をしてやるとすれば、次の世界が明確に見えていない以上、現状、可視化できるシステムに縋らざるを得ないじゃないか、となる。まあ、一寸の虫にも五分の魂だが、まさに沈没寸前の船にしがみつく行為は、最終的に、その超大型客船の沈没時に起きる渦に巻き込まれ、一緒に太平洋の藻屑となるのは目に見えている。それでも、米国依存主義で思考停止した日本のエスタブリッシュメント、そして、その支配層を信じるしか思い浮かばない闘争心の欠如した国民層が多数を占める限り、沈みそうだけど、他の船も怖いからと云う選択に陥るのも、判らないわけではない。
現在進行形の共和党・トランプや民主党・サンダース現象は、アメリカの将来を予測した動きであり、彼らが、党の正式候補にならなかったとしても、次期アメリカ大統領は、その確固たる勢力の勢いが、今後とも増すであろうことを意識した為政を行わざるを得ない。クリントンが、どれ程ウォール街の代理人であっても、今までのように、金融グローバル経済推進に舵を切ることは出来ない。おそらく、ロシアとの融和と云う方向も生まれるだろうし、内向きなアメリカと云う方向性も見せないわけにはいかない。そして、格差是正の政策を強調することも忘れないだろう。
しかし、安倍の保育園問題同様に、泥縄になるのも事実だ。つまり、四年後は、トランプ的候補とサンダース的候補の一騎打ちになるのは、目に見えている。このような動きを見ていると、やはり、日本は、早々にデフレ経済下にあるし、為替差益分しか、成長しないことも証明済みである。多くの識者が、グローバル化は止まらないと主張し、念仏のように既成事実化しているが、これも実は怪しい。国産愛用運動などと云うウネリが生まれることもあり得るわけだ。関税を失くすと云うことは、国境を失くすことだが、国家と云う概念や宗教的や民族と云う概念の奥深さに比べ、グローバル化は表面的で脆弱だ。人工的に作られたものは、人工的に壊せる。しかし、自然発生的なものは、100年単位でも 壊すのは容易ではない。
あくまで、現在のグローバル化は、アメリカ一国主義から生まれたシステム紛いなものであり、ドル基軸通貨をベースにしたグローバル化であり、ヘゲモニーの延命策に過ぎない。判っているけどやめられない日本の悪癖が、今回も出ているわけだ。明治維新以降、神仏習合を無理やり剥がし、神仏分離令を施行させたようなもので、浅知恵に過ぎない。魂の入っていない、一部の権力の都合でシステムを変えても、必ず滅びる。形式的に神仏分離を強行しても、民の側は、正月には神社でお参りをし、仏になれば寺にゆく。形式を変えて都合が良いのは役人や既得権益者であり、民の好都合をしないのが、政治であり行政なのだ。
明治以降、どのような天変地異が起き、度重なる大戦を経ても、エスタブリッシュメントと云うものは、同一の思考経路の中で生きている。こうなると、哲学や宗教的見地から見ても、「レボリューション」と叫びだ出しても良い時期は到来している。筆者の感覚では、「民進党」がまったく民の側にアピールしない一番の理由は、対立軸が明確ではないことだ。むしろ既得権勢力で重複している。“安倍軍国右翼vs志位民主社会主義”と云うようなわかり易さを民の側に提示していかなと、参議院選で勝利は見込めない。岡田は引き分け程度を狙って、2/3議席阻止で大勝利くらいに思っているのだから、民の側が燃えるわけがない。「累進課税強化」、「法人税増税」、「財政政策からコンクリートは排除」。自分の生活が良くなると云う事実より、良い思いをしてる連中に鉄槌。そう国民が感じた時、野党の大勝利が見えてくる。
≪ 安保法が施行 集団的自衛権容認、専守防衛を大きく転換
集団的自衛権を行使できるようにする安全保障関連法が29日、施行された。自衛隊の海外での武力行使や、米軍など他国軍への後方支援を世界中で可能とし、戦後日本が維持してきた「専守防衛」の政策を大きく転換した。民進、共産など野党は集団的自衛権の行使容認を憲法違反と批判。安保法廃止で一致し、夏の参院選の争点に据える。 安保法は、昨年9月の通常国会で、自民、公明両党が採決を強行し、成立した。集団的自衛権行使を認める改正武力攻撃事態法など10法を束ねた一括法「平和安全法制整備法」と、自衛隊をいつでも海外に派遣できる恒久法「国際平和支援法」の2本からなる。
戦後の歴代政権は、集団的自衛権行使を認めてこなかった。しかし安保法により、政府が日本の存立が脅かされる明白な危険がある「存立危機事態」と認定すれば、日本が直接武力攻撃されなくても、自衛隊の武力行使が可能になった。自衛隊が戦争中の他国軍を後方支援できる範囲も格段に広がった。
安倍晋三首相は日本の安全保障環境の悪化を挙げて法成立を急いだ。しかし、国連平和維持活動(PKO)での「駆けつけ警護」や平時から米艦船などを守る「武器等防護」をはじめ、同法に基づく自衛隊への新たな任務の付与は、夏以降に先送りする。
念頭にあるのは、今夏の参院選だ。世論の反対がなお強いなかで、安保法を具体的に適用すれば、注目を集めて参院選に影響する。そうした事態を避ける狙いがある。
その一方で、安保法を踏まえた日米防衛協力のための指針(ガイドライン)に基づき「同盟調整メカニズム」が始動。自衛隊と米軍の連絡調整は一層緊密化した。今年1月以降の北朝鮮の核実験やミサイル発射を受け、首相は「日米は従来よりも増して緊密に連携して対応できた」と安保法の効果を強調した。ただ、日米の現場で交わされる情報の多くは軍事機密に当たり、特定秘密保護法で厳重に隠されている。
中谷元・防衛相は28日、防衛省幹部に「隊員の安全確保のため、引き続き慎重を期して準備作業、教育訓練を進めてほしい」と訓示した。自衛隊は今後、部隊行動基準や武器使用規範を改定し、それに従った訓練を行う。
民進党に合流する前の民主、維新両党は2月、安保法の対案として「領域警備法案」などを国会に提出。共産党など他の野党とは「集団的自衛権の行使容認は違憲」との点で一致し、安保法廃止法案も提出している。首相は野党連携に対し、「安全保障に無責任な勢力」と批判を強める。安保法をどう見るかは、今夏の参院選で大きな争点となる。(本田修一)
■安全保障関連法の主な法律
・集団的自衛権の行使を認める改正武力攻撃事態法
・地球規模で米軍などを後方支援できる重要影響事態法
・平時でも米艦防護を可能とする改正自衛隊法
・武器使用基準を緩め、「駆けつけ警護」や「治安維持任務」を可能とする改正PKO協力法
・他国軍の後方支援のために自衛隊をいつでも派遣可能にする国際平和支援法(新法)
≫(朝日新聞デジタル)
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