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社民党定期大会で手を取り合う、吉田党首(前列左から3人目)、共産党の志位委員長(同2人目)ら(2月20日、写真:読売新聞/アフロ)
「民・維合流」で漁夫の利を得るのは共産党だ 野党共闘によって存在感が増している
http://toyokeizai.net/articles/-/107171
2016年02月29日 安積 明子 :ジャーナリスト 東洋経済
民主党の岡田克也代表と維新の党の松野頼久代表は2月26日、両党が3月に合流することを正式に合意した。午後の党首会談の後、松野代表は満足そうに、「我々の思い通りに行った」と周囲に話したという。
しかし、実際は岡田氏や松野氏の思い通りに進んでいるわけではない。今、野党共闘を、文字通り「思い通り」に主導しているのは、日本共産党である。
■野党共闘へ緻密な計算
「2月19日の野党5党首の合意は、情勢の前向きの大激動を作りつつある」
2月25日に開かれた共産党委員長の定例会見は、志位和夫委員長の自信を込めたこの言葉から始まった。
「23日から開始された書記局長・幹事長会談は、いいスタートをきれたと思う。まずは安保法制廃止と閣議決定の撤回を共通の選挙公約とすることが確認され、政権問題についても協議することが確認され、安保法制以外のさまざまな政策課題についても一致点を探る協議を行うことが確認された」
志位委員長はさらに、「32の1人区の全てで野党共闘が成立し、自公に打ち勝つ体制を作りたい」と述べている。まさに野党共闘は、志位委員長が昨年9月に提唱した「国民連合政府」そのものの構図となりつつあるのだ。
ここに至るさまざまな段階で共産党のち密な計算が見てとれる。まずは「国民連合政府構想」の発表のタイミングだ。
志位委員長が国民連合政府構想をぶちあげたのは昨年9月19日で、参院本会議で安保法案が可決され、安保法制が成立したその日である。そして次期参院選で1人区の候補の原則取り下げを発表したのは、民主党の岡田代表と維新の党の松野代表が合流を決定した2月22日だった。いずれも野党共闘を共産党がリードしているかのような印象を与えるタイミングだ。
この「1人区原則取り下げ」は共産党にとって大きな目玉としたかったようで、志位委員長はわざわざ党本部で会見を開いている。日経新聞は2月12日の朝刊ですっぱ抜いたが、小池晃政策委員長が同日の会見で、「このような事実はない」と否定。日本共産党中央委員会の植木俊雄広報部長が日経新聞社を訪れ、抗議するとともに訂正を申し入れている。
ただこうした厳しい姿勢は「極秘にしていたことを報道機関に抜かれた」という腹立たしさよりも、「話題作りのひとつ」と解するべきかもしれない。少なくとも共産党の一挙手一投足は、メディアの注目を集めている。
■共産党の議席はどうなるのか
それにしても1人区の独自候補の多くを取り下げて、共産党は議席数を減少させないのか。共産党は組織政党ゆえに比例区選出の議員が多いが、彼らの票を支えるのは選挙区の票だ。選挙区で候補を立てるか立てないかで、その地域での党名の浸透度が異なり、票数に影響する可能性があるからだ。
だが近時の共産党の躍進で、それを埋めて余りある効果が期待できるとも見てとれる。共産党は複数区で独自候補を擁立するが、2013年の参院選で議席を獲得した東京、大阪、京都の各選挙区では確実、神奈川、埼玉、愛知の各選挙区でも有望と見られている。さらに注目すべきは、香川県選挙区だ。
共産党は県常任委員で青年学生対策部長の田辺健一氏を公認。若さをアピールする34歳の候補擁立は、東京都選挙区の吉良佳子氏、大阪府選挙区の辰巳孝太郎氏を当選させた2013年の参院選の戦略そのものといえる。しかし田辺氏の場合、吉良氏や辰巳氏の場合よりも積極的な「攻め」に出ている。
現在のところ香川県選挙区では、民主党の公認候補は不在のままだ。それを奇貨として、田辺氏は県内の連合組織を訪問という「電撃戦略」に打って出た。共産党の候補が連合の組織に挨拶に行くのは前例がない。これには民主党の関係者は驚愕したが、「挨拶に来たいという連絡があった。挨拶に来るというのだから断る理由はなかった」と受け入れたという。
これを機に、共産党は次期衆院選でも野党共闘によるいっそうの飛躍を狙っている。25日の会見で、志位委員長はこう言っている。
「まずは1人区での選挙協力をきちんとした上で、衆院の選挙協力をやっていきたい」
そのやり方は、「総選挙においては、一定のギブ&テイクの原則で選挙協力」するとした上で、「直近の国政選挙の比例区代表の得票数を基準」とする。狙いは穀田恵二国会対策委員長の京都1区だ。2014年の衆院選では84歳(当時)の不破哲三共産党前中央委員会議長が演説を行い、穀田氏は5万3379票を獲得した。共産党の最重点区である。対抗馬は自民党の伊吹文明前衆院議長だが、伊吹氏と同じ二階派所属だった京都3区の宮崎謙介氏が女性タレントとの不倫発覚で議員辞職したため、自民党は補選に候補も立てられない状態だ。
共産党はさらに、生活の党と山本太郎となかまたち(以下、生活の党)や社民党とのパイプも太くしつつある。
「私たち日本共産党が社会民主党の大会にご招待いただき挨拶するのは、日本社会党時代を含めて今日が歴史上初めてのこととなりました。大変嬉しく、また光栄に存じます。これからますます親しくお付き合いさせていただきたいと思います」
■社民党定期大会で起きたこと
2月20日に都内で開かれた第15回社民党定期大会で、志位委員長は満面の笑みをうかべてこう挨拶した。会場からは明るい笑い声と拍手が沸き起こった。この大会に来賓として出席したのは、民主党から枝野幸男幹事長と維新の党からは今井雅人幹事長。だが共産党からは志位委員長と生活の党からは小沢一郎共同代表が出席し、社民党との連携に対する意気込みの強さを見せつけた。
さらに会場ではこんな光景も見られた。来賓として招かれた志位委員長は小沢代表の隣に座っていたが、志位委員長に続き挨拶することになっていた小沢代表が、演説台に向かおうとした時に志位委員長の肩をぽんと叩いたのである。これを見た共産党関係者はこう述べた。
「あれは小沢代表から志位委員長への親しみを込めたメッセージだ」
実際にその隣の席にいた維新・今井幹事長の肩には触れてはいない。小沢代表が提唱する「オリーブの木構想」は共産党をも含むもので、「国民連合政府構想」と重なるところが多い。さらにいえば、こうした構想は1998年から存在した。その中心になったのが小沢代表と不破氏。小沢代表と不破氏は1969年初当選の同期で、交流があったという。
民主党と維新の党が作る新党に、社民党や生活は呼びかけられているが、共産党は呼びかけられていない。それでも、野党再編の重要な黒子の役割を共産党は果たすだろう。党名も変えず、綱領も変えず、議席だけを増やせるのなら、共産党がその恩恵を一番受けることになるはずだ。
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